このページでは、DID地区(人口集中地区)でドローンを飛行させるための注意点などを解説していきます。
また、包括申請でDIDの許可は取得したものの、違反した飛行をしているケースも多いため、注意点についても触れておきたいと思います。
DIDでの飛行は特定飛行に該当するため、適切な許可申請が必要です。ルールを守り、安全な飛行を行いましょう。
■ドローン飛行許可申請代行サービスについて
アロー行政書士事務所では飛行許可申請の代行を行っています。DIDを含めた包括申請の代行はもちろん個別申請も行っています。
包括申請では、単に申請をするだけでなく、よくある違反例や飛行計画の通報のやり方などもお伝えしております。飛行許可申請でお困りであればご相談ください。
DID(人口集中地区)とは?DIDの定義と調べ方
DID(人口集中地区)は、5年ごとの国勢調査の結果によって決まります。原則として、人口密度が1k㎡あたり 4,000人以上の地域が隣接し、それらの隣接した地域の人口が5,000人以上となる地域のことを指します。
※参考:人口集中地区とは(総省統計局)
ザックリ記載すると、人がたくさんいる(いそう)場所であるとお考え下さい。
そういった場所でのドローンの飛行には危険が伴うため、許可が必要となります。
ただ、DIDの正確な定義はなかなか頭に入らない方が多いかと思います。具体的に地図でDIDの範囲を見た方が良いでしょう。
自分が飛行させようとする場所がDID(人口集中地区)なのかどうかを確認していきましょう。
国土地理院地図でDIDはすぐに調べることができる
国土地理院地図でDIDを詳細に表示させることができます。
私は長野県松本市でドローンを飛行させたかったので、DIDを調べたところ、以下のように表示されました。
この記事を公開した時点では、令和2年の国勢調査の結果が最新であることから、令和2年のものを表示させて利用しています。
この記事を見た方の時期(例えば2025年以降等)によって国勢調査の結果は変わってくるので、そこはご注意ください。
地図を表示させたら、その他を選択し、他機関の情報をクリックします。そうすると、人口集中地区令和〇年度というものが出てくるかと思いますので、最新のものを選んで表示させましょう。
表示させて赤くなっているところがDID地区です。長野県は山や田畑が多いので、DIDに該当しない面積もそれなりにある印象でした。
これで、あなたが飛行させる場所がDIDなのかどうかがわかります。
なお、DIDを調べるにあたり、国土地理院地図以外のものを用いても問題ありません。最近は便利なアプリもあります。ただ、地理院地図が基(連携)のデータになっているアプリ等を使った方が安心です。それ以外のものだと、実際のエリアとズレていることもあるようです。
自分の家の庭でもDIDに該当するなら許可が必要
自分の家の敷地内なら許可がいらないと思っている方がいるのですが、それは間違いです。
屋内であれば不要ですが、庭や駐車場など、自分が所有する土地であってもDIDに該当するのであれば許可が必要です。
また、DIDでなかったとしても、電柱などが家の近くにあることが多いと思うので、物件から30mの距離の確保できない場合の飛行の承認申請が必要になるなど、DID以外も含めたなんらかの許可承認手続きが必要なケースが多くなっています。
なお、東京都で飛ばす場合、ほぼ全域がDIDなので、基本的に許可申請が必要です。
DID地区での無許可飛行や許可されていない飛行内容による違反は多い
先ほど記載した自宅庭のケースとも関連しますが、無許可での飛行による違反例は増えています。
面倒だから、ということではなく、そもそも許可を取る必要があることを知らないという方もいらっしゃるぐらいです。
また、DIDでの飛行は制限がやや厳しくなっています。原則、DIDでの目視外飛行は禁止されておりますので、業務上やむを得ず行う際は、安全確保のための体制を強化し、適切な体制で飛行させるようにするなど、飛行内容に合わせた適切な対応をしましょう。
その他の注意点としては、夜間のDIDでの飛行や夜間のDIDでの目視外飛行などは包括申請ではできません。個別申請が必要です。許可項目の組み合わせによっては包括申請では飛行できない場合があることにもご注意ください。
近年はコンプライアンス違反に厳しくなってきておりますので、違反をしてしまうとお仕事でドローンを活用する場合、受注に悪影響が出ることもあります。発注側が気にするケースが増えてきております。
東京都内でお仕事でドローンを活用される例が特に増えていますが、DIDに該当しないということはほぼありませんので、許可を取っておきましょう。
DIDでドローンを飛行させる許可(包括申請)を取得するためにクリアするべき基準
では、国土地理院地図などで確認した結果、飛行させたい場所がDIDであった場合、どのようなことに注意して申請すれば許可が取れるのでしょうか?
ドローンをDIDで飛行させるための申請において、「追加基準」に適合させる必要があります。
追加基準への適合性
以下の基準に適合するように申請を行う必要があります。
人又は家屋の密集している地域の上空における飛行を行う場合は、次に掲げる基準に適合すること。ただし、無人航空機の機能及び性能、無人航空機を飛行させる者の飛行経歴等、安全を確保するために必要な体制等とあわせて総合的に判断し、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認められる場合は、この限りでない。(法第 132 条の 85 第1項第2号関係)
(1)無人航空機の落下による第三者に対する危害を防止するため、人又は家屋の密集している地域の上空であっても、第三者の上空で無人航空機を飛行させないことを要件とし、この場合において、次に掲げる基準に適合すること。
a)機体について、第三者及び物件に接触した際の危害を軽減する機能を有すること。
当該機能の例は、以下のとおり。
・プロペラガード
・衝突した際の衝撃を緩和する素材の使用又はカバーの装着
・衝突防止センサー(正常に機能していること及び当該センサーの有効範
囲や性能上の限界等の範囲内である場合に限る) 等
b)無人航空機を飛行させる者について、意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができること。
c)安全を確保するために必要な体制について、第三者の上空で無人航空機を飛行させないよう、次に掲げる基準に適合すること。
・飛行させようとする経路及びその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定すること。
・飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと。なお、4-3-2(3)b)に示す立入管理区画を設定する場合は、補助者の配置に代えることができる。
・飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと。なお、4-3-2(3)b)に示す立入管理区画を設定する場合は、補助者の配置に代えることができる。
※国土交通省審査要領より
まず、第三者・物件に接触した際の危害を軽減する機能として、プロペラガードが必須のようにも見えます。ただ、プロペラガードの代わりとなる適合性が提示できれば、プロペラガードを装着せずに飛行させることは可能です。具体的には、第三者が飛行経路下に入らないように監視及び注意喚起をする補助者を配置し、万一第三者が飛行経路下に侵入するおそれがあるあるいはした場合、操縦者に適切に助言を行い、飛行を中止する等適切な安全措置をとるといった内容となります。
なお、プロペラガードを付けたら補助者がいらないと思っている方がいるのですが、項目Cにも適合する必要があるため、補助者無しでの飛行は困難と言えるでしょう。飛行範囲が狭ければ、立入管理区画を設定し、確実に第三者の立入りが制限できればできるとも取れますが、現実問題としてはそれを行うことが難しいケースが大半であり、一般的な方の飛行においては補助者は必要になるとお考え下さい。また、DIDで目視外飛行が必要となることも多いため、そういった意味でも難しい場合が多いでしょう。
自社敷地や工場あるいは工事などの現場で、フェンス等で敷地が覆われ、入口付近に警備員や立入禁止が明示されているところを見かけることもあるかと思いますが、例としては、ああいうところであれば、確実に第三者の立入りが制限できていると言えるでしょう。
屋根の点検など、DIDで極力補助者を配置せずに行いたい場合もあるが、難しい場合が多い
このDIDに該当するケースで補助者の配置に悩むケースで多いのが、住宅の屋根点検です。
補助者の配置をしっかりやっていると予算が合わないという方も多くいらっしゃいます。基本的には、補助者を配置するのが望ましいという前提はありますことをご理解ください。
そのうえで、プロペラガードを装備し、立入管理区画を設定し、第三者の立入を確実に制限できれば、補助者なしでDIDでも飛行させることは不可能ではありません。
現実的に難しい場合が多いかもしれませんが、可能か不可能かであれば、可能であると思います。
なお、プロペラガードをしないのであれば、補助者は必須です。
注意事項としては、ここではDIDについてだけ記載していますが、先ほど記載したように目視外飛行もセットで行うケースが多かろうと思います。DIDでの目視外飛行は、原則禁止ではありますが、立入管理措置等の強化をすることで、飛行させることは可能です。飛行マニュアル(標準マニュアル2かカスタマイズ)において、補助者等の適切な配置・増員が必要な記載があるかと思います。そのため、補助者を配置しないことは基本的にはできないとお考え下さい。
厳密に言えば実現ができることもあり、不可能ではありません。ただ、基本的なところとしては、補助者が必要であることを前提にまずは飛行を検討してみてください。
※審査要領や飛行マニュアルを含め、規制の変化が激しいため、実際に申請あるいは飛行させる際は必ず最新の法令等を確認してください。
そのため、DIDで補助者に変えて立入管理区画を設定する場合、プロペラガードを付け、補助者に代えて立入り管理区画を設定し、確実な第三者の立入りを制限して飛行させるとともに、目視による飛行である必要が基本的にはあります。
DIDの許可申請(包括申請)自体は難しくない
申請はDIPS2.0のシステム上で行います。
実際に申請するにあたっては、DIPS画面上で機械的にチェックボックスを選択し、資料を添付すれば許可自体は簡単に取れます。なので、内容を理解していない方が多くなっています。
先ほどプロペラガードの話をしましたが、プロペラガードもなんでもOKなわけではなく、基準に合致したプロペラガードを装備し、資料を提出する必要があります。そのため、基本的には純正(メーカー指定)のプロペラガードを付けることが望ましいと考えます。メーカー指定のプロペラガード以外で申請する場合、現在時点では改造機扱いになるため注意が必要です。
プロペラガードを付けない場合、上記で記載した通り、補助者での対応する項目を選択するか、その他の欄に適合策を記入することとなります。
プロペラガードを付ける場合、つけない場合の記載もあわせて記載することも可能です。要件を満たしていればいいので、飛行状況に応じて書き方を変えることは可能です。
実際の入力という面で少し記載をすると、たとえば、資料の一部を省略できる無人航空機として国土交通省ホームページに記載されているドローンであれば、申請にあたって資料添付が省略でき、それほど大変ではありません。
初心者の方の場合、DJI Mini 3 PROの申請が比較的多いのですが、この機体も省略できる機体として記載されています。ただ、飛行形態Cにおいては注意書きがされており、条件付きであることがわかります。
こうしたケースでは、注意書きの内容に合わせて必要な資料を添付しておきましょう。これは機体により異なりますが、確認できる資料の添付となります。
あとは、システム上でDID以外の条件も加味しながら入力し、申請をするだけです。
ただし、何度も記載している通り、申請して許可を取るだけなら簡単なのですが、実際に飛ばす際に、補助者の配置を含めた立入り管理措置を行っておらず、違反しているケースが多くなっています。
飛行マニュアルを熟読しておく
申請する際は飛行マニュアルを添付(あるいは包括申請であれば航空局標準マニュアル②)しますが、飛行マニュアルをしっかり見ておきましょう。
先ほど審査要領を記載しましたが、飛行マニュアルにも同じこと(安全管理体制)が書かれています。
実際に許可が出た際は、飛行マニュアルを守って飛ばすことが条件となっています。DIDでの飛行体制はもちろんですが、その他の項目を含め、しっかりと読み込んでおいてください。
飛行マニュアル違反が多くなっています。
このページはDIDでの飛行について書いているのですが、空撮等の実質趣味に近い飛行をさせる方々の場合、DIDは避けて飛行させているものの、目視外飛行で補助者等の配置をしないことによる違反をしているケースが多いため、ご注意ください。
DID(人口集中地区)で許可不要でドローンが飛行できるケース
DID(人口集中地区)に該当しても飛ばすことができる場合はゼロではありません。
屋内や屋内と見なされる場合は許可不要で飛行が可能
本文中で何度か記載した通り、屋内であれば問題なく飛行が可能です。
また、屋外であっても、ドローンが外に出ていかないように、ネットで囲われた中で飛行させる場合は屋内と見なされ許可は不要です。
なので、屋内で練習するために飛行させるのであれば、許可は不要です。
ドローンの試運転会などは、ネットで囲まれたエリアで行うことがあるでしょう。
なお、ドローンが外に出ていかないようにする必要があるので、ネットの網目が大きくてすり抜けてしまう場合はだめです。ご注意ください。
ドローンを係留する(立入管理措置は必須)
しっかりとした強度がある30m以内の紐でドローンを係留し、飛行可能範囲に第三者が立ち入らないよう適切な管理措置を施すことで、飛行できる場合があります。
補助者を配置し、警告するなど、手間もかかります。
実現できるのであれば、飛行が可能です
なお、係留して許可が不要になったとしても、飛行計画の通報などが不要になるわけではないことにご注意ください。つまり、特定飛行には該当するということです。
屋根点検で許可不要で飛行させたいとお考えになるケースはあることはあるのですが、結局補助者の配置を含めた立入管理措置が必要なことがわかると、許可を取得される方が多い印象です。
ただ、係留することで、風で飛ばされるリスクや墜落リスクは軽減できるため、許可の要不要とは別の観点から飛行内容に応じて係留する場合は多くあります。
DIDを含めて飛行許可申請でお困りならご相談ください
ご自身で飛行許可申請をするのが難しい場合、行政書士に頼るのも一つの手段です。
DIDを含めた許可申請(包括申請)にあたっては、Webサイトやシステムへの入力が必要となり、それらが苦手であるという方もいらっしゃいます。
それほど料金は高くない傾向にあるため、もし時間がかかってしまってロスしているようであれば相談してみましょう。
当事務所でもドローン飛行許可申請代行を行っておりますので、気軽にご相談ください。
期間1年・日本全国の包括申請(DID・人物30m未満・夜間飛行・目視外飛行)を依頼する場合、当事務所も含めてそれほど高額な申請費用にならない場合が多いでしょう。
DIDも含め、許可を取得するだけでなく、よくある違反や飛行計画の通報のやり方などもございます。
包括申請だけでなく、個別申請でお困りの方や許可以前にもっと基本的なところから不安があるという場合もご相談いただければと思います。