人又は物件から30m以上確保してのドローン飛行許可は必須?包括申請で飛行を実現しよう

ドローンを飛行させるにあたって、人又は物件との距離を30m以上を保つ必要があります。30m未満での飛行となる場合、国土交通大臣の承認が必要です。

このページでは、30m未満での飛行に該当するケースについて解説するとともに、飛行許可承認申請を行うにあたっての注意点などもあわせて解説していきます。

アロー行政書士事務所では、ドローン飛行における許可承認申請の代行サービスを行っております。

30mの規制に関する事項を含め、包括申請や個別申請など、ドローンの飛行に関する許可承認申請でお困りであればご相談ください。

※2024年6月10日にドローンの飛行の規制に関する解釈が改正されたため、一部内容が古い場合があります。

人又は物件に該当する条件は意外と多いため、30m保つのは困難な場合が多い

人又は物件とはそもそも何を指すのでしょうか?

これに該当する項目は意外と多いため、ほとんどの飛行において、承認申請が必要となります。

自分では人や物件との距離が30m保てていると思っていても、実際は違反しているケースが多くあるため、注意が必要です。

人とは?

ここでいう人とは、「第三者」を指します。当該ドローンの飛行に直接又は間接的に関与する者以外の者のことで、身元が特定されていない人です。

なので、ドローンの飛行に直接あるいは間接的に関わる操縦者や補助者は第三者にあたりません。

ドローンの飛行とは関係のない一般の歩行者などがここでいう人=第三者に該当することとなります。

物件とは?

人はなんとなくイメージが付くかと思いますが、わかりにくいのが物件です。

物件に該当する条件としては、次に掲げるもののうち、ドローンを飛行させる者及びその関係者が所有又は管理する物件以外のものをいう、とされています。

▼中に人が存在することが想定される機器(車両等)
自動車、電車、軌道車両、船舶、航空機、建設機械、港湾クレーン等

▼建築物その他の相当の大きさを有する工作物
ビル、住居、工場、倉庫、橋梁、高架、水門、変電所、鉄塔、電柱、電線、信号機、街灯等

※参考:無人航空機に係る規制の運用における解釈について(国土交通省)

該当するものは結構多いです。電柱は至るところにあるので、これらから30mの距離を確実に保つのはかなり厳しいといえます。しかも、「等」となっているので、他にもそれらしいものがあれば、該当する可能性が考えられます。現地調査をしっかり行わないと該当しないとは言い切れません。

なお、自然物(樹木)や土地は物件の定義から除外されています。また、操縦者や補助者が所有する物件も除外されます。

事前にすべての物件を把握しつくすのはかなり難しいと言えますので、注意が必要です。

いろんなシチュエーションが考えられるので「間接的に関与」の判断が難しい

「ドローンの飛行に直接又は間接的に関与する者」の間接的が厳密にどこまでの範囲を指すのかわからなくなるケースがあります。

例えば、ドローンを使って撮影する仕事があったと仮定して、撮影にあたってはドローンを飛ばす担当者以外にもさまざまなスタッフや出演者がいる場合があります。これらの方々は第三者なのでしょうか?

このケースであれば、撮影関係者・出演者はドローンの飛行に関係するという扱いになり、第三者にはあたらず、30m未満の飛行も可能です。

先程の解釈についての書類を参照すると、「飛行目的について無人航空機を飛行させる者と共通の認識を持ち、次のいずれにも該当する者とする」との記載があります。

②無人航空機の飛行に間接的に関与している者
間接的に関与している者(以下「間接関与者」という。)とは、飛行目的について操縦者と共通の認識を持ち、次のいずれにも該当する者とする。
a)操縦者が、間接関与者について無人航空機の飛行の目的の全部又は一部に関与していると判断している。
b)間接関与者が、操縦者から、無人航空機が計画外の挙動を示した場合に従うべき明確な指示と安全上の注意を受けている。なお、間接関与者は当該指示と安全上の注意に従うことが期待され、操縦者は、指示と安全上の注意が適切に理解されていることを確認する必要がある。
c)間接関与者が、無人航空機の飛行目的の全部又は一部に関与するかどうかを自ら決定することができる。
例:映画の空撮における俳優やスタッフ、学校等での人文字の空撮における生徒 等

先程の撮影の例に戻ると、撮影を知らないスタッフや知っていたとしても明確な指示などがなく、適切に理解していないスタッフがいれば(ただ伝えただけではダメ)、それは第三者に該当する可能性があるため、30m以上離さないといけないことになります。飛ばすのであれば承認が必要です。

正直なところ、判断が難しいな、と思う場面はそれなりに多くありますので、この30mの問題は意外とクリアするのが難しいです。むしろ承認申請しておいた方が楽です。

建設業や点検業者の講習における受講者は第三者なのか?

事業者様が自社従業員やクライアント従業員向けにドローンの講習会を行うことがあります。

その際に、受講で集まっている方々は第三者なのかどうか、気にされるケースがあります。

基本的に受講に際してドローンの飛行が行われることを理解しており、また、飛行に際して何かあった際の安全上の注意を受けているかと思いますので、基本的に第三者にはあたらないと考えられるでしょう。関係者のみで行われるものであれば、イベントにも基本的に該当しません。

30m以上の距離で見落としがちなのは、ドローンを飛ばす了承を取得した施設内や自宅付近の電柱・街灯など

公園などの施設の管理者から許可を取り、ドローンを飛ばす場合であっても、その施設内の電柱や街灯などは物件に該当するため、30mの規制に引っかかります。

また、DIDではない自宅私有地でドローンを飛ばす場合であっても、電柱などが自宅近くにあるケースが大半であり、この場合もやはり30mの規制にかかります。

自分の家は田舎で田んぼしかないし人口集中地区に該当しないから好きなようにドローンを飛ばせる、と思って飛行させていたら、、、ということも実際にあります。

近隣住民からの通報で発覚するケースなどもあるため、ご注意頂きたい事項となります。

30m未満での飛行を確実に行うことは難しいため、包括申請でまとめて申請しておくのが良い

途中でも記載しましたが、基本的に30mの規制に引っかからない飛行を実現することはかなり難しいと言えます。

そのため、包括申請の際の項目として入れておくべきであると言えます。

30m以外のものとして、目視外飛行、夜間飛行、DIDを含めた4つをまとめて申請しておかないと、業務に支障が出るケースが大半ですので、必ずやっておきましょう。

稀にどれか1つだけ申請している、というケースがあるのですが、面倒ですし、メリットがありませんので、全部やってしまいましょう。

距離30mも含め、ドローンの飛行許可申請が必要となるパターンについては以下の記事で解説しておりますので、そちらのページもあわせてご確認ください。

包括申請については以下のページをご覧ください。

ドローンを飛行させるなら30mという数字に注目する

確実に30m以上の距離を保って飛行させることが難しいことを説明させていただきました。

そのため、基本的には飛行許可承認申請をしておくべきだと考えます。

また、このページでは、30mに関する規制についてのみを取り上げて記載しましたが、一般的には、目視外飛行、DID(人口集中地区)上空での飛行、夜間飛行に該当するケースが多くなっており、この4つの期間1年、日本全国の包括申請を行っておくのが一般的です。

これをベースに、個別の案件ごとに必要に合わせた個別申請を行っていくと良いかと思います。

申請は意外と手間がかかることもあり、代行を依頼する方も少なくありません。

行政書士であれば申請の代行が可能ですので、行政書士に依頼することも検討してみてください。

当事務所でも包括申請を含めたドローンの飛行許可のサポートを行っております。

気軽にお問合せください。

なお、本件も含め、30mという数字はいたるところに出てきます。それらについて解説した記事もあるので、もしよろしければご覧いただければと思います。

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執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請の代行を始めとして、各種許認可取得サポートを行っている他、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。ドローンはDJI Mini 3を保有し、撮影しています。
ドローン飛行許可申請ガイドの運営を行っています。ぜひご覧ください。
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