ドローン飛行規制運用の解釈の変更について解説!【令和6年(2024年)6月10日改正】

2024年6月11日、国土交通省のホームページに、無人航空機に係る規制の運用における解釈についてのPDFが公開されました。1年半ぶりの改正です(前回が令和5年1月26日)。

差分を確認し、どこが変わったのかを把握するとともに、その内容・意味について見ていきたいと思います。
※上記PDFがリンク切れになっていた場合、国土交通省HPよりご確認ください。下の方のお知らせ欄等から見ることができます。

所感

概念としては新しいものはそこまで多くないものの、記述としては大きな変更箇所もあることから、比較的注目度の高い改正だったように思います。

「第三者」に関する解釈において新たに追加されたものはあるものの、全体を見ると大きな変更や追加はあまりなく、どう解釈すべきか微妙だったところ(グレーな部分など)に、具体的なシチュエーション・事例が追加され、勝手な判断・解釈をされないようにしたのかなという印象を受ける変更でした。

また、令和5年度のカテゴリ―Ⅱ(レベル3)飛行の許可・承認申請に関する説明会で説明された内容(バッテリー確認でプロポ一瞬見たら目視外なのか?や間接関与者の例等)が盛り込まれていました。こうした部分は解釈についての書類には元々記載がなかったので、それらが盛り込まれることで大きな変更があったように見える形となっています。

整備的な側面の強い改正であると個人的には感じております。

次に具体的な変更点を見ていきましょう。

具体的な変更点と変更内容

確認しておくべき具体的な変更点は、以下となります。
※細かい変更点(無人航空機を飛行させる者を操縦者とする、など)について、意味が変わらない変更に関してはノータッチですがご了承ください。

■変更内容・変更箇所の概要

  1. 飛行経路直下および落下分散距離についての記載が追加(P2~3の当該無人航空機を飛行させる空域及びその周囲の状況を確認することの具体例の箇所)
  2. 風速・風向に関する記述において、離着陸時の地上地点だけでなく、飛行経路における高度でも確認すること(P3の当該飛行に必要な気象情報を確認すること)
  3. その他適当な方法を講じるとは、と適当な方法に関する記述(P4の衝突の予防に関する記載)
  4. 目視外飛行の解釈でバッテリー残量の確認で一瞬のチラ見は目視外にならない旨記載(該当箇所はP5)※令和5年度のレベル3飛行の説明会時にあったものと同じ
  5. イベント上空の具体事例の追加。また、該当しない事例の例において、関与者のみが参加する催し場所上空の飛行は該当しないことが明記された等の追加・変更
  6. 物件投下において、地表に置く・受け渡す行為は物件投下に該当しない
  7. 立入管理措置に関することにおいて、落下分散範囲の考慮と審査要領に関する記述
  8. 第三者上空についての記載で、落下分散範囲において人がいる場合、それも第三者にあたる他、第三者の上空にみなされない場合の記載が追加、レベル3.5飛行ができたことによる第三者上空の解釈の記述の追加、変更等。
  9. 第三者が立ち入った場合の措置において、(レベル3.5飛行において)一時的に移動中の車両等の上空を飛行する場合、それは該当しない旨の記載の追加
  10. 探索、救助のための飛行で、緊急性に関する記述と緊急性とは具体的にどういうことなのかが追記された

各変更点の詳細について見ていきましょう。

落下分散距離についてと風向・風速の確認において高度変化に注意すべきことが記載(P2~3の当該無人航空機を飛行させる空域及びその周囲の状況を確認することの具体例の箇所)

PDFファイルの上記ハイライトの箇所が前回から変更となっています。飛行の方法に関する項目の記述での変更・追加です。

②に関して、変更前は、「飛行経路下に第三者がいないこと」、との記載だったのが、今回の改正で落下分散範囲が追記されています。なお、追記はされていますが、元々落下想定範囲も考慮しなければならないとされていたので、必ずしも新しい概念というわけではありません。

③については、各高度帯の風向風速変動の確認が追記されています。これは、windyなどのツールで確認することができます。

その他適当な方法を講じるとはの追記と適当な方法に関する追記(P4の衝突の予防に関する記載)

P4に、その他適当な方法を講じることとはどういうことかの例が追記されています。

目視外飛行の解釈でバッテリー残量の確認等で一瞬のチラ見は目視外にならない旨記載(該当箇所はP5)

ここは昔は解釈がわかれるところでしたが、追記されました。

バッテリー確認等、安全な飛行のためにモニターをチラ見する程度であれば、目視による飛行で良いということとなります。

なお、上記の変更箇所一覧概要で記載した通り、令和5年度のレベル3飛行の説明会時にあった説明と同じです。なので、新しい概念ということでもありません。
※参考:目視外飛行とは?当サイトのこちらのページでも解説しております。

イベント上空の具体事例の追加。また、該当しない事例の例において、関与者のみが参加する催し場所上空の飛行は該当しないことが明記された等の追加・変更(P6)

ハイライト箇所が多くなってしまいましたが、イベント上空に該当する例として、ドローンショーの記載があり、その中に除かれる具体的な事例が記載されています。花火大会やマラソン大会の記述も追記されています。

また、該当しない例として、「関与者のみ」が参加するものは該当しないことが記載されているのは特徴的かと思います。元々このような運用で検討していた方が多いかと思いますが、明示されました。

ここで挙げられている事例からわかる通り、イベントの定義として、特定の場所・日時に開催され、多数の者(第三者)の集合する催しであるということとなります。

なお、第三者や関与者に関する記述はPDFのP9をご確認ください。

ちなみに、最後のハイライト部分(可能性がある)もご注意ください。迷ったら、自分で判断せずに、国交省等に確認するのが良いでしょう。

物件投下において、地表に置く・受け渡す行為は物件投下に該当しない

地表に置く、人に受け渡す、これらの行為は物件投下に該当しないことが明記されました。

こちらも、確か元々受け渡しや単に地表に置く行為等は元々物件投下に該当しないという解釈がなされていたと思いますが、明記されました。

立入管理措置に関することにおいて、落下分散範囲の考慮と審査要領に関する記述

落下分散範囲の追記があります。

ドローンが墜落した際の状況として、必ずしも真下に落ちるとは限りませんので、落下範囲を考慮する必要があります。

これは具体的にどのくらいと明確に計算することは難しく、風速や速度、重量などによるところがあります。

飛行させる前に、どの程度の範囲を設定すればいいのか、予測しながら適宜設定していきましょう。機体によっては、メーカーが示してくれている場合があります。

また、「なお、」以降に関して、レベル3.5飛行における補助者を配置しない目視外飛行を行う場合の記述が追記されています。

これは、機体に設置されたカメラにより飛行経路の直下とその周辺への第三者の立入がないことを確認することで、立入管理措置が行われたものとみなされるというものです。レベル3.5飛行のために追加されたものです。

第三者上空についての記載で、落下分散範囲において人がいる場合、それも第三者にあたる他、第三者の上空にみなされない場合の記載が追加、レベル3.5飛行ができたことによる第三者上空の解釈の記述の追加、変更等。

読めばわかりますが、第三者なのかどうかということが、ドローンの飛行に直接または間接的に関与するかどうかがポイントとなることがわかります。

また、例が追加されましたが、これも新しい情報ではありません。

その下の第三者上空についての記載が丸っと追加されています。

おおまかに記載すると、落下分散範囲に第三者がいる場合は、それは第三者に該当することが明記され、また、第三者の上空とはみなされない例が記載されました。

なお、上記の画像内には含まれていませんが、次のページ(p10)の部分(②全体)も変更点です。この②が大きな変更点です。

この②はレベル3.5飛行においては、移動中の車両においては第三者に該当しないことが書かれています(通常の飛行であれば移動中の車両は第三者に該当します)。レベル3.5飛行になると、第三者の定義が緩和される(一部除外される)イメージです。

第三者が立ち入った際の措置

これもレベル3.5飛行に関連してできた項目です。レベル3.5飛行においては、緩和されているイメージをお持ちください。あくまでレベル3.5飛行において追加された文言です。

探索、救助のための飛行で、緊急性に関する記述と緊急性とは具体的にどういうことなのかが追記された

大きく取り上げる項目ではありませんが、緊急性に関する記載が追記されています。

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執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請や建設業許可申請、産業廃棄物収集運搬業等の許可申請や契約書作成業務を行っています。また、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。ドローンはDJI Mini 3を保有し、撮影しています。
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