ドローン飛行許可申請の代行を行政書士に依頼するメリット・デメリット

こんにちは。行政書士の樋口です。

ドローン飛行許可申請は、あなた自身で行うことが可能であり、申請するにあたって行政書士に依頼しなければならないものではありません。

ただ、適切な申請ができていないケースは多くなっており、違反した飛行をしている方は少なくありません。申請書に記載した内容や飛行マニュアルを遵守することを条件に飛行許可が出されているのですが、理解していない方はかなり多い印象です。

航空法違反の疑いで書類送検される事例は近年増えており、飛ばす方はもちろんなのですが、ドローン事業者へ発注する依頼主側がこうした法規制・違反を気にするケースが多くなっており、コンプライアンス意識の高まりから行政書士への依頼・相談事例も増えています。

特に飛行マニュアル違反は多いように感じます(そもそも読んでいないなどもあります)。

頻繁な法改正や許可申請のシステム変更など、さまざまな要因から行政書士にドローンの飛行許可代行を依頼される方がいらっしゃいます。

初心者の方の場合、行政書士に依頼することで、よくある違反例や注意点が教えてもらえたり、緩和された独自飛行マニュアルが手に入ったりするので、初回の申請時はお願いしておくメリットは高いかなと思います。

ここでは、そんなドローンの飛行許可を行政書士に依頼するメリットやデメリットについて見ていきたいと思います。

報酬を得てドローンの飛行に関する許可・承認申請の代行ができるのは行政書士だけ

まず、前提として、有料でドローン飛行許可・承認申請の代行ができるのは行政書士だけであることを知っておいてください。そうしたことを知らずに第三者へ代行依頼し、「うっかり違反していた」というケースもゼロではありませんので注意が必要です。

ドローンの飛行に関する法的な知識を有する方は行政書士以外にもたくさんいらっしゃいます。ただ、飛行許可などの行政に対する許認可申請手続きや書類の作成は行政書士しかできないため、その他の方に依頼すると残念ながら違法となってしまいます。ご注意ください。

有料ではなく、無料なら誰に頼んでもいいのか?というと必ずしもそうとは限らず、何かのサービスに付随している場合において、飛行許可の部分のみ無料という場合は、有料での提供を行い報酬を得ていると判断されるケースもあるため、注意が必要です。

ドローンの飛行に関しては、近年どんどん規制が強くなっており、違反件数も増加しています。飛ばす前の申請の段階で違反しないようご注意ください。

初心者の方の場合、わからないからといって全部丸投げで飛行許可の申請依頼をするのはよくない

ドローン飛行許可申請の代行サービスを利用する方の中には、初心者の方もいらっしゃいます。

そういった方の中には、許可さえ取れれば何でもいい、全部丸投げでお願いしたい、と言う方もいらっしゃいます。

ただ、これはご遠慮いただいております。飛ばす方自身がしっかりと申請内容やマニュアルを理解できていないと意味がないからです。

当事務所では、面倒な手続きの代行はさせていただきますが、初心者であまりよくわかっていなさそうな方、ちょっと法令の意識が怪しいなという場合の方も想定して、よくある違反事例や注意点をまとめたものも提供するとともに、飛行マニュアルをしっかり読んでいただくことの重要性もお伝えしております。また、ヒアリングの段階でも、いまやろうとしている申請では何ができて、何ができないのか、お伝えしています。

しっかり勉強されている方にとってはたいした情報ではないかもしれませんが、基本的なことを知らない方はかなり多いなと感じています。

高難易度の申請を一緒に進めていく、事業に集中するために手続きはお願いしたい、こういった方々は基本的に覚える意識が高く、問題ないケースが多いのですが、実質趣味に近い形で許可申請をしようとされる方は、少し注意が必要かと感じております。

行政書士にドローン飛行許可申請を代行するメリット

ご自身で申請せずに、行政書士に依頼するメリットを見てみましょう。

  • 書類作成などの手間が省ける
  • 違反を犯すリスクを下げることができる、コンプライアンス意識の高まりに対する対応
  • 必要となる許可の見落としが無くなる確率が高くなる
  • 面倒な補正対応や意味のわからない補正に対しても対処ができる
  • 独自飛行マニュアルなど今後の参考になる
  • よくある違反や注意点などを知ることができる
  • レベル3.5飛行など新しい飛行への対応や難易度の高い飛行での個別申請で役に立つ

書類作成・申請の手間を省く

自分で申請書を作成・入力するのは時間がかかります。包括申請でも結構面倒です。

日々の業務が忙しく、細々とした書類を作成する時間が無いという方もいらっしゃるかと思いますが、行政書士にこうした申請に必要な書類の作成を依頼することで手間を削減することができます。
DIPS2.0になって以降、入力が面倒だしよくわからないというお話も聞きます。
法令の改正も多いのですが、システムの変更が多いのがやっかいな点です。機体登録情報の追加欄などはそもそも入力欄がどこにあるのかわかりにくく、見落としも多くなっています。

違反を避ける(コンプライアンス意識の高まり)

たとえば、包括申請で許可を取ること自体はできても、自動操縦をしないのにメーカー指定の自動操縦システムで申請し許可を得ていたり、プロペラガードの有無の場合分けせずにプロペラガードを付けたり付けなかったりといったことをしているケースがあります。許可書からはわかりませんが、申請内容と異なる飛行をしている方も少なくありません。

また、ドローンの飛行にあたっては航空法(国土交通省)だけでなく、小型無人機等飛行禁止法(警察庁)などさまざまな法律に注意を向ける必要があります。

単純に国土交通省に対して飛行許可を取ればドローンの飛行ができるというものでもなく、条例で禁止されているケースや警察への通報、施設管理者などへの届け出・承諾が必要となる場合があるなど、注意すべき事項が多いのが難しいポイントです。知らず知らず違反しているケースもあります。

海や山(国有林)など、飛ばす場所によっては海上保安庁や港湾管理局の許可が必要となるケースがありますし、国有林内に立ち入ることがある場合は入林届も必要となることがあります。

歩道での撮影(空撮)にあたって、道路使用許可や道路占用許可が必要な場合もあります。

思っている以上に注意することがあります。

また、飛行マニュアル違反も多くなっています。補助者の配置や立入管理区画の設定を行わないなど、適切な体制ではない飛行を行い、違反しているケースがあります。

個別具体的な飛行場所が決まっていない場合で、とりあえず包括申請をお願いする場合であっても、よくある違反などの例に関しては伝えてくれるケースが多いかと思いますので、利用するメリットはあるものと考えられます。

発注者側のコンプライアンス意識が高くなってきた

補足事項になりますが、近年ドローンを飛ばすにあたって航空法違反等の事例が増えています。

それに伴い、お仕事を発注する側の企業もリスクがあることから、コンプライアンス順守が徹底できているかどうかが、一つドローン事業者の選定基準にもなってきています。

包括申請すれば好きなように飛ばせるんでしょ?と思っている事業者もいまだに多いのですが、そのようなことはなく、飛行方法、飛行場所などに応じた適切な許可申請が必要です。

また、飛行マニュアル違反も多いため、こうした点から相談は増えているように感じます。

必要な許可が取れる

実際に飛行する実態に合わせた許可を取得しなければドローンを飛ばすことはできません。

許可が取得できたケースでも、実際の飛行に合った許可が取れておらず、飛行できない(もしくは違反して飛行)ケースがあります。先ほど記載した、プロペラガードの場合分けでの申請などもこれに当てはまるでしょう。

うっかり許可された範囲外で飛行してしまい、違反となってはいけません。

許可が取れて安心するのではなく、その許可の内容を理解し、実際に飛行したいことが可能な内容となっているか確認することも重要です。

なお、行政書士に依頼して許可が取れた場合でも、最後にどのような許可が取れたのか一緒に確認した方がいいでしょう。

よくわからない補正対応もやってくれる

飛行許可申請をすると補正になるケースはかなり多いのですが、そもそも補正内容自体が間違っていることは少なくありません。

補正内容どおりにやったのにまた補正になった、という方からの相談もありますし、もともとの申請が正しかったケースもあります。

ただ、これは仕方がない部分もあり、国土交通省への飛行許可件数は年々増加しており、審査する側の人出が足りなさそうだなと感じる場面は多いように感じています。

そうした補正対応やおかしな点も含め、確認ができるのは、多くの事例を持っている行政書士の強みの一つであると考えられます。

今後自分で申請していくにあたり参考になる

プロペラガードや自動操縦システムの場合分けはもちろん、飛行マニュアルなども緩和されたものが利用できるかと思いますので、先々のことを考えると、一度依頼しておくのも悪くないかと思います。

また、ありがちな違反や注意点なども教えてもらえるケースが多いかと思いますので、依頼するメリットは高いと言えるでしょう。

申請書などはDIPSシステム内に残るため、隠されてしまうことはありません。

他の許認可だと申請書の控えをくれない行政書士もいるようなのですが、ドローンを取り扱う行政書士の場合はほとんどそのようなことはありません。また、一部の申請を除いてDIPSシステム上で行うので、どちらにせよ見ることが可能だと言えるでしょう。

また、飛行許可申請以外においても、初心者がやりがちな失敗やミスの情報も多数持っていることから、そうしたアドバイスがもらえるのもメリットであると考えます。

違反を指摘されてから相談される方も多くなっておりますのでご注意ください。

レベル3.5飛行やイベント上空などの高難度な申請で行政書士が役に立つことも

最近多い相談の1つとしては、レベル3.5飛行に関することです。

申請も含め、よくわからないことは多いため、こうした新しい飛行に関する相談や申請に関しては行政書士の利用メリットは高いと思います。「補助者なし目視外飛行」という言葉が先行して、レベル3.5飛行の新設目的があまり理解できていないケースもあります。

また、夏であれば花火大会やフェスなど、イベントに関わる飛行の申請が増加しますが、申請自体が難しいものも多いです。

イベント上空に該当する申請をする場合、そもそも可能かどうかの確認から必要となりますし、申請自体も体制の問題から含めてマニュアルの作成をしっかり行う必要があります。

こういった場合は、間に行政書士を入れるメリットは高いでしょう。

行政書士に依頼するデメリット

行政書士に依頼するデメリットも見ておきたいと思います。

費用が掛かる

行政書士もボランティアでお仕事をしているわけではありませんので、多少なりとも代行費用がかかります。

依頼する内容や依頼する行政書士事務所により料金体系は変わってくるものですが、一般的な内容(包括申請で機体1台、操縦者1名)であれば、2万円~4万円程度の費用で済むことが想定されます。最も申請の多い包括申請であれば、台数にもよりますが、それほど費用はかからないでしょう。
※正確な料金は飛行内容など条件によるためあくまで参考としてご覧ください。

この費用を高いと考えるか安いと考えるかは依頼者次第ですが、いずれにせよ、費用が掛かると言うのは一つデメリットとして考えられます。

詳細は以下の記事もご参考ください。

手間がすべてなくなるわけではない、ドローン自体に詳しくない行政書士もいる

新しい機体や改造機の場合、完全に行政書士に丸投げというわけにもいかず、何かしらご自身で写真を撮るなどの作業が発生することがあります。行政書士からの質問に対応することも必要です。申請の内容にもよりますが、保険加入が必須の申請もあるため、確認作業が多くなる申請もあります。

行政書士に依頼することで楽にはなるのですが、正しい申請をするにあたり細かく質問してくる行政書士も多いです。

そういった点で煩わしく感じる方にとっては、デメリットになる可能性はあります。

ドローンにそれほど詳しくない行政書士もいる

行政書士自身はあくまでドローンの飛行許可申請などに係る規制に詳しいのであり、ドローンの飛ばし方や活用方法そのものに詳しくない場合も多いです。

実際に飛行させたことがない行政書士の場合、話がかみ合わないこともあるかもしれません。

私自身はドローンの飛行経験はあり、ドローンも保有しているものの、ドローン実務として屋根や外壁点検、測量、農薬散布、ドローンショー、イベント飛行等のすべての飛行を行ったことがあるわけではありません。

なので、実務でどういった飛ばし方をするのかは、少し細かくお伺いさせていただくことがあります。

多くの行政書士が、各業界ごとのドローン活用について当然勉強していますが、自分自身が実務で飛ばしたことがあるわけではないため、思い違いを避けるために、少し細かく聞き取りをしてしまう傾向があるかもしれません。また、実務でドローンを飛行させている方でも、自分の実務分野と違った飛行内容に関してはイメージが湧きにくいこともあります。

そのあたりを煩わしく思う方もいらっしゃるかもしれません。そこは場合によってはデメリットかもしれません。ただ、違反を避けるという意味では、メリットにもなりえると考えていただけると助かります。

申請ノウハウが蓄積しない可能性がある?

自分自身で飛行許可申請をするのは大変ですが、自分でやるとノウハウが蓄積していきます。

そのため、長いスパンで見た際はご自身でやった方が良い可能性も否定はできません。

人にやってもらうのと自分でやるのとでは理解に差が出てきますので、この点はデメリットになり得る可能性があります。

ただ、ドローン自体がまだ新しい産業ということもあり、法改正が多い他、申請をするためのシステムも大きな変更が入り、その度に覚え直さないと行けないことがたくさん生まれている状況です。

こうした実情を踏まえると、現時点ではデメリットとは一概に言えないかもしれません。また、行政書士に依頼した場合、注意点などは教えてもらえるため、初心者の方の場合は勉強になることもあると思います。

行政書士的には、定期的に多くの申請をしているからしょっちゅう変更があっても新しい規制・ルール・入力欄が変わっても問題ないのですが、一般の方は毎月毎月申請しているわけではないと思うので、久々に見たら変わっていたということもあり、結局面倒になって相談に至るケースがあります。

行政書士なら誰でもいいのか?

行政書士にドローン飛行許可を依頼しようと思った際に、どの行政書士に依頼すればいいのか迷うこともあるかもしれません。

一口に行政書士といってもそれぞれ皆さん業務分野をお持ちであり、建設業を専門に行っている行政書士もいれば相続に特化している行政書士もいらっしゃいます。

ドローンを一切やっていない行政書士もいらっしゃいます。

ホームページなどをしっかりと確認し、ドローン飛行許可の業務を取り扱っているかどうか確認の上相談をするようにしましょう。

車に詳しい行政書士に相談してもドローンに詳しいとは限りませんのでご注意ください。

包括申請も1度代わりにやってもらっておくことで、次から自分で楽にできる

包括申請であればご自身で問題なくできるという場合も多いのですが、行政書士に代行してもらうメリットはあります。

プロペラガードをする場合しない場合、自動操縦システムを装備する場合、しない場合など、各種飛行内容に合わせた場合分けでの申請や各項目の意味などを知ることができるからです。

また、飛行マニュアルも手に入れることができます。

許可は得ているものの、選択肢的にその飛ばし方はできないのでは?という飛行をしているケースもあるため、注意したいところです。

ドローン飛行許可申請でお悩みならアロー行政書士事務所にご相談ください

アロー行政書士事務所でもドローン飛行許可申請を取り扱い、飛行許可・承認取得のサポートを行っています。

料金体系は比較的リーズナブルな価格帯となっております。

お困りでしたら気軽にご相談ください。

行政書士にドローンの飛行に関する相談するメリットはある

ここでは飛行許可申請を中心に行政書士に依頼するメリット・デメリットを記載してきました。

単純に許可申請をするという部分だけでなく、飛行内容や飛行場所などによって生じる問題に即した形の適切な許可を取るという意味では、行政書士に依頼するメリットは大きいでしょう。

途中で何度か記載したように、飛行許可申請(航空法)のみならず、その他の許可申請が必要となるケースもあります。小型無人機等飛行禁止法や条例、道路、国有林、河川など、その場所に応じて適切な許可申請や届出が必要になります。

幅広い事例を見ている行政書士に依頼するメリットはそうした部分にあると考えられます。

近年はコンプライアンス意識が低い事業者への発注を取りやめる例も増えています。くれぐれもご注意いただければと思います。

執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請や建設業許可申請、産業廃棄物収集運搬業等の許可申請や契約書作成、内容証明作成等を行っています。また、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。写真撮影に凝っていた時期がありドローンもその一環でよく飛ばしていました。
ご依頼・ご相談などはお問い合わせよりご連絡ください。
所属:日本行政書士会連合会、東京都行政書士会
行政書士登録番号:24080257