ドローンの飛行における「カテゴリー」と「レベル」の違い

ドローンの飛行には、飛行カテゴリーと飛行レベルという2つの重要な概念があります。これらはドローンの飛行を管理するための基準ですが、それぞれ異なる目的と定義を持っています。本記事では、飛行カテゴリーと飛行レベルの違いを解説します。ドローン飛行許可申請にあたってはこの違いを理解しておくことは非常に重要ですが、違いが判らないという方は意外といらっしゃいます。この機会にぜひご参考いただければと思います。

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カテゴリーとレベルの違いはリスクと飛行形態での違い

はじめに、飛行カテゴリーと飛行レベルの違いをザックリ記載します。

飛行カテゴリーとは、飛行のリスクに応じて3つのカテゴリーに分類したものを指します。

飛行レベルとは、ドローンの飛行形態(どのように飛ばすか)を4つのレベルで分類したものを指します。

飛行カテゴリー

飛行カテゴリーは、カテゴリⅠ~Ⅲの3つに分類されています。

  • カテゴリーⅠ飛行:特定飛行に該当しない低リスクな飛行です。許可承認が不要で、比較的安全な飛行形態です。
  • カテゴリーⅡ飛行:特定飛行に該当し、立入管理措置を講じて飛行させるものを指します。立入管理措置は第三者の立ち入りを制限し、第三者上空での飛行を避けるためのものです。
  • カテゴリーⅢ飛行:特定飛行に該当し、立入管理措置を講じずに行う飛行を指します。つまり、第三者上空で特定飛行を行うリスクの高い飛行形態です。

このうち、カテゴリーⅡ飛行はリスクの度合いに応じてさらにカテゴリーⅡAとⅡBに分類されます。

飛行カテゴリーについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。

飛行レベル

飛行レベルは、ドローンの飛行形態を4つのレベルで分類しています。それぞれのレベルは、飛行方法や環境に応じた異なる条件を持っています。

  • レベル1飛行:操縦者自身がドローンを見ながら操縦(目視内で操縦)する形態で、最も基本的で初心者向けの飛行レベルです。
  • レベル2飛行:操縦者がドローンを見ながらプログラムされた経路を自動で飛行(目視内で自動飛行)させます。
  • レベル3飛行:目視外飛行を無人地帯で補助者なしで行います。第三者がいない場所での飛行が想定です。立て看板等立入管理区画の設定が必要です。
  • レベル4飛行:目視外飛行を有人地帯で補助者なしで行います。国家資格(一等)と第一種機体認証が必要です。

さらに、レベル3.5飛行が2023年12月に新設されました。これは、目視外飛行を無人地帯で補助者なし(機体に設置されたカメラで確認)で行う飛行形態です。レベル3.5飛行には国家資格(二等以上で目視内限定解除)が必要です。

飛行レベルについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。

飛行レベルと飛行カテゴリーの関連性

最近よく耳にする、レベル3.5飛行は、どの飛行カテゴリーでしょうか?

レベル3.5飛行は、無人地帯を補助者無し、立入管理区画無しで目視外飛行するものです。ただ、立入管理措置が不要ということではなく、機上に設置されたカメラ、地上のモニターで確認することをもってこれらに代えるということになります。

つまり、特定飛行を立入管理措置を講じて行う飛行なので、カテゴリーⅡ飛行となります。

一方で、レベル4飛行は、補助者を配置せず、有人地帯を目視外飛行するものなので、カテゴリーⅢとなります。

カテゴリー決定のフロー図:国土交通省無人航空機の有人地帯における目視外飛行(レベル4)の実現に向けた検討中間とりまとめより引用
飛行のリスクの程度に応じた各カテゴリーの飛行形態と主な規制内容のイメージ図(国土交通省無人航空機の有人地帯における目視外飛行(レベル4)の実現に向けた検討中間とりまとめより引用)

この図からもわかりますが、飛行レベルが上がると、飛行カテゴリーも高くなります。

国家資格が必要となる飛行カテゴリー、飛行レベルは?

上記の図にも記載がありますが、カテゴリーⅢ飛行は国家資格(一等)が必要です。つまり、レベル4飛行は国家資格一等が必要であるということです。

また、図には記載がありませんが、レベル3.5飛行も国家資格(二等)が必要です。

必須になるという意味では、この2つを押さえておく必要があります。特にレベル3.5飛行は注目です。

なお、カテゴリーⅡBに該当する飛行(DID、人物30、目視外、夜間の所謂包括申請でよくあるやつ)は、国家資格二等で第二種機体認証を受けた機体であれば、許可承認不要で飛ばせます。そういった意味では、必須ではないものの、便利になります。

このあたりの詳細は別途各ページで解説しておりますので、そちらをご覧ください。

係留飛行はカテゴリーⅠ?Ⅱ?

ドローンを30m以内の丈夫な紐で係留し、適切な立入管理措置を行って飛行させる場合、特定飛行に該当する項目のうちの一定の飛行において飛行許可承認手続きが不要になります。

DIPSアカウント上で、係留飛行にチェックを入れて、包括申請で一般的に行う4項目で申請を進めると、カテゴリーⅠ飛行です、と表示されます(2024年6月時点)。

そのため、カテゴリーⅠに該当すると思っている方もいるのですが、あくまでカテゴリーⅡ飛行において許可承認手続きが不要になるだけであり、カテゴリーⅠ飛行にダウンするわけではないようです。

そのため、特定飛行であり、カテゴリーⅡ飛行であることにご注意ください。

なぜ注意が必要かというと、飛行計画の通報などが必須になるからです。

詳細は以下の記事をご覧ください。

飛行許可申請が必要になるカテゴリー・レベルは?

航空法における飛行許可承認手続きが必要となるのは特定飛行を行う場合です。

つまり、カテゴリーⅡ以上の飛行であれば、許可承認申請が必要です。

一方で、レベル1の飛行、つまり目視内飛行で自分で操縦する場合であっても、特定飛行に該当するならば、許可承認手続きが必要です。

たとえば、人又は物件から30m未満での飛行やDIDでの飛行です。

そのため、飛行レベルでは一概には言えないということとなります。

なお、飛行許可申請は基本的にDIPSシステム上で行いますが、レベル3.5飛行等はDIPSでの申請ができず、紙での申請(メール)が求められます。

DIPS改修も進められているようですので、そのうちできるようになるかもしれませんが、2024年時点ではレベル3.5飛行においてはDIPS申請ができませんのでご注意ください。

事前の相談等を行う必要があります。詳しくは、レベル3.5飛行のページをご覧ください。

飛行カテゴリーと飛行レベルの違いのまとめ

このページでは、簡単に飛行レベルとカテゴリーの違いについて解説しました。

この違いを理解するとともに、各飛行レベルあるいはカテゴリーの内容を詳細に理解することも重要です。

特に最近はレベル3.5飛行に関する問い合わせや相談はあるものの、意外と理解できている方は少なくありません。

許可申請をする際はもちろん、違反しないためにも、各カテゴリー・各レベルの概念をしっかりと理解しておきましょう。

アロー行政書士事務所について

アロー行政書士事務所は東京都立川市でドローンを中心とした許認可等の取得支援を行っています。

飛行許可の他、登録講習機関登録申請のサポートなども行っています。

ドローンに関することでお悩みがあれば、ご相談ください。

なお、事務所は東京にございますが、オンラインや電話等で全国に対応しています。遠方の方も気軽にご相談ください。

執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請の代行を始めとして、各種許認可取得サポートを行っている他、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。ドローンはDJI Mini 3を保有し、撮影しています。
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所属:日本行政書士会連合会、東京都行政書士会