建設業における工事現場でのドローン飛行で必要となる許可は?施工管理や点検、測量、資材運搬などでドローンを活用

さまざまな業界でドローンの活用が進められておりますが、建設業も例外ではありません。むしろ、最も導入が進んでいる業界の一つだと考えられます。

建設現場写真の撮影や測量、点検、資材運搬など、あらゆるシーンでドローンの活用が見込めます。

このページでは、主に許可・法務的な目線で建設業におけるドローンの導入について見ていきたいと思います。

アロー行政書士事務所では、ドローンの飛行許可申請の代行はもちろんですが、法務相談なども行っております。ドローンの飛行にあたり不安なことがあれば気軽にご相談ください。

また、建設業における許可(新規・更新)含め、ドローン以外でお困りのこともあればご相談ください。

※ドローンの規制は変化が激しいため、法改正等が行われた際の解説内容の修正が間に合わない場合がございます。予めご了承ください。

まずは航空法の規制を知る

航空法におけるドローン飛行許可が必要となるのは特定飛行を行う場合です。

建設業であるかどうかを考える前に、まずはドローンの飛行にあたってどういった場合に許可が必要となるのか、基礎的なことを確認しておきましょう。

以下に該当する飛行が特定飛行です。
※100g以上のドローンを活用されると想定しています。
※機体登録等はお済であると想定しています。

■特定飛行(許可承認が必要)

  • 150メール以上の上空
  • 空港等の周辺
  • 人口集中地区の上空
  • 緊急用務空域(通常許可は出ませんのでここでは除外して考えます)
  • 夜間の飛行
  • 目視外飛行
  • 人又は物件と一定の距離(30m以上)を確保できない飛行
  • イベント等の催し物上空での飛行
  • 危険物の輸送
  • 物件の投下

特定飛行の各項目詳細については、それぞれのページで解説しております。

飛行許可申請以前のもっと基本的なところから知りたいという場合、以下の飛行許可申請ガイドのページに体系的に記載しておりますので、先にこちらをご覧ください。

このページでは、特定飛行の各項目について、概ね理解できているという前提で話を進めていきます。

そのため、よくわからない場合、上記のページなどを先にご覧いただければと思います。

建設業で必要となることが多い許可項目

上記で記載した特定飛行のうち、建設関連の現場で必要とされる許可項目としては、DID(人口集中地区)目視外飛行人又は物件から30m未満での飛行夜間飛行150m以上の高さ上空での飛行となります。

山間部などで建設資材の運搬という形でのドローン利用であれば、物件投下も場合によっては組み合わさる可能性はあるかもしれません。

このうち、DIDと目視外飛行、人又は物件から30m未満での飛行、夜間飛行、物件投下の5項目については包括申請が可能です。

150m以上の上空での飛行は個別申請が求められます。また、建設業の場合、道路工事に関連する実績の写真を撮りたいという場合、交通量の多い道路付近に該当するケースも多いのですが、こうしたケースでは包括申請では飛行ができないため、個別申請を行います。

包括申請や個別申請と言う言葉がよくわからないという場合、以下ページもご参考ください。

各許可項目が必要となる理由について簡単に見ておきましょう。

建設工事や点検などにおいてはDIDに該当するエリアは比較的多い

住宅街やオフィス街はもちろんですが、工事現場においてはDID(人口集中地区)に該当するケースは多いため、ドローンをビジネスで利用するのであれば必要な許可項目となります。特に東京都内はほぼ全域がDIDに該当しており、都内の建設事業者様であれば、ないと飛ばせない項目となります。

目視外飛行が必要な場面が建設業では大半

測量や点検、建設現場写真などを含め、基本的には目視外飛行を行うことになるわけなので、この許可項目も外せません。自動操縦システムを用いた点検等においても目視外飛行です。

なお、補助者なしの目視外飛行(レベル3.5飛行)に関しては、当該ページをご覧ください。建設業を含め、多くの事業者で注目されています。

夜間飛行

夜間に飛行させることはあまりありませんが、早朝にドローンを飛行させるにあたって、まだ夜間に該当する時間からスタンバイするケースもあります。そういった早朝の準備の際に、夜間飛行の承認があった方が良いと言えるでしょう。

包括申請時に合わせて取得しておくのが一般的です。

人又は物件から30m未満の飛行は建設に限らず必須

人又は物件から30m以上を保って飛行させるのは困難です。

例えば信号機や電柱なども物件に該当するため、こういったものから30m確実に距離を保っての飛行が困難なことは容易に想像がつくかと思います。工事現場近隣にある一般の方の所有する建物なども物件に該当します。

したがって、建設工事かどうかに関わらず、こちらの項目はドローンを飛ばす上では必要な項目となります。

150m以上の上空の飛行や交通量の多い道路付近、鉄道付近でのドローン飛行の申請

こちらの許可項目については包括申請ができないため、個別申請が求められます。

150m以上の上空の飛行が必要となる場面としては、現場写真・施工管理等で現場全体を俯瞰した写真を撮りたいと思った際に、150m以上の上空まで飛行させて撮影する必要がある場面もあります。

そういった場合、個別申請を行い、飛行させましょう。

また、交通量の多い道路付近や鉄道・線路付近では包括申請では飛行させることができませんので、個別申請が必要です。

なお、ここでは記載しませんでしたが、稀に空港周辺にかかってしまうケースもあります。空港周辺も個別申請が求められます。

現場やドローンの活用方法によっては個別申請が必要となるため、ご注意ください。

物件投下

資材運搬でのドローン利用は最近増えている印象です。

資材運搬でのドローンは撮影等とは異なるため、別途以下のページもご覧ください。

包括申請をベースにし、状況に応じて個別申請をしていく

基本的に、DID、目視外飛行、人又は物件から30m未満での飛行、夜間飛行の4項目で包括申請を行い、場合に応じて個別申請を行っていく形となります。

この4項目での包括申請は、ドローンを飛行させるにあたって最も基本的な申請となるため、どのような事業者でも基本的に取得しておく必要があります。

後は案件に応じて、個別に申請していくような形です。

包括申請の注意点

包括申請で4項目(DID・夜間・人物30・目視外)の許可を取得していたとしても、それぞれを組み合わせての飛行はできない場合があります。

たとえば、夜間の目視外飛行は包括申請ではできず、個別申請が必要です。

包括申請をしていれば各項目に関わる飛行であればどんな飛ばし方でもできるというわけではありませんのでご注意ください。

また、DIDでの目視外飛行などは原則禁止されており、やむを得ず飛行させるにあたっては安全確保の体制等をしっかり取ることとして飛行させられるものもあります。

包括申請をしておくことで多くの現場の飛行に対応はできるものの、万能ではないということに注意が必要です。

航空法以外の規制にも注意

航空法以外の規制にも注意が必要です。

小型無人機等飛行禁止法や条例、道路交通法などに注意

小型無人機等飛行禁止法は国の重要施設(対象施設)とその周囲概ね300mの飛行を原則禁止するものです。

航空法は100g以上のドローンが規制の対象でしたが、これは関係ありません。

都内での建設工事や点検などでは意外と該当するケースはあるため、注意が必要です。

その他、条例や道路交通法などにも注意が必要です。

建設業者様の場合、道路使用許可には慣れていると思いますが、ドローンの飛行にあたって道路使用許可が求められる場面というのは経験が少ないかもしれません。道路での離発着を含め、交通に妨げが生じるおそれがある場合、必要となることがあることにご注意ください。

小型無人機等飛行禁止法も含め、航空法以外の規制についての詳細は以下のページをご覧ください。

資材の運搬などでドローンの活用も

山間部などにおいて、トラックや人が資材等を運搬できないような場所の建設工事において、ドローンが活躍する事例はあります。

DJI flyCart30などで包括申請を行い、その範囲で物流ドローンが活躍しているケースが増えてきています。

こうした機体は25kg以上の申請になるので、少々手間がかかります。

件数としてそれほど多いわけではありませんが、建設+物流の領域でのドローン活用は進んでいる状況です。

DJIの機体においては徐々に情報公開が進んできているので、レベル3飛行/レベル3.5飛行での活用も今後は増えてくるかもしれません。

建設業でのドローン活用の場合は飛行マニュアルの書き換えが必要になる可能性が高い

包括申請を行う際の飛行マニュアルに関して、標準マニュアルでは飛ばせない可能性もあることから、独自マニュアルを添付する必要があると考えます。

物件の吊り下げや曳航、風速5m以上での飛行、離発着における体制の記述など、飛行内容に合わせて飛行マニュアルを書き換え、適切な内容で申請するようにしましょう。

飛行計画の通報を怠る違反は意外とある

建設業も含めた全体的な注意点なのですが、特定飛行を行う場合、飛行計画の通報は必須です。

ただ、意外とやらない(知らない)事業者様は多いようで、これを怠る違反はそれなりにあります。

罰則もありますので、くれぐれもご注意ください。

ドローンの国家資格はなくても飛ばせるが、レベル3.5飛行など、国家資格がないと取れない許可もある

建設業においては、レベル3.5飛行でのドローン活用が見込めるかと思います。

その際に、国家資格二等以上(目視内限定解除)が求められます。

これまでは国家資格の重要性はそれほど高くなかったかもしれませんが、無人地帯のインフラ点検や測量などにおいて、レベル3.5飛行の登場により、国家資格の重要性が増したと言えます。

建設業者様にあたっては、国家資格を持っている操縦者が求められる場面も増えるでしょう。

建設業でドローンの活用を考えているならご相談ください

これからドローンを導入するというケースにおいては、基本的なところからわからないという方も多いかと思います。

単に飛行許可申請を行うだけでなく、違反しないための注意点などもお伝えしております。

建設業者様等において、ドローン飛行の法務等でお困りであれば、気軽にご相談ください。

許可申請どころか、機体登録やリモートIDの登録など、もっと前段階からよくわからないという方もご相談いただければと思います。

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執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請の代行や建設業許可申請、産業廃棄物収集運搬業の許可申請を行っている他、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。ドローンはDJI Mini 3を保有し、撮影しています。
ドローン飛行許可申請ガイドの運営を行っています。ぜひご覧ください。
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所属:日本行政書士会連合会、東京都行政書士会
行政書士登録番号:24080257