左官工事における許可要件(専任技術者の資格や実務経験)や建設業許可申請における注意点について解説【建設業種解説】

建設業許可における建設業種は全部で29に分類されています。

今回は、その中でも「左官工事」について見ていきたいと思います。

左官工事で建設業許可の取得をお考えの方はご参考ください。

なお、アロー行政書士事務所では東京都内(23区内)や立川市、青梅市などの多摩エリアの建設業許可申請の代行をしております。建設業許可申請でお困りでしたら気軽にご相談ください。

左官工事の内容

左官工事は、工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹き付け、貼り付ける工事のことを指します。

具体的な工事内容としては、左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事などが例示として挙げられています。

※参考:東京都建設業許可

防水工事やとび・土工・コンクリート工事における吹付け工事と左官工事での吹付け工事との違い

左官工事の例示としてあげられている「吹付け工事」は建築物に対するモルタルの吹付け工事のことを指します。とび・土工・コンクリート工事の吹付け工事は、法面処理のためにモルタル・種子を吹き付ける工事のことを指します。

吹付ける対象が異なります。

また、防水モルタルを用いた防水工事は左官工事業、防水工事業どちらの業種の許可でも施工可能とされています。

建築一式工事などの一式工事の許可だけでは左官工事はできないことに注意

左官工事の許可が必要なお客様の中には、建築一式工事の方を取得しておきたいというようなことをおっしゃるケースが稀にあります。

一式工事の許可があれば、左官工事もできると勘違いしているケースが一定数あるようです。

一式工事の許可があっても、個別に専門工事を請負うのであれば、左官工事等の該当する専門工事の許可が必要となりますのでご注意ください。

左官工事の専任技術者(専技)としての要件

左官工事で許可を取得するにあたり、専任技術者の配置が必要です。

専任技術者の要件としては、該当する資格を保有していることを証明するか、実務経験があることを証明することとなります。

なお、専任技術者は常勤である必要があること、営業所ごとに必要となることにご注意ください。

資格で証明するのが一般的

左官工事の専任技術者を資格で証明する場合、以下のものが該当します。
※資格に加えて該当する実務経験が必要なケースがあります
※赤色文字は特定建設業の場合で可能な資格
※令和5年7月以降、該当する資格が増えています。

  • 1級土木施工管理技士(3年実務必要)
  • 1級土木施工管理技士補(3年実務必要)
  • 2級土木施工管理技士(土木・鋼構造物塗装・薬液注入※それぞれ5年実務経験必要)
  • 2級土木施工管理技士補(5年実務経験必要)
  • 1級建築施工管理技士
  • 1級建築施工管理技士補(3年実務経験必要)
  • 2級建築施工管理技士(建築・躯体・仕上げ※建築・躯体は5年実務経験必要)
  • 2級建築施工管理技士補(5年実務経験必要)
  • 2級建築施工管理技士補(3年実務経験必要)
  • 1級造園施工管理技士補(3年実務経験必要)
  • 2級造園施工管理技士(5年実務経験必要)
  • 2級造園施工管理技士補(5年実務経験必要)
  • 技能検定
    • 1級左官
    • 2級左官(3年実務経験必要)
  • 基幹技能者(※)
    • 登録左官基幹技能者
    • 登録外壁仕上基幹技能者

※建設業法施行規則第十八条の三第二項第二号の登録基幹技能者講習を終了した者をいい、単一の建設業の種類における実務経験を10年以上有する場合について、当該建設業の種類における技術者として認められます。なお、平成30年4月1日の施行以前に講習を修了した者のうち、対応する建設業の種類に関して10年以上の実務経験を有していないものについては実務経験年数を10年以上有するに至った時点で当該要件を満たすものとします。

資格がないため実務経験で証明する場合

該当する資格を保有していなくても、左官工事の実務経験10年以上を証明できれば、専任技術者としての要件を満たすことができます。

10年の実務経験を証明するのは非常に困難ですが、書類等をしっかり保管されている方であれば可能なケースもあります。

参考までに、実務経験の証明に必要となる資料に関して、東京都の場合は、注文書あるいは請求書と入金履歴を期間分提出することで証明することが可能です。東京都の場合、期間分の書類が必要ですが、3カ月に1件換算で計算が可能です。

神奈川県と千葉県は各年度1件以上、埼玉県の場合は1ヵ月1件の換算となります。

都道府県により証明書類を集める難易度が異なるため注意が必要です。

※緩和・変更されることもあるため、必ず最新の手引きをご確認ください。また、あくまで一例です。

該当する学校・学科を卒業していれば実務経験は短縮可能

実務経験10年の証明はとても難しいのですが、該当する大学や専門学校、高校の指定学科を卒業していれば、短縮できるケースがあります。

左官工事に関しては、土木工学・建築学に関係する学科を卒業していれば短縮することが可能です。

実際の学部学科名称は学校ごとで異なるかと思いますが、建築学であれば、「環境計画科」「建築科」「建築システム科」「建築設備科」「居住デザイン科」「造形科」などとなります。

土木工学は、「開発科」「環境設計科」「環境造園科」「土木建築科」「土木科」「土木地質科」などがあげられます。

また、高校なのか大学なのか、専門学校なのかで短縮できる年数は異なってきます。

学校種別必要年数
高等学校指定学科を卒業+該当する実務経験5年
大学・短期大学指定学科を卒業+該当する実務経験3年
高等専門学校指定学科を卒業+該当する実務経験3年
専修学校指定学科を卒業+実務経験5年
(専門士、高度専門士であれば大学卒と同等となり3年で可)

学校に関しては、本当に卒業したのかを証明する書類の他に、履修表が必要になる可能性もあるため、合わせて取得しておいてください。

左官工事とセットで取得することが多いその他の専門工事

左官工事業の許可を必要とする建設業者の中には、内装仕上工事と塗装工事の許可もセットで取得するケースが多くあります。

実務上必要となる場合が多いかと思いますし、仮に必要なくても、専技の証明において該当する資格をお持ちなのであれば、費用は特に変わらないので、新規のときに一緒に取得しておくとこの先必要になった際に楽で良いかと考えます。こうしたことも検討してみてください。

建設業許可要件

本ページでは左官工事で許可を取得するための要件(専技としての要件)を中心に記載しましたが、建設業許可を取るために必要なその他の要件をクリアしていく必要があります。

  1. 建設業における経営経験の有無(経営業務の管理責任者、常勤役員等)
    ※建設業における経営経験(個人事業や取締役等)5年等
  2. 専任技術者として認められるための条件を満たすかどうか(専技)
    ※本ページで記載した資格要件や実務要件
  3. 財産要件を満たすかどうか
    ※預金500万円以上など
  4. 欠格要件に該当しないかどうか
  5. 社会保険等への加入
  6. 誠実性

①の経管と②の専技の要件を満たせるかどうか、それを証明することができるかどうかが大きなポイントです。

その他、地味に引っかかることがあるのが、事務所要件です。自宅兼事務所の場合は注意が必要な場合が多くなっています。

建設業許可申請でお困りならアロー行政書士事務所にご相談ください

左官工事に関連する申請はもちろんですが、その他の建設業許可申請新規、決算変更届、更新など許可申請関連でお困りでしたらご相談いただければと思います。

立川を始めとして、東京都23区や多摩方面での許可申請をサポートしています。気軽にご相談ください。

ご依頼の流れ<左官工事業など建設業許可申請サービスの場合>

まずはお問い合せ
メールかお問い合わせフォームよりお願いします。
即日か遅くとも3営業日以内に無料相談の日程に関するご連絡させていただきます。
無料相談(許可の可否等)やお見積り
お電話等で許可取得に関する相談や許可取得の可否を判断させていただきます。特に経営経験と左官工事業における専任技術者の要件を満たすかは詳しく確認する必要があります。
また、伺ったお話をもとに、御見積書を作成させていただきます。
ご依頼決定
お見積書をご確認頂き、料金・内容に同意頂けるかどうかご検討ください。
申請書の作成からご請求
委任状のご記載や申請に必要となる書類を収集し、まとめていきます。お客様自身にご準備いただく必要がある書類に関しては、リストにしてご提示させていただきます。
適宜必要に応じて進捗状況などをご連絡しながら進めていきましょう。
書類が完成しましたら当事務所が行政庁へ申請書類を提出します。
なお、申請する前に、請求書を発行させていただき、お振込みが確認でき次第の申請書提出となります。
許可・通知書の送付
審査が行われ、問題無ければ建設業許可取得が通知されます。
審査期間は概ね1か月から2ヵ月程度です。
なお、建設業の許可は取ったらそれで終わりではありません。
決算変更届の作成など、許可を維持するために必要な手続きもございます。
こうした面のサポートも行っています。

お見積りやまずは許可が取れそうかだけ確認がしたいという方もお問い合わせください。

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執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請や建設業許可申請、産業廃棄物収集運搬業等の許可申請や契約書作成業務を行っています。また、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。ドローンはDJI Mini 3を保有し、撮影しています。
ご依頼・ご相談などはお問い合わせよりご連絡ください。
所属:日本行政書士会連合会、東京都行政書士会
行政書士登録番号:24080257