包括申請とは?包括申請でできることや個別申請との違い、申請のやり方について解説!

ドローンの特定飛行にあたっては、飛行許可承認申請が必要となります。申請は、大きく分類すると、包括申請と個別申請があります。

包括申請と個別申請の違いがわからないという方は多いのですが、仮に違いがわかっていたとしても、自分が申請しようとしている飛行内容が包括申請で実現できるものなのかがわからないという方はさらに多い傾向です。

また、誤った認識をしている方も多く、包括申請をすればどんな飛ばし方でもできると思っている方もいらっしゃいます。包括申請でできること、できないことを把握しておらず、危ないと思う場面は少なくありません。

このページでは、そもそも包括申請とは?というところから解説させていただくとともに、個別申請との違いや注意事項、包括申請のやり方について簡単に解説させていただきます。包括申請さえすれば大丈夫と思っている方は多くいらっしゃり、うっかり航空法等に違反してしまっているケースは近年増加しているので、ご注意いただきたいと思います。

アロー行政書士事務所では、ドローンの飛行における包括申請等の代行を行っております。

申請の代行を検討されている方は気軽にお問い合わせください。

包括申請とは?できることできないこと

包括申請について簡単に記載をすると、一定の期間内(最長1年)で、特定の範囲(日本全国、〇〇県等)でドローンを繰り返し飛行させる場合の申請のことです。

具体的な申請例を記載すると、飛行範囲を日本全国とし、期間を1年間、許可内容を目視外飛行、夜間飛行、DIDでの飛行、人・物件から30m未満での飛行方法に関する申請をするケースとなります。

いわゆる、全国包括許可承認申請と呼ばれる申請内容のことを包括申請と呼ぶことが多いです。

包括申請については国土交通省航空局のページ(資料)に記載されているのですが、見てもよくわからないという方が大半です。そのため、一般的に包括申請という場合には、このような申請のことを指していると考えて頂ければと思います。

お仕事で飛ばす方が申請する最もスタンダードな許可・承認です。

■「包括申請」という場合の一般的な申請内容

  • 期間:1年
  • 範囲:日本全国
  • 許可項目:DID(人口集中地区)の飛行、人又は物件から距離30m未満での飛行、目視外飛行、夜間飛行

※包括申請は業務目的である必要があります。

許可項目としては、上記で記載した4つがスタンダードですが、それ以外にも危険物輸送・物件投下を組み合わせるケースがあります。包括申請が可能な許可項目としては、以下のものが一覧となります。

  • DID地区上空の飛行
  • 人又は物件との距離30m未満での飛行
  • 目視外飛行
  • 夜間飛行
  • 危険物輸送
  • 物件投下

危険物輸送・物件投下はあまり申請することはありませんが、代表的な例としては、農薬散布でのドローンの活用での申請となります。

上記に当てはまるような飛行内容であれば、包括申請が可能です。

包括申請すればなんでも無条件で飛ばせるわけではない。独自マニュアルや個別申請が必要になることも

包括申請をしているからといって、どのような飛ばし方でもできるわけでもありません。上記で記載した各飛行項目を複合的に組み合わせての飛行は、包括申請をしていてもできません。

たとえば、夜間における目視外飛行などが具体例としてあるでしょう。

包括申請ではあくまでそれぞれ単体で考える必要があります。うっかり違反しないようにご注意ください。

また、それ以外にも、補助者なしの目視外飛行をする必要がある場合や150m以上の高さの空域における飛行など、独自飛行マニュアルや一定の場合は経路の特定が必要になるなど、個別申請が求められ、包括申請ではできない場合があります。

そのため、ドローンを飛ばすにあたっては、どのような飛行をする必要があるのかをまずは整理し、それに対応した適切な許可・承認申請をする必要があります。また、飛行マニュアルの書き換え・作成(独自飛行マニュアル)も必要です。

意外と確認しなければならないことが多くあり、大変です。

ここ数年は、ネット上で包括申請のやり方を調べ、機械的になんとなく申請をし、許可を取得して飛行する方が多くなっています。そこでの大きな問題は、許可された内容を理解せずに飛行させて違反しているケースが多くなっているということです。

近年は航空法違反による書類送検が増加しています。危険性の問題もさることながら、こうした違反が増えるとドローンの規制がますます厳しくなっていき、飛ばすことができなくなっていきます。くれぐれも注意していただきたいと思います。

※補助者なしの目視外飛行については近年ルールが改正されています。詳しくはレベル3.5飛行のページをご覧ください。

個別申請とは?包括申請との違いについて

ここまでで、包括申請以外に個別申請という言葉が出てきました。厳密な定義ではないのですが、個別申請は包括申請が出来ない場合にする申請だとお考え下さい。

包括申請とは異なり、飛行経路や日付けを特定し、飛行ごとに行う必要があります。

個別申請が必要となるケースでは以下のようなものがあげられます。言い方を変えると、以下に該当するケースでは包括申請はできません。

  • 空港等周辺での飛行
  • 高さ150メートル以上の上空での飛行
  • 夜間における目視外飛行
  • イベント上空での飛行
  • DIDでの夜間飛行
  • 補助者を設置しない1人での目視外飛行
  • 実証実験など研究目的での飛行
  • 趣味

業務目的でないと包括申請はできませんので、趣味飛行の場合は個別申請が必要となります。

ただ、ここでいう業務の範囲はとても広くなっておりますので、自分の飛行が趣味なのか業務に当てはまるのか心配な場合はご相談ください。

包括申請における独自飛行マニュアルの重要性

包括申請をするにあたって、飛行マニュアルの添付をする必要がありますが、「国土交通省航空局標準マニュアル02」を添付して申請されている方も多いかと思います。

マニュアルに則って飛行させることを条件として許可が出されているので、本来であればマニュアルの中身を理解しておく必要があります。ただ、現実的にいま起きている大きな問題としては、マニュアルをなんとなく添付するだけで、中身を読んでいる方は意外と少ないということです。

このマニュアルに当てはまらない飛行があるならば、それが実現できる形で書き換える必要があるので、必ずマニュアルは読んでほしいと思います。実際問題飛行マニュアルに違反して飛行しているケースが多くなっており、書類送検される事例は増加しています。

包括申請が出来ない場合は飛行計画の見直しやドローン自体を変更することで対応が可能なことも

飛行が困難なケースや個別申請が必要となると手間がかかるため、包括申請の範囲内や申請をせずに飛ばしたいというケースは多かろうかと思います。

飛行計画を見直すことができるのであれば、それを検討してみたり、あるいは航空法の影響が少ない100g未満のドローンの活用を検討してみるなど、何かしらを変更することで、申請をせずに飛行が実現可能な場合があります。

何が実現したくてドローンを飛ばすのかにもよるところはありますが、申請が通らない場合、自分たちの飛行を一度見直して見るのも手段の一つです。

包括申請のやり方

包括申請はオンラインシステム上で申請を行うのが一般的です。

DIPS2.0によるオンライン申請が一般的(一部郵送も)

包括申請、個別申請、どちらも基本的にDIPSによるオンライン申請を行うのが基本です。

ログインし飛行許可承認申請画面へ行く

まずはDIPSにログインし、飛行許可・承認申請へのボタンを押しましょう。
※機体登録や操縦者の情報の登録は済んでいるものとして話を進めていきます。また、技能証明は受けていないが、必要なトレーニング(夜間飛行や目視外などの飛行訓練)は済んでいる、機体は25㎏未満と仮定し、さらに補助者も同様に訓練済みの方であると仮定しています。機体は改造機ではなく、DJI社製の国交省HP掲載機体とします。

今回新規に包括申請を行うのであれば、新規申請へと進み、カテゴリーとは画面を確認してさらに進んでください。

カテゴリー判定画面

そうすると、以下のようにカテゴリー判定の画面に遷移します。

包括申請を行う場合、DID、夜間飛行、目視外飛行、人・物件から30mの許可が一般的であることは先ほど記載させていただきました。必要な項目を入力してください。なお、繰り返しになりますが、空港周辺などの場合は個別申請となります。また、夜間飛行や目視外飛行など、適切なトレーニングが済んでいると仮定して話を進めています。

立ち入り管理措置は飛行マニュアルの通りの内容

次に、飛行リスクの緩和措置の確認の画面がでますが、立ち入り管理措置は基本的に必須ですので、利用する飛行マニュアルに記載されている内容に合わせた設定を行いましょう。基本的に、補助者を配置すること、立入り管理区画を設定することになるでしょう。

その他、30mの係留の有無、25kg未満であることなどを入力します。

飛行の目的などの項目を入力

続いて、飛行の目的を記入していきましょう。輸送宅配などに対応している機体でないのであれば、その項目にチェックを入れるのは不適切になるのでご注意ください。ここは適宜必要なものを入力すればよろしいかと思います。飛行理由(目的と同じを入れる)や飛行期間なども入力していきましょう。飛行する場所は、包括申請なので、特定しない、となります。

飛行が想定される範囲

基本的に日本全国になるかと思います。

申請先

申請場所・先はお住いの地域、飛ばす場所、包括申請なのか個別申請なのかで異なります。

包括申請の場合は、申請する方の住所が新潟県・長野県・静岡県から東の場合は国土交通省東京航空局、愛知県、岐阜県、富山県から西の場合は大阪航空局への申請となります。

ちなみに、個別申請の場合は、飛ばす場所が上記の都道府県より西か東かで変わってきます。飛ばす場所が東西に跨る場合も考えられますが、その場合は包括申請の場合と同じように、申請者の住所がどこかで判断することとなります。

また、空港等周辺や150メートル以上での飛行における申請の場合、実際に飛んでいる飛行機の影響などを考える必要があります。そのため、申請先が空港事務所になります。この場合どの空港事務所への申請が必要になるかですが、現在はドローンの飛行場所が新潟県・長野県・静岡県から東の場合は国土交通省の東京空港事務所、富山県・岐阜県・愛知県から西の場合は国土交通省の関西空港事務所となります。

ただ、ルールが結構頻繁に変わるので、実際に飛行させようと思う時の最新の情報で行うようにしてください。

機体情報の入力

ここからが実質入力の本番です。機体の追加を行い、以下のように機体情報一覧・選択画面の右の方にスクロールすると、追加基準という項目がありますので、そこを入力していく必要があります。

ここでの入力については、どの機体で飛行させるのかにもよって変わってきます。機体情報の入力が一部省略できる機体として国交省のホームページに記載されているものであれば、入力は比較的簡単です。たとえば、DID、30m未満の項目であれば、その他を選択し、プロペラガードを付けて飛行させることになりますが、そうでない場合も想定される(どちらもありうるなら)なら、その他を選択し、純正のプロペラガードをつけることと、プロペラーガードを付けない場合補助者を配置して第三者が入らないように注意喚起を行うことを記載するようにしましょう。Dji Mini 3などの一部の機体では純正のプロペラガードを装着した画像を添付する必要があります(どの機体がどこまで省略できるかは国交省のページをご確認ください。随時変わります)。

その他の項目も、機体や飛行内容に合わせて記載あるいは必要書類を添付してください。

目視外にあたって、自動操縦システムが装備されていない機体の場合であれば、選択肢の中から選ぶか、あるいは改造により自動操縦システムを追加装備し、必要な基準に合わせていることとその証拠となる書類をアップして提出する必要があります。先ほど同様に、両方できるように記載することも可能です。ここも機体によって仕様が異なるので、自身の機体に合わせて行ってください。なお、資料及び写真は省略できないため、カメラに映像が映っていることなどがわかる画像をアップする必要があります。

これらの入力が済んだら、操縦者の追加も忘れずに行ってください。

使用する飛行マニュアル

この項目において、機械的に航空局標準マニュアル02を選択して違反している方が少なくありません。

近年は少なくなったと聞いておりますが、そもそもマニュアルを見たことがないという方も多いようです。まずは、飛行マニュアルを読んでみて、この内容で飛ばせそうか確認してください。

難しいと考えられる場合、独自飛行マニュアルを作成し、添付しましょう。

その他、保険の有無などの画面がありますが、現時点では保険に加入している必要はありませんし、賠償能力無しを選択しても許可は出ます。

今後どうなるかはわかりませんが、いずれにせよ嘘を書くことはできませんので、現状の状況で記載してください。

申請するということ自体は難しくないが、違反も多い

包括申請をすること自体はそこまで難しい作業ではありません。ただ、作業になってしまっていて、実態とは違う許可を取得して飛行させ、違反しているケースが多いです。また、審査のための書類を一部省略できない機体など、場合によっては条件をクリアするのに手間がかかるケースがあります。審査に時間がかかることや補正が来るケースも多いため、時間的なゆとりをもち、注意して進めましょう。また、飛行マニュアルにもご注意ください。

飛行計画の通報と日誌は義務

特定飛行を行う場合、飛行許可申請が必要なことはご理解いただけたかと思いますが、仮に包括申請の許可が取れたとして、実際に特定飛行に該当する飛行をさせる際は飛行計画の通報が必要です。

これをやらずに飛ばすと罰則があります。

許可が出たら問題ないと思っている方が多く、最近はこの飛行計画の通報をしないことによる違反事例が目立つような気がします。くれぐれもご注意ください。DIPS上で行えます。

なお、特定飛行でなかったとしても、飛行計画の通報は安全面などから推奨されていますので、通報する癖をつけましょう。

包括申請のやり方を覚えて機械的に申請を行うのは危険。飛行内容と許可内容、マニュアルなどを理解する

冒頭でも記載しましたが、包括申請をすればいつでもどこでも好きなようにドローンを飛ばせると思っている方が一定数いらっしゃるのですが、そのようなことはありません。

ルールを理解し、適切な飛行を心がけてください。

また、飛行マニュアルを読んだことが無いという方も結構いらっしゃり、違反するケースも増えています。

くれぐれもご注意ください。

実際の申請にあたっては、当事務所も含め、行政書士に依頼することも検討してみてください。

また、包括申請はそこまで難しい申請ではないと記載しましたが、自分が飛行させようと思っていることが本当に包括申請で問題ないのか不安だという方も多いですし、システムの使いにくさなどの問題などから苦戦し、結局代行依頼をされるお客様もいらっしゃいます。

ご自身でやるのが難しいと思った場合はご相談ください。

ドローンの飛行許可申請代行に関するサービスのページも合わせてご確認いただければと思います。

執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請の代行を始めとして、各種許認可取得サポートを行っている他、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。ご依頼・ご相談などはお問い合わせよりご連絡ください。
所属:日本行政書士会連合会、東京都行政書士会 立川支部