ドローンのレベル1・2・3(3.5)飛行など各種飛行レベルと許可申請について解説

ニュース等で「レベル4飛行における輸送の実証をほにゃらら」といったことを目にすることも増えましたが、レベル3とか4とかよくわからない、という質問をいただくことがあります。

最近ドローンの導入を始める方も増えているため、ここでは基本的な内容であるドローンの飛行レベルについて解説していきます。

飛行レベルはドローンの段階的発展に向けたロードマップ

「空の産業革命」に向けて、ドローンの利活用と技術開発のためのロードマップが策定されています。これは、ドローンの本格的な産業利用に向けて、飛行内容や技術に応じて段階的にレベル分けを行うものです。

出典:国土交通省無人航空機に係る制度検討の経緯についてより飛行レベルについての図

上記の図の通り、レベル1飛行は「目視内での操縦飛行」、レベル2飛行は「目視内での自動飛行」、レベル3飛行は「目視外飛行を無人地帯で補助者なし(立入管理区画の設定)」、レベル4飛行は「目視外飛行を有人地帯で補助者なし」で行うものとなります。

なお、この図には記載されていませんが、2023年12月より新設されたレベル3.5飛行は、「目視外飛行を無人地帯で補助者なし(機体に設置されたカメラで確認)」が可能となりました。

レベル1:目視内で操縦飛行(無人地帯・有人地帯)
レベル2:目視内で自動操縦(無人地帯・有人地帯)
レベル3:目視外で無人地帯(補助者なし、看板等設置)
レベル3.5:目視外で無人地帯(補助者なし、カメラ確認)
レベル4:目視外で有人地帯(補助者なし)

以下はロードマップの図です。

出典:国土交通省無人航空機に係る制度検討の経緯についてより空の産業革命に向けたロードマップ

ここからは、各レベルの内容について簡単に見ていきましょう。

レベル1飛行について

レベル1飛行は、目視内での操縦飛行です。

目視内の定義は、操縦者自身がドローンを直接見ながら操縦することを指します。誰かが代わりに見て操縦する場合、それは目視外飛行となります。そのため、補助者を配置して操縦者に代わってドローンを見てもらっている場合も、それは目視外飛行であり、目視内飛行には該当しません。

この飛ばし方は最もスタンダードで、初心者の方でもイメージしやすい飛行形態です。

レベル2飛行

レベル2飛行は、目視内で自動操縦によるドローン飛行を行う形態です。

機体にもよりますが、ドローンはあらかじめプログラムされた飛行経路を自動で飛ばすことが可能です。それを操縦者の目視範囲内で飛行させます。

例えば、農地で決まった範囲に農薬を散布する場合がイメージしやすいでしょう。また、点検や測量などの現場でも、自動操縦による飛行が多く行われています。

レベル3飛行

レベル3飛行は、目視外飛行を無人地帯で実現する飛行形態です。

第三者がいないことが想定される場所(海や山、河川など)で、目視外飛行を補助者なしで行います。ただし、補助者は不要でも、立入管理措置が不要というわけではなく、立て看板の設置など、立入管理区画を設定する必要があります。これにより、事業での導入においては不便なことも多く、広範囲を飛行させる場合に立て看板を設置するのは困難です。

そこで、補助者も立て看板も不要とするレベル3.5飛行が新設されました。レベル3.5飛行では、無人地帯を補助者なしで目視外飛行する点ではレベル3と同じですが、立て看板の代わりに機上に設置されたカメラで確認することが求められます。また、レベル3.5飛行には国家資格が必要であり、二等以上で目視内限定解除が必要です。

人がいない場所を想定しているため、過疎地など一定の場所でしか飛行できませんが、それでも物流を始めとして、インフラ点検や測量などの現場での利用が検討されています。日本が抱える社会的な課題の解決に向けて、ドローンの活用がしやすい形に徐々に変わってきています。

詳しくはレベル3.5飛行のページをご覧ください。

レベル4飛行

レベル4飛行は、有人地帯(第三者上空)を補助者なしで目視外飛行することを指します。

これが可能になれば、市街地での飛行も実現できるため、ドローンの活用は一層便利になるでしょう。特に物流の現場では、人員不足、渋滞、配送員の過労など、さまざまな問題が発生しています。ドローンが有人地帯で利用できるようになれば、こうした問題の解決や改善に大きく寄与することが期待されます。

なお、レベル4飛行を行うためには、国家資格(一等)と機体認証が必要です。

レベル4飛行についての詳細は、別途レベル4飛行の解説ページをご覧ください。

飛行許可申請について

飛行許可申請は、特定飛行に該当する場合に行うものですので、飛行レベルとはまた違った考え方が必要です。

特定飛行に該当しない飛行をカテゴリーⅠと呼びます。つまり、カテゴリーⅠの飛行は許可承認が不要です。

特定飛行に該当し、立入管理措置が必要となる飛行をカテゴリーⅡとよびます。カテゴリーⅡの中でも、飛行内容ごとにカテゴリーⅡA、ⅡBなど、飛行リスクに応じて分類があります。カテゴリーⅡに該当する場合、許可承認申請が必要です。許可申請は基本的にDIPSオンラインシステム上で行います。ちなみに、レベル3/3.5飛行もカテゴリーⅡに該当します。

ただ、レベル3.5飛行の申請は、2024年7月現在DIPSシステム上でできないため、紙申請(メール等)となります。詳しくはレベル3.5飛行のページをご覧ください。

カテゴリーⅢ飛行は、特定飛行の中で、立入管理措置をしない飛行となります。つまり、レベル4飛行はカテゴリーⅢに該当するわけです。

このカテゴリーと飛行レベルがごっちゃになっている方もいらっしゃいますが、許可申請の要不要という意味では、特定飛行に該当するかどうかを確認する必要があります。特定飛行については以下のページをご覧ください。

レベル3.5飛行により国家資格の必要性が増した

これまで国家資格の取得に対して意義を感じていなかった方もいましたが、レベル3.5飛行にあたっては、二等以上の資格が求められるため、その必要性が高まっています。

レベル3.5飛行は、現実的に多くの場面で申請が進んでおり、需要も増しています。そのため、国家資格を取得する意義も大きくなったと言えるでしょう。

また、レベル3.5飛行の申請に際しては、DJIの機体において落下距離計算情報の提供が必要でしたが、2024年5月以降、一部の機体でこの情報の提供が開始されています。これにより、レベル3.5飛行が一層実現しやすくなっています。

このように、レベル3.5飛行の需要が高まる中で、国家資格取得の重要性も増しています。安全かつ効率的にドローンを運用するためには、国家資格を取得することが今後ますます重要になるでしょう。

飛行レベルについての解説まとめ

このページでは、レベル1からレベル4飛行について、簡単に解説させていただきました。

許可申請については、特定飛行を行うかどうかによると記載しましたが、レベル3.5飛行の申請にあたっては、通常のDIPSでの申請ができないという点では注意が必要です。

また、実質趣味的な空撮などでの申請はおそらく通らないと考えます。

そういった意味では申請において注意が必要です。

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執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請の代行や建設業許可申請、産業廃棄物収集運搬業の許可申請を行っている他、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。ドローンはDJI Mini 3を保有し、撮影しています。
ドローン飛行許可申請ガイドの運営を行っています。ぜひご覧ください。
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所属:日本行政書士会連合会、東京都行政書士会
行政書士登録番号:24080257