国道などの交通量の多い道路の上空・付近でのドローン飛行許可申請と注意点

国道上空を適切な許可を得ずにドローンを飛行させ、書類送検されたニュースが一時期話題となりました。

このほかにも、国道上空から撮影した映像に関して、違反飛行なのでは?と話題になるケースがあります。

こうした違反の報道によって、交通量が多い道路付近での飛行に際して、どのような申請をすれば飛ばせるのか?という飛行許可申請の相談が一程度増えたような気がします。

ここでは、国道を含め、交通量の多い道路付近でドローンを飛行させる際の許可承認申請について見ていきたいと思います。

なお、アロー行政書士事務所では、ドローンの飛行に関する許可承認申請の代行を行っています。交通量が多い道路や鉄道付近で飛行させる際の許可でお困りであればご相談ください。
※本ページは内容を一般化して記載しているため、具体的な場所や条件によっては当てはまらないケースがあります。予めご了承ください。

交通量の多い道路や鉄道、高速道路の上空・その付近は包括申請では基本的にドローンは飛ばせない

ご自身で包括申請を行って許可を取得している場合、航空局の標準マニュアル02を利用しているかと思いますが、標準マニュアル02には、交通量の多い道路上空・付近での飛行ができないことが記載されています。
※インフラ点検用マニュアルであれば包括申請でも飛行できます。

包括申請ではこの部分は基本的に書き換えることはできません。

したがって、包括申請で交通量の多い道路の上空やその付近で飛行させると違反となります。

意外と知らない人がいるようで、交通量の多い道路の近くで普通に飛ばしてしまう方はいらっしゃるようです。ご注意ください。

ニュースで違反の報道が増えてから、幹線道路付近で飛行させる場合は包括申請とは別に申請が必要だろうと考え、ご相談いただくケースは最近増えています。

飛行マニュアルを理解していない方の場合であっても、交通量のある道路の真上が危ないことは肌感覚でわかるため、なんとなくダメだと思っている方は多いです。

ただ、その「付近」も飛行できないことまでは考えた及ばず、道路の真上じゃないから飛ばせるでしょ?ということで違反するケースがあるのでご注意ください。

なお、包括申請と言う場合、世間一般的に、期間1年、飛行範囲を日本全国、許可項目をDID、夜間飛行、目視外飛行、人又は物件から30m未満での飛行のことを指しています。一定期間、複数の場所で繰り返し飛行させる際の申請となります。

もし、包括申請が何なのかわからないという方がいらっしゃれば、以下の記事をご覧ください。

特定飛行を行う場合、第三者の上空は飛行できないため、交通量の多い道路の真上を飛ばすのはそもそも難しい

特定飛行を行う場合、第三者上空は基本的に飛行できません。

その視点で行けば、そもそものところで道路上空での飛行が難しいことはご理解いただけるかと思います。なので、普通の方は、道路の真上を道路に沿う形で、移動する人や車を追いながら飛行させて撮影するなどはできません。

また、第三者上空とは、道路の直上(通行人や移動中の車両等の真上)だけでなく、ドローンが落下した際の距離も考える必要があります。

このあたりは操縦者(運航者)判断となりますが、いずれにせよ、道路付近での飛行に注意が必要なことはわかるかと思います。

なお、ドローンを道路の上空で飛行させること自体が禁止されているわけではありません。

「交通量」と「付近」に明確な定義がないので判断が難しい

この道路は交通量が多いです、道路から〇m離れていたら大丈夫です、という明確な基準がないため、道路が近くにある場合において、飛行させていいのかどうかの判断が難しいことがあるかと思います。

国道などの幹線道路や都市部にある明らかに車がビュンビュン走っている道路であれば明らかに交通量の多い道路と言えるかと思いますが、微妙な道路もあるかと思います。

「付近」という言葉の定義に関しては、なぜか30mくらいと思っている人も多いようです。

ただ、実際にはそのような決まりがあるわけではありません。風速や高度、機体の重量、天候によっても変わってきます。

最悪のケースとして、墜落した際に、道路に入ってしまうおそれがあるのであれば、それは付近であると考えて適切な許可申請を行っておく方が良いでしょう。

迷うくらいの交通量・距離であれば、それは交通量の多い道路であり、付近であると考えて申請しておいた方が安全でしょう。

国道などの交通量の多い道路付近でドローンを飛ばす場合は個別申請で許可を取得しておく

包括申請では交通量の多い道路付近では飛行できないことを説明しました。

なので、交通量の多い道路やその付近でドローンを飛行させる場合、個別申請をする必要があります。場所等を特定する個別申請であれば、飛行は不可能ではありません。

飛行経路や補助者の配置、飛行内容、安全確保のための体制などを別途記載する必要があり、少し手間はかかりますが、飛ばす必要がある場合は個別申請をしましょう。

飛行マニュアルも包括申請で使用するものとは異なりますので、マニュアル違反にならないように作ることが可能です。

先ほども記載しましたが、交通量の多い道路の「付近」に該当するかどうか微妙な場合も、迷うようであれば申請しておいた方が良いと思います。

墜落させてしまったりなど、万が一の事態が発生した際に、適切な許可を取得していたのかどうか、これによりあなた自身が被る損害も変わってくるので、申請しておいて損はないでしょう。

他者への迷惑・危険を最小限に抑えるのは当然なのですが、あなた自身へのリスクも考えた運用を行ってください。

個別申請をすれば好きなように飛ばせるという意味ではありません

なお、念のための記載となりますが、個別申請をすれば第三者上空が飛行できる、というわけではありません。そのため、第三者の上空を飛行させないようにする必要があることには変わりないことは改めて記載しておきます。

道路上空を飛行させる場合・可能性があれば、どういった場合にそれが可能なのか、補助者をどこに配置するのかなどは考えておく必要があります。

道路付近での飛行も含め、個別申請が必要となる飛行許可申請の場合、調整が必要なこともあるので、必ず希望に沿う場所・高度で飛行できるとは限らないことに注意してください。個別申請は補正が入ることも多いです。

条例や小型無人機等飛行禁止法などその他の規制も確認しておいてください

条例や小型無人機等飛行禁止法など、その他の規制に係るケースもあります。

ドローンの飛行は航空法だけを守れば良いというわけではありませんので、ご注意ください。

道路使用許可が必要となるケースはそれほど多くない

道路でのドローンの飛行というと、道路使用許可が必要であるとお考えになる方は多いのですが、原則道路使用許可は不要です。

ただ、道路上で離着陸するなど、道路交通に著しい影響を与える場合などにおいては必要となることがあります。

ドローンの飛行と道路使用許可については以下の記事で解説しておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。

交通量が多い道路上空や道路付近の飛行許可申請をお考えであればご相談ください

道路付近の飛行も含め、個別申請をするにしても、飛行にあたって安全確保をどうするのかを考える必要があります。

また、個別申請は包括申請と異なり手間がかかるため、個別申請の場合だけご依頼いただくケースも多くなっています。

交通量の多い道路付近でのドローン飛行としては、建設業における工事実績や現場写真の撮影の他、空撮案件での申請が多い印象です。

このページでは、サラッと記載しましたが、許可が出るまでに時間がかかるケースも多いため、余裕を持ったスケジュール感で許可取りも行うようにしてください。

もし、申請でお困りであればご相談ください。

飛行許可申請代行のサービス内容は当該ページをご覧いただければと思いますが、個別申請の場合、飛行内容によるため、お見積りとなりますが、それほど高くはならないかと思います。

執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請の代行を始めとして、各種許認可取得サポートを行っている他、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。ドローンはDJI Mini 3を保有し、撮影しています。
ドローン飛行許可申請ガイドの運営を行っています。ぜひご覧ください。
ご依頼・ご相談などはお問い合わせよりご連絡ください。
所属:日本行政書士会連合会、東京都行政書士会