副業で酒類販売免許を取得することはできる?経営経験やお酒の販売経験のない会社員の酒販免許申請

世の中の流れとして副業が一般的になりつつありますが、お酒の販売に興味があるということで、会社員の方が副業で酒類販売業免許の取得を目指すケースが一定数あります。

ただ、税務署等に相談した結果、酒類販売業免許要件を満たしておらず難しいのでは?と断られてしまうケースもあるようです。

特に若い方の場合は経営経験や酒類業界での経験が不足しているということで事前相談の段階でNGといわれてしまう場合が多いように感じます。

実際に取得が厳しいケースはもちろん多いのですが、そういった断られてしまった方の中には免許取得要件がクリアできそうなのに断られてしまう方もいらっしゃいます。これまでの経歴の棚卸と伝え方次第では不可能ではない場合があります。

このページではそんな副業での酒類販売業免許取得を目指す方向けに免許取得に向けて確認するべき事項についてみていきたいと思います。

なお、アロー行政書士事務所では副業の方も含めて酒類販売業免許申請をサポートしております。お困りの方はぜひご相談ください。

そもそも会社が副業を禁止していないか確認をする

副業を認めてくれる会社は多くなりましたが、世の中すべての会社がそうであるわけではありません。正当な理由があって禁止しているところもあるでしょう。

会社が副業を禁止している場合において、会社に黙ってこっそり酒販免許を取得してお酒の販売ビジネスをやってしまおう!とお考えになる方もいるのですが、それでは免許は取得できません。

税務署からも職場のルールに違反していないかの確認が求められるほか、承諾書を提出してほしいといったことを求められることもあります。

まずは自分の勤務する会社が副業OKなのか?やろうとしているビジネスが会社の規程上NGではないか確認するようにしましょう。

経営能力があるかどうか?

酒類販売業免許では、申請者に経営能力(経営経験)があるのかどうかが審査されます。

役員として会社を経営をした経験があれば問題ありませんが、会社員として副業でお酒の販売免許を取得しようと思っている方の大半は会社の経営経験などないという方が大半です。

そして、このために酒類販売業免許の取得は難しいという判断をされてしまうケースが多くなっています。経営経験3年以上ないので無理ですね、といわれてしまうケースもあろうかと思います。

ただ、実際に経営者としての経験がなくても酒販免許申請が可能なケースというのは免許区分によってはございます。

具体的にどういう経験があったらOKであるという具体的な指標や基準があるわけではありませんが、経営者ではないものの、部長や部門責任者として事業の運営を任されていた経験があるなど、過去のご経験等を含めて検討の余地がある場合は意外とあります。

上記はあくまで一例ですが、もし経営経験がなくて要件が満たせそうになくて不安がある場合はサポートさせていただくことは可能です。

なお、個人事業主の経験も経営者と言えますので、個人事業で独立していたことがある方は経営経験があると考えることができるでしょう。

お酒の販売業の経験があるか?

酒類販売業の経験の有無も審査の要件となってきます。

酒屋さんやスーパーなどでのお酒の販売経験があるという場合はまさに経験があると言えるでしょう。

また、こうした経験がない方は何かしらでもお酒の販売に関係するお仕事の経験がないかを探ってみることも重要です。

お酒の販売経験とは少しずれますが、居酒屋で働いたことのある経験も何もないよりかは審査上良い意味で考慮されるケースがあるため、とにかく何でもいいのでお酒に関する仕事の経験がないかを考えてみましょう。経営経験よりは満たしやすい要件です。

また、酒類販売管理研修を受講することでお酒の販売経験に関する要件を一定度カバーできる場合が多いため、過去の経験と研修受講経験からクリアできる場合が多くなっています(酒類小売業免許の場合)。

販売場として適切な場所が用意できるか?

酒類販売業免許の申請にあたって意外と苦戦するのが場所的要件のクリアです。

副業の場合、インターネットを活用してお酒を販売するだけだから店舗は不要で所有するマンションや賃貸マンションの1部屋を事務所として利用して販売したいといったケースが多くなっています。

インターネットを活用したお酒の販売、つまり通信販売酒類小売業免許の申請にあたってはマンションの1部屋を事業用の場所とするということでも免許自体は取得できます。

ただ、居住用で利用しているかと思いますので、賃貸であれば賃貸人(所有者等)の承諾が必要となりますし、所有するマンションであるならばマンションの管理組合等の承諾が必要となります。賃貸であれば契約書上の記載内容まで見られるので細かい部分でNGな場合も出てきます。

また、ワンルームマンションのように居住用スペースと事業用スペースとか区分できないような場合は厳しい場合が多くなっています。

マンション等で酒類販売業免許を取得したいというケースではかなり苦戦するケースが多いため注意が必要です。

レンタルオフィスの利用も不可ではないが厳しい現実がある

レンタルオフィスで酒類販売業免許を取得しているケースはもちろんあります。なので不可能ではありません。

ただ、厳しい場合が多くなっています。

レンタルオフィス会社側が許認可等での利用をNGとする場合がある他、レンタルオフィスというビジネスの形態上、所有者と貸主が別というケースが多くなっており、所有者からの承諾が得られないという場合も多くなっています。

あくまで一例ですが、レンタルオフィスを借りる前に酒類販売業免許を取得し酒類販売業を行うが問題ないか?をレンタルオフィス側に確認し、協力してもらう必要があることを伝えましょう。

なお、不可能でなかったとしても面倒がって別の方を優先して入れてしまうことも多いと感じます。

酒類販売業を行う時間はあるのか?管理できるのか?副業ならではの問題

副業でお酒の販売をするっていうけど、ちゃんと管理できるの?本業が忙しくて放ったらかしになっちゃうんじゃない?といった疑問を持たれてしまいますので、しっかりと問題ないことをアピールする必要があるでしょう。

酒類販売業免許業者として、適切な酒類販売業が行える体制なのかは審査の対象となります。

仕入から顧客対応まで含めて問題なく対応できることが計画からわかるようにする必要があります。

どの酒類販売業免許が必要なのか?

酒類販売業免許とひとくちに記載してきましたが、酒類販売業免許は販売方法や仕入先・販売先、販売するお酒の種類によって必要な免許は変わってきます。

大きく分類すると、「酒類小売業免許」と「酒類卸売業免許」の2つがあります。

このうち、副業の場合は一般消費者や飲食店向けの販売で必要となる「酒類小売業免許」の取得を目指すケースが多いでしょう。

なお、酒類小売業免許も一般酒類小売業免許や通信販売酒類小売業免許といった形で複数の免許区分にわかれています。ここですべてを解説するのは難しいため、以下のページもご参考ください。なお、副業の場合は通信販売酒類小売業免許の取得を目指すケースが多いでしょう。

副業の場合は通信販売酒類小売業免許取得を目指すケースが多い

副業でお酒の販売ビジネスを始めたいという方は多数いらっしゃり、皆様の将来の展望は人によりさまざまです。

ただ、多くの方に共通しているのがまずは小さく始めていこうとお考えのケースが多いということです。

副業でまずはネット販売のみでスモールスタートし、大きな需要が見込めそうなら店舗型や飲食店等への販売も開始していきたいといった展望がある方が多いので、まずはネットで販売するための免許、つまり通信販売酒類小売業免許の取得を目指すケースが多くなっています。

通信販売酒類小売業免許は他の免許と比べると要件のハードルが低く取得しやすい

通信販売酒類小売業免許は他の酒販免許と比較すると取得しやすくなっています。

冒頭で記載したように、経営経験がないということで断られてしまう方の場合、比較的経験が浅くても審査が通過しやすい通販免許の取得をまずは目指すというのも一つの手段です。

なお、経営経験等が不用なわけではなく、審査要件が他の免許と比べると良くも悪くも裁量が及びやすいため、進め方次第では若い方でも十分取得は可能なケースがあります。

酒類ビジネスのスタートとして通信販売から入っていくというのは、副業との相性でも良く、また、将来別の小売業免許や卸売業免許取得を目指す際に酒類販売業・経営経験値を高めるという意味でも悪くない選択肢だと思います。

副業の個人が酒類販売業免許を取得する際の要件等詳細について

このページでは副業で酒類販売業免許を取得することに要点を絞って記載させていただきました。

ただ、この他にも満たすべき要件はあります。

個人が酒類販売業免許を取得することについて解説したページがありますので、そちらのページもぜひご覧ください。

副業で酒類販売業免許取得を目指すなら行政書士にご相談ください

アロー行政書士事務所では副業の方を含めて酒類販売業免許申請のサポートを行っています。

要件的に厳しいかな?と思われるケースでも一度ご相談いただければと思います。

特に経営経験についてはなかなか自分では判断しにくいかと思いますし、客観的な視点も必要な場合がありますので、ぜひサポートさせていただければと思います。

酒類販売業免許の申請代行・サポートサービスの詳細は酒類販売業免許申請サービスページもあわせてご覧ください。

執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請や古物商許可申請、酒類販売業免許申請等の許認可申請と契約書作成代行業務を中心に行っています。また、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。写真撮影に凝っていた時期がありドローンもその一環でよく飛ばしていました。また、著作権相談員(日本行政書士会連合会)として登録されています。
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