建設業許可における建設業種は全部で29種類あります。
今回は、相談が比較的多い「解体工事」について見ていきたいと思います。
解体工事で建設業許可の取得をお考えの方はご参考ください。
なお、アロー行政書士事務所では東京都内(23区内)や立川市、青梅市などの多摩エリア、埼玉県、神奈川県の建設業許可申請の代行をしております。建設業許可申請でお困りでしたら気軽にご相談ください。
解体工事の内容
解体工事は、工作物の解体を行う工事のことを指します。
文字通りではあるのですが、注意点もあります。
各専門工事に該当する解体工事は解体工事業の許可ではできない
解体工事の許可を得ていても、各専門工事や一式工事に係る解体工事であれば、解体工事業の許可では工事ができない場合があります。以下①と②を見てみましょう。
①それぞれの専門工事で建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当します。
②総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は、それぞれ土木一式工事や建築一式工事に該当します。
①の参考例としては、内装工事を請負うにあたり、パーテーションなどの内装を解体する必要がある場合の工事があげられます。こうしたケースでは内装仕上げ工事に該当します。
その他、電気工事業で行う電柱解体なども電気工事に該当します。
②の参考例は、ビルを解体して更地にして新たに建物を建てる工事(元請けの立場で総合的に)というものが考えられます。これは建築一式工事に該当するため、一式工事の許可が必要です。ビルではなく家でも同じ考え方です。
ただ、このビルを解体する部分のみを下請けとして請負いする場合は解体工事に該当します。
取り壊して更地にし、建て替える工事は全体として「建築一式工事」に該当しますが、解体のみを下請けとして請けるなら解体工事となります。解体工事は狭い範囲で該当してくるため、思ったような許可内容ではないケースがあるためご注意ください。
解体工事の許可も必要だが、他の専門工事の許可も必要なケースはあろうかと思います。
※参考:東京都建設業許可
とび・土工工事の許可では解体工事業はもうできないことに注意
平成28年6月1日以降、解体工事はとび・土工工事から独立して、解体工事業として許可を取得する必要があります。経過措置などもありましたが、専門工事に属するものではなく、解体工事業に該当する工事を行う場合、現在は解体工事の許可が必要です。
※参考:建設許可事務ガイドラインより
建設業許可が不要な工事でも解体工事をするなら解体工事業登録が必要
建設業許可における解体工事業の登録(建設業法)と建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)における解体工事業登録は別のものです。
建設業における解体工事は基本的に500万円以上の工事を請負う際に建設業許可が必要となり、500万円未満の工事では許可が不要ですが、500万円未満の解体工事を請負う場合であっても、解体工事業登録は必要です。これは都道府県ごとに登録されるものです。
なお、土木工事一式、建築工事一式、解体工事業の建設業許可業者に関しては、解体工事業者登録は必要ありません。
解体工事の専任技術者(専技)としての要件
解体工事で許可を取得するにあたり、専任技術者の配置が必要です。
専任技術者の要件としては、解体工事業の登録が可能な該当する資格を保有していることを証明するか、該当する実務経験があることを証明することとなります。
なお、専任技術者は営業所ごとに必要であり、また、常勤である必要があることにご注意ください。
資格で証明する
解体工事の専任技術者を資格で証明する場合、以下のものが該当します。
※資格に加えて該当する実務経験が必要なケースがありますが()内の年数が実務経験
※赤色文字は特定建設業の場合で可能な資格
- 1級土木施工管理技士※注1
- 1級土木施工管理技士補(3年)
- 2級土木施工管理技士
- 土木※注1
- 鋼構造物塗装(5年)
- 薬 液 注 入(5年)
- 2級土木施工管理技士補(5年)
- 1級建築施工管理技士※注1
- 1級建築施工管理技士補(3年)
- 2級建築施工管理技士
- 建築※注1
- 躯体※注1
- 仕上げ(5年)
- 2級建築施工管理技士補(5年)
- 1級造園施工管理技士(3年)
- 1級造園施工管理技士補(3年)
- 2級造園施工管理技士(5年)
- 2級造園施工管理技士捕(5年)
- 技術士
- 建設(「鋼構造及びコンクリート」)・総合技術監理(建設)(「鋼構造及びコンクリート」)※注1
- 建設「鋼構造及びコンクリート」を除く・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」を除く)※注1
- 技能検定(職業能力開発促進法)
- 1級とび
- 2級とび(3年)
- 解体工事施工技士(注6)
- 登録解体基幹技能者(基幹技能者)※注7
注1合格後、コンクリート工事に関し三年以上実務の経験を有する者
注2合格後、とび工事に関し三年以上実務の経験を有する者
注3合格後、土工工事に関し三年以上実務の経験を有する者
注4地すべり防止工事に必要な知識及び技術を確認するための試験で国土交通大臣の登録を受けたものをいい、具体的には一般社団法人斜面防災対策技術協会が行う地すべり防止工事試験が該当します。合格後、土工工事に関し一年以上実務の経験を有する者
注5建築物等に計装装置等を設置する工事に必要な知識及び技術を確認するための試験で国土交通大臣の登録を受けたものをいい、具体的には一般社団法人日本計装工業会が 行う1級の計装士技術審査が該当します。
注6解体工事に必要な知識及び技術を確認するための試験で国土交通大臣の登録を受けたものをいい、具体的には公益社団法人全国解体工事業団体連合会が行う解体工事施工技士試験が該当します。
注7建設業法施行規則第十八条の三第二項第二号の登録基幹技能者講習を終了した者をいい、単一の建設業の種類における実務経験を10年以上有する場合について、当該建設業の種類における技術 者として認められます。なお、平成30年4月1日の施行以前に講習を修了した者のうち、対応する建設業の種類に関して10年以上の実務経験を有していないものについては実務経験年数を10年以上有 するに至った時点で当該要件を満たすものとします。
資格に関しては該当が変更されることもあるため、必ず最新の手引書等でご確認ください。
資格がないため実務経験で証明する場合
該当する資格を保有していなくても、該当する実務経験10年以上を証明できれば、専任技術者としての要件を満たすことができます。
10年の実務経験を証明するのは非常に困難ですが、書類等をしっかり保管されている方であれば可能なケースもあります。
参考までに、実務経験の証明に必要となる資料に関してご案内すると、東京都の場合は、注文書あるいは請求書と入金履歴を期間分提出することで証明することが可能です。東京都の場合、期間分の書類が必要ですが、3カ月に1件換算で計算が可能です。
神奈川県と千葉県は各年度1件以上、埼玉県の場合は1ヵ月1件の換算となります。
都道府県により証明書類を集める難易度が異なるため注意が必要です。
※緩和・変更されることもあるため、必ず最新の手引きをご確認ください。
※代替書類を提案できるケースもあります。
該当する学校・学科を卒業していれば実務経験は短縮可能
実務経験10年の証明はとても難しいのですが、該当する大学や専門学校、高校の指定学科を卒業していれば、短縮できるケースがあります。
東京都の手引きを例に見ていきますが、解体工事に関しては、土木工学・建築学に関係する学科を卒業していれば短縮することが可能です。
実際の学部学科名称は学校ごとで異なるかと思いますが、建築学であれば、「環境計画科」「建築科」「建築システム科」「建築設備科」「居住デザイン科」「造形科」などとなります。
土木工学は、「開発科」「環境設計科」「環境造園科」「土木建築科」「土木科」「土木地質科」などがあげられます。
また、高校なのか大学なのか、専門学校なのかで短縮できる年数は異なってきます。
学校種別 | 必要年数 |
---|---|
高等学校 | 指定学科を卒業+該当する実務経験5年 |
大学・短期大学 | 指定学科を卒業+該当する実務経験3年 |
高等専門学校 | 指定学科を卒業+該当する実務経験3年 |
専修学校 | 指定学科を卒業+実務経験5年 (専門士、高度専門士であれば大学卒と同等となり3年で可) |
学校を卒業したことを証明する資料と場合によっては履修証明等が必要になるため、一緒に合わせて取得しておきましょう。
専任技術者を資格で証明するなら解体工事業以外の他の該当する許可業種も申請することがある
解体工事の専任技術者を資格で証明する場合、他の業種の許可も取れるなら合わせて取得しておくケースは多くなっています。
実務上、仮に他の業種は必要なくても、専技の証明において該当する資格をお持ちなのであれば一緒に取得しておくとこの先必要になった際に楽で良いかと考えます。
新規申請のときにまとめてやっておけば手数料も余計にかかりませんので、検討の余地はあるかと思います。
解体工事の内容の項目でも記載しましたが、各専門工事に関する解体は、当該工事業種の許可が必要となるため、必要となる専門工事業種を広く検討されることは多いです。
なお、当然実務経験でも複数の許可業種の申請は可能です。ただ、業種ごとに実務経験の証明が必要で困難な場合があり、その場合資格取得を目指した方が早いケースが多くなっています。
建設業許可要件
本ページでは解体工事業で許可を取得するための要件(専技としての要件)を中心に記載しましたが、建設業許可を取るために必要なその他の要件をクリアしていく必要があります。
- 建設業における経営経験の有無(経営業務の管理責任者、常勤役員等)
※建設業における経営経験(個人事業や取締役等)5年等 - 専任技術者として認められるための条件を満たすかどうか(専技)
※本ページで記載した資格要件や実務要件 - 財産要件を満たすかどうか
※預金500万円以上など - 欠格要件に該当しないかどうか
- 社会保険等への加入
- 誠実性
①の経管と②の専技の要件を満たせるかどうか、それを証明することができるかどうかが大きなポイントです。
また、途中で記載しましたが、常勤性が求められるため、住所地と職場がかなり遠い(単身赴任等)など、常勤しているのか疑わしいと思われるケースもあるため、状況によって必要となる書類は変わってきます。
建設業許可申請でお困りならアロー行政書士事務所にご相談ください
解体工事に関連する申請はもちろんですが、その他の建設業許可申請新規、決算変更届、更新など許可申請関連でお困りでしたらご相談いただければと思います。
立川を始めとして、東京都23区や多摩方面、埼玉県、神奈川県での許可申請をサポートしています。気軽にご相談ください。
建設業許可申請サービスご依頼までの流れ
無料相談の日程に関してご連絡させていただきます。
まずは許可取得に関する相談や許可取得の可否を判断させていただきます。特に建設業における経営経験と解体工事業における専任技術者の要件を満たすかは詳しく確認する必要があります。
また、伺ったお話をもとに、御見積書を作成させていただきます。
適宜必要に応じて進捗状況などをご連絡しながら進めていきましょう。
書類が完成しましたら当事務所が行政庁へ申請書類を提出します。
なお、申請する前に、請求書を発行させていただき、お振込みが確認でき次第の申請書提出となります。
審査期間は概ね1か月から2ヵ月程度です。
なお、建設業の許可は取ったらそれで終わりではありません。
決算変更届の作成など、許可を維持するために必要な手続きもございます。
こうした面のサポートも行っています。
お見積りやまずは許可が取れそうかだけ確認がしたいという方もお問い合わせください。