ドローンの空撮・撮影で必要な許可申請や届出、注意点について解説

空撮を含め、ドローンを使った撮影のお仕事は増加傾向にあります。

ただ、適切な許可を取得せずに飛行させていたり、マナー違反をしていたりなど、少々問題のある行動が目に付く機会が増え、警察等に通報され、書類送検される事例も増えています。

ここでは、撮影・空撮でドローンを活用するにあたって、どのような許可申請や届出が必要になるのかを見ていきたいと思います。

なお、当事務所ではドローンの飛行許可申請等の代行・サポートを行っております。お困りの方は気軽にご相談ください。

航空法等に違反すると撮影したデータは使えなくなるおそれがあるため適切な許可申請や届出等は必ず行うこと

ドローンでの撮影を行うにあたって、許可申請をするのが面倒ということで、無許可で飛ばしたり、飛行計画の通報をせずに飛ばしたりする方がいらっしゃいます。

ドローンを飛ばすこと自体が危険な行為であることから、安全確保という意味で、適切な許可申請が必要なことはもちろんのこと、違反して撮影したデータは利用できなくなる可能性が高いため、適切な許可を得ないことは、あなたの事業運営にとってもリスクは高いと言えます。

大きなニュースになった事例としては、静岡県沼津市が花火大会の模様をドローンで撮影したものの、飛行計画の通報をしておらず、航空法に違反したケースがあります。このときは、撮影したデータを削除しています。

自治体が違反を犯したため大きなニュースになりましたが、個人においても、花火大会でドローンを無許可で飛行させて撮影し、書類送検されている事例はあります。

市民から警察等へ通報して発覚するケースばかりでなく、撮影されたデータから違反が発覚する例も増えています。

くれぐれも注意していただきたいため、最初に近年のこうした違反の事例・リスクを記載させていただきました。

ドローンでの撮影で必要な許可や届出について

ドローンでの撮影をするにあたって考えなければならないことは何でしょうか?「航空法による規制」「小型無人機等飛行禁止法による規制」「撮影場所ごとの規制」「条例」などを見ていく必要があります。

航空法による規制:飛行内容に応じた適切な許可承認申請が必要

ドローンを使って屋外で撮影を行うのであれば、ドローンの飛行場所・飛行方法に応じた適切な許可承認申請が必要となります。航空法の規制を受けるのは基本的に機体重量100g以上となりますので、100g未満のドローンであれば、航空法上は許可承認申請は不要です(空港周辺等を含め、一部例外はあります)。ここでは100g以上の機体重量のドローンであるとしてお話を進めていきます。

以下の10個の条件に該当するものがあれば、許可承認申請が必要です。

  1. 高さが150m以上で飛行させ撮影する
  2. 空港等周辺等でのドローンを飛ばして撮影
  3. 緊急用務空域(一般には飛行の許可は出ないため、飛行禁止です)
  4. DID(人口集中地区)上空での飛行
  5. 目視外飛行
  6. 夜間で飛行
  7. 人又は物件からの距離30m未満での飛行
  8. イベント上空で飛行
  9. 危険物輸送
  10. 物件投下

このうち、空撮・撮影で必要となることが多いのは、④、⑤、⑦となります。撮影をする際はモニターを見ながら飛行させることもあるでしょうから、目視外飛行の申請は必須でしょう。⑦の30m未満での飛行は、撮影かどうかに関わらず、ほぼ必須です。電柱なども物件に含まれるため、これらから確実に30m以上の距離を保つのは実質不可能です。④のDIDの申請も必須です。

コンサートなどの大きなイベントでドローン撮影する場合は、⑧のイベント上空での飛行許可申請が必要な可能性があります。高度が問題となる場合は150m以上での飛行の許可が必要です。

空撮以外も含め、一般的には、④⑤⑥⑦の申請を期間1年、範囲を日本全国とする包括申請を行うケースが多くなっています。ドローンを飛ばすという意味ではこれで対応が可能なケースが多くなっています。
撮影目的の包括申請(④⑤⑥⑦)の注意点としては、夜間における目視外飛行は、包括申請をしていても駄目であるということです。そのため、夜景をドローンで撮影するにあたって、夜に目視外飛行をする場合、個別申請と適切な飛行マニュアルが必要となります。

また、先ほども記載したように、飛ばす場所などによっては⑧のイベント上空、④の空港周辺の許可が必要となる可能性もあります。これらも包括申請ができませんので、個別申請を行います。

そのため、まずは飛ばす場所と飛行の方法を洗い出し、撮影にあたって航空法上どのような申請が必要になるか整理しましょう。夜間における目視外飛行や夜間でのDIDでの飛行は危険が大きいため、審査にやや時間もかかります。

なお、本ページで記載した①から⑩についての詳細は以下のページで記載しております。あわせてご覧ください。

飛行マニュアルの書き換えも必要

撮影にあたって、どのようなドローンの飛ばし方をするのか、それが決まったら飛行マニュアルを見ていく必要があります。許可がマニュアルを遵守することを条件に付されるからです。

仮に包括申請をすると仮定すると、多くの方が「航空局標準マニュアル02」を使っているかと思います。このマニュアルは飛行方法が大きく制限されており、実際に飛ばしたい方法で飛行させることができない場合があります。そのため、空撮・撮影にあたっては独自飛行マニュアルが必要になる可能性があります。

少し前までは、飛行マニュアルの内容なんて見たこともない、という方が多かったのですが、近年は違反による書類送検が増えたことから、しっかりとした対応を意識する方も増えています。

まずは一度標準マニュアルに目を通してみましょう。

屋内での撮影であれば、飛行許可申請は不要

ドローンでの撮影といっても、屋内での撮影であれば、飛行許可承認申請は不要です。屋内での飛行であれば、航空法は適用されないからです。

ただし、建物や施設の所有者・管理者の承諾等が別途必要だと思われます。また、安全管理を十分に行う必要があります。許可申請という意味では、屋内での撮影は手続きが少なく済むので楽であると言えます。

小型無人機等飛行禁止法による規制:100g未満のドローンでの撮影でも規制対象

小型無人機等飛行禁止法では、国の重要施設やその周囲約300mの飛行を原則禁止となっています。航空法が国土交通省の管轄だったのに対し、小型無人機等飛行禁止法は警察庁の管轄です。機体重量が100g以上かどうかは問題とならないためご注意ください。

国の重要施設の定義については警察庁のホームページに記載されています。

・国の重要な施設等
国会議事堂、内閣総理大臣官邸、最高裁判所、皇居等
危機管理行政機関の庁舎
対象政党事務所・対象外国公館等
・対象防衛関係施設(令和元年改正で追加)
・対象空港(令和2年改正で追加)
・対象原子力事業所

警察庁ホームページより引用

ただし、すべてが禁止ではなく、適用除外もあります。

下記の場合に限り、小型無人機等の飛行禁止に関する規定は適用されません。

・対象施設の管理者又はその同意を得た者による飛行
・土地の所有者等が当該土地の上空において行う飛行
・土地の所有者の同意を得た者が、同意を得た土地の上空において行う飛行
・国又は地方公共団体の業務を実施するために行う飛行

ただし、対象防衛関係施設及び対象空港の敷地又は区域の上空(レッドゾーン)においては、

・土地の所有者若しくは占有者が当該土地の上空において行う飛行
・国又は地方公共団体の業務を実施するために行う飛行

であっても、対象施設の管理者の同意が必要です。

警察庁ホームページより引用

上記の適用が除外されるケースであっても、警察署を通じて都道府県公安委員会等への通報が必要(飛行の48時間前までに)となります。

皇居周辺の場合、上記に加えて、警察署を経由して皇宮警察本部長に通報をする必要があります。

同意を得た旨の書類の提出、機体の提出(写真でも可のケースが多い)なども必要です。

撮影目的であれば、こうした国の重要施設で個人的な飛行というのはそうないとは思いますが、くれぐれもご注意ください。国や地方公共団体からの委託で撮影する場合、委託を受けたことが証明できる書類の提出をしてください。

その他の注意点としては、たとえば東京オリンピックが行われた際は、該当するエリアが細かく設定されます。国をあげて何か催しが行われている際は注意しましょう。

よくある違反事例としては、100g未満のドローンならどこででも飛ばせると勘違いしてしまっているケースです。100g未満はあくまで航空法によるところとなります。その他の法律や規制に関してはまた別の定めがあるためご注意ください。

撮影場所ごとの規制や必要な許可申請

ここまでは、撮影というよりは、ドローンそのものを飛ばすにあたっての規制や制限に対する申請が主な内容となりました。

今度は、撮影する場所を利用するにあたって必要となる許可や届出を見ていきたいと思います。

撮影という観点でみると、以下が代表的なものとなるでしょう。

  • 道路使用許可・占用許可
  • 入林届
  • 土地・建物の所有者・管理者の承諾
  • 河川管理者等の承諾
  • 国の重要文化財の撮影許可・ドローン飛行許可
  • 各自治体の条例の確認と許可

道路でドローンを飛行させ、撮影するなら道路使用許可が必要

歩道を含め、交通の妨げになるおそれがある場合や道路に人が集まり交通に著しい影響を及ぼす場合は、道路使用許可が必要です。

具体的には、ドローンの離着陸を道路・歩道で行う場合や操縦者が道路に出てドローンを操作する場合、ドローンを一定期間飛行させていることで人が集まってきてしまう場合などがあるでしょう。

基本的には道路使用許可を取得しておくべきだと考えます。

また、ドローンとは関係なく、そもそも道路で撮影を行う場合、ドローン以外にも機材の持ち込みや大がかりな準備が発生するケースは多いので、基本的に撮影において道路使用許可が必要になるケースは比較的多いと言えます。

法人などの事業者様はしっかりと許可を取得するのですが、近年個人の方が撮影でドローンを飛ばすことが増えており、その場合、飛行許可から道路使用許可まで合わせて何もやっていない、というケースもありますのでご注意ください。

撮影での事例としては多くありませんが、足場を組んだり、撮影のためのセットを組んで道路上に一定の工作物を設置するなどの場合、道路占用許可も必要な場合があります。

山林での撮影では国有林であれば入林届が、私有地であれば所有者等の承諾等が必要

自然の中での撮影を行うケースも多くなっておりますが、国有林でドローンを飛ばす場合、入林届が必要です。操縦者自身が国有林に入っていなくても、ドローンが中に入っているのであれば、入林届等は必要です。

また、山の中に入っていき、勝手にドローンを飛ばしている方の中には、私有地であるにも関わらず所有者等に確認を取らずに飛行させ、トラブルになる例もあります。

河川でドローンによる撮影をするなら管理者への確認を

河川敷なら人も少ないしドローンを飛ばせるのでは?撮影も自由?とお考えの方は多いのですが、仮に航空法上飛行許可なしで飛ばせる場所であったとしても、河川管理者が独自のルールを定めているケースがあり、飛行が禁止(自粛を促す)されていることがあります。

そのため、必ず河川管理者に事前に確認するようにしてください。独自に事前の届出を求めているところもあります。

河川法で明確にドローンの飛行禁止等に関して定めた規定はありませんが、同法では、河川の適正な利用が達成されるように河川の管理を適正に行う旨が定められており、仮にドローンを飛行させることが河川の利用者の安全等を妨げるなど、適正ではないと判断される場合には、河川管理者の権限により、ドローンの飛行の自粛を求めることができると考えられます。

そういったことから、以前までは河川でのドローンの飛行を禁止するといった文言を河川敷で見かけることは少なかったかと思いますが、最近かなり増えてきたように思います。河川の周囲がDIDなど、人が多く住んでいるような場所だと、ドローンの飛行に関しての住民らから苦情がでるケースが多く、河川管理者が飛行の自粛(禁止)をお願いするケースが増えています。都内の河川だとこういったケースは多いかと思います。

河川管理者が独自に定めたルールの場合、航空法上の100gの規制は関係がありませんので、100g未満のドローンでの撮影も自粛すべきだと言えます。

いずれにせよ、まずは河川管理者に確認を取るようにし、必要な手続きを行うようにしましょう。禁止と言いつつも、利用目的により承諾が得られるケースがあります。飛ばすことが可能な場合、河川によって手続き内容は異なります。

法的な根拠も重要なのですが、管理者が独自に自粛を求めているケースでは、仮に法的に飛行させても問題なさそうだと思えても、飛ばすことで近隣の住民や団体とのトラブルに見舞われることがあります。ご注意いただきたいと思います。

また、ドローンの有無に関わらず、撮影という観点からも許可が必要な場合が多くなっています。河川の風景を撮影してYoutubeで流す程度であれば問題ないとするところが多いのですが、何かの撮影で使う場合や商用での利用の場合、許可や届出が必要なことがあります。

河川管理者に確認の上、ドローンの飛行や撮影を行うようにしてください。

空き地などの私有地での撮影は所有者・管理者の承諾を得る

山林の項目でも少し触れましたが、私有地等で飛行させるのであれば、所有者・管理者の承諾が必要です。

空き地でドローンを飛行させる方は多いのですが、他人の土地で勝手にドローンを飛ばせば問題になることは想像できるかと思います。

また、撮影にあたっても、私有地で撮影をするなら所有者の承諾が必要でしょう。

国の重要文化財等をドローンで撮影するなら許可が必要

お寺やお城など、国の重要文化財に指定されているスポットでドローンによる撮影を行いたいと考えるケースがあります。

許可取りの難易度は高めですが、ドローンによる撮影が認められるケースは一程度あります。

撮影することの意義が高いと感じてもらえれば、OKな場合があるため、しっかりと準備をし、体制を整えて交渉するようにしましょう。

相応の期間と準備が必要となります。

なお、明確に絶対禁止とするスポットもありますので、まずは余地があるのかどうか、事前確認をするとよいでしょう。

条例を確認

地方公共団体等が定める条例に、ドローンの飛行が禁止されているエリアや場所が設定されるケースが増えています。

そういった場合、ドローンを飛ばしての撮影ができない場合があります。

そのため、条例でドローンの飛行が禁止されていないか、必ず確認するようにしましょう。

「原則禁止」とするケースが多いので、適切な申請を行い、許可を得れば飛ばせる場合も多くなっています。

なお、条例でドローンが禁止される場合、100g未満のドローンでも飛行禁止な場合があります。東京都内の庭園などでは全面的に条例で禁止されています。

撮影そのものの許可が必要な場所は多い

本文中で記載したように、河川敷や道路などでは撮影にあたって許可や届出が必要となるケースがありますが、河川も含め、一般的に以下の場所では事前に行政等に確認しておいた方が安全です。

公園(管理者により確認先・申請方法が異なります)、河川、道路、鉄道、商業施設等。

撮影と言っても個人的な写真撮影から商業目的での大がかりな撮影までさまざまなため、絶対的に撮影に許可が必要なわけではありません。ただ、個人的な趣味であってもドローンを飛ばす場合ということであれば、事前の確認はしておく必要があります。

必須ではないが管轄の警察署へ事前に通知をしておいた方がいいケースも

適切な許可を取得し、適切な方法でドローンを飛ばし、適切な撮影を適法に行っていたとしても、通行人等が警察に通報し、警察が駆けつける事態に見舞われることが多々あります。

人通りが多い場所などでドローンを飛ばしていると通報されることが多いため、事前に管轄の警察署へ連絡しておくとスムーズになります。

これは必須な手続きではありませんが、限られた時間の中でドローンを飛ばし、撮影をしなければならないかと思いますので、余計な手間を省く意味でも警察への連絡はしておいた方が良いでしょう。

ただ、人がほとんどいないような場所であれば、この限りではありません。

撮影にあたってはプライバシー侵害や権利侵害、他人への迷惑を考える

初歩的なことですが、他者のプライバシーを侵害してはなりません。

また、風景の一部として映り込んだいるに過ぎない場合でも、利用が制限されているものがあるケースもあるため、商業利用する場合は注意が必要です。

撮影した動画を公開する前に必ず入念なチェックを行ってください。

ドローンでの撮影は、意図しない映り込みでプライバシー侵害が起こりやすくなっています。

撮影時の注意はもちろんのこと、撮影後・公開前のチェックは慎重に行いましょう。

また、公開後の権利侵害で関係者から連絡が来ることがあります。権利侵害が認められるならば、速やかに動画を削除するなど、対応が求められます。

飛行計画の通報や飛行日誌も忘れずに行うこと

冒頭で記載しましたが、自治体が飛行計画の通報をしておらず違反したケースを記載しました。特定飛行に該当する場合において、飛行計画の通報が義務であることを知らない方は意外と多い印象です。

撮影に限った話ではないのですが、飛行計画の通報と飛行日誌は忘れやすいポイントなので、注意事項と言えるでしょう。

ドローンでの空撮・撮影はドローンの飛行と撮影のそれぞれで許可申請等が必要となることに注意しよう

どこで撮影をするのか、どのような飛ばし方をするのか、個人的な撮影なのか、何らかの商業目的なのか、諸条件によるところはありますが、ドローンを飛ばす上での許可と撮影をするにあたって必要となる許可があります。

見落としてうっかり違反しないように飛行前・撮影前にチェックを行ってください。

ドローンでの撮影に伴い、許可申請等でお困りでしたら、行政書士に依頼するのも一つの手段です。

当事務所でも行っておりますので、気軽にお問い合わせいただければと思います。

執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請の代行を始めとして、各種許認可取得サポートを行っている他、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士や無人航空従事者試験(ドローン検定)1級などに合格しています。ドローンはDJI Mini 3を保有し、撮影しています。ご依頼・ご相談などはお問い合わせよりご連絡ください。
所属:日本行政書士会連合会、東京都行政書士会 立川支部