管工事業における専任技術者の要件(資格や実務経験)や建設業許可申請における注意点について解説【建設業許可業種解説】

建設業許可における工事業種は全部で29種類あります。

今回は、「管工事」について解説していきたいと思います。

管工事で建設業許可の取得をお考えの方はご参考ください。

なお、アロー行政書士事務所では東京都内(23区内)や立川市、青梅市などの多摩エリア、埼玉県、神奈川県の建設業許可申請の代行をしております。建設業許可申請でお困りでしたら気軽にご相談ください。

そもそも自分が許可が取れる状況なのかわからないという方も気軽にご相談ください。

菅工事の専任技術者(専技)としての要件

管工事で建設業許可を取得するにあたっては専任技術者の配置が必要です。

管工事の要件としては、該当する資格を保有していることを証明するか、実務経験があることを証明することとなります。

なお、専技は常勤である必要があることと、営業所ごとに配置が必要なことにご注意ください。

資格で証明する

管工事の専任技術者を資格で証明する場合、以下のものが該当します。
※資格に加えて該当する実務経験が必要なケースがありますが()内の年数が実務経験
※赤色文字は特定建設業の場合で可能な資格

  • 1級管工事施工管理技士
  • 2級管工事施工管理技士
  • 建築設備士(1年)※注2
  • 技術士
    • 機械「熱・動力エネルギー機器」又は「流体機器」・総合技術監理(機械「熱・動力エネルギー機器」又は「流体機器」)
    • 上下水道「上下水道及び工業用水道」・総合技術監理(上下水道「上下水道及び工業用水道)
    • 上下水道(「下水道」)・総合技術監理(上下水道)(「下水道」)
    • 衛生工学「水質管理」・総合技術監理(衛生工学「水質管理」)
    • 衛生工学「廃棄物・資源循環」・総合技術監理(衛生工学「廃棄物・資源循環」)
    • 衛生工学「建築物環境衛生管理」・総合技術監理(衛生工学「建築物環境衛生管理」)
  • 給水装置工事主任技術者
  • 1級冷凍空気調和機器施工
  • 2級冷凍空気調和機器施工(3年)
  • 1級配管(選択科目「建築配管作業」)
  • 2級配管(選択科目「建築配管作業」)(3年)
  • 技能検定
    • 1級冷凍空気調和機器施工
    • 2級冷凍空気調和機器施工(3年)
    • 1級配管(選択科目「建築配管作業」)
    • 2級配管(選択科目「建築配管作業」)(3年)
    • 1級建築板金「ダクト板金作業」
    • 2級建築板金「ダクト板金作業」(3年)
  • 1級計装士(1年 注5)
  • 基幹技能者(注7)
    • 登録配管基幹技能者
    • 登録ダクト基幹技能者
    • 登録冷凍空調基幹技能者
    • 登録計装基幹技能者

※注7建設業法施行規則第十八条の三第二項第二号の登録基幹技能者講習を終了した者をいい、単一の建設業の種類における実務経験を10年以上有する場合について、当該建設業の種類における技術 者として認められます。なお、平成30年4月1日の施行以前に講習を修了した者のうち、対応する建設業の種類に関して10年以上の実務経験を有していないものについては実務経験年数を10年以上有 するに至った時点で当該要件を満たすものとします。
※注2建築士法第二条第五項に規定する建築設備に関する知識及び技能につき国土交通大臣が定める資格をいいます。
※注5建築物等に計装装置等を設置する工事に必要な知識及び技術を確認するための試験で国土交通大臣の登録を受けたものをいい、具体的には一般社団法人日本計装工業会が 行う1級の計装士技術審査が該当します。

資格証明書などを申請の際に提出することとなります。

資格がないため実務経験で証明する場合(一般建設業許可の場合)

該当する資格を保有していなくても、該当する実務経験10年以上を証明できれば、専任技術者としての要件を満たすことができます。

10年の実務経験を証明するのは非常に困難ですが、書類等をしっかり保管されている方であれば可能なケースもあります。

参考までに、実務経験の証明に必要となる資料に関して、東京都の場合は、注文書あるいは請求書と入金履歴を期間分提出することで証明することが可能です。東京都の場合、期間分の書類が必要ですが、3カ月に1件換算で計算が可能です。

神奈川県と千葉県は各年度1件以上、埼玉県の場合は1ヵ月1件の換算となります。

都道府県により証明書類を集める難易度が異なるため注意が必要です。

※緩和・変更されることもあるため、必ず最新の手引きをご確認ください。

該当する学校・学科を卒業していれば実務経験は短縮可能

実務経験10年の証明はとても難しいのですが、該当する大学や専門学校、高校の指定学科を卒業していれば、短縮できるケースがあります。

管工事に関しては、土木工学、建築工学、都市工学、機械工学、衛生工学に関係する学科を卒業していれば短縮することが可能です。

実際の学部学科名称は学校ごとで異なるかと思いますが、土木工学は、「開発科」「環境設計科」「環境造園科」「土木建築科」「土木科」「土木地質科」などがあげられます。建築学であれば、「環境計画科」「建築科」「建築システム科」「建築設備科」「居住デザイン科」「造形科」などとなります。都市工学は、「環境都市科」「都市科」「都市システム科」。機械工学は、「エネルギー機械化」「機械情報科」「応用機械科」「機械科」「機械技術科」。衛生工学は「衛生科」「環境科」「設備科」「設備システム科」などがあります。

また、高校なのか大学なのか、専門学校なのかで短縮できる年数は異なってきます。

学校種別必要年数
高等学校指定学科を卒業+該当する実務経験5年
大学・短期大学指定学科を卒業+該当する実務経験3年
高等専門学校指定学科を卒業+該当する実務経験3年
専修学校指定学科を卒業+実務経験5年
(専門士、高度専門士であれば大学卒と同等となり3年で可)

卒業証明書を取得する際に、場合によっては履修表などが求められることもあるため、ついでに履修表も取っておくと良いでしょう。

専任技術者を資格で証明するなら管工事以外の他の該当する許可業種も申請することがある

管工事の専任技術者を資格で証明する場合、他の業種の許可も取れるなら合わせて取得しておくケースは多くなっています。

実務上仮に他の業種は必要なくても、専技の証明において該当する資格をお持ちなのであれば一緒に取得しておくとこの先必要になった際に楽で良いかと考えます。

新規申請のときにまとめてやっておけば手数料も余計にかかりません。

該当する場合は検討してみると良いでしょう。

なお、管工事業での許可を検討される方の場合、土木工事の他、それほど多くありませんが、消防施設工事業などの取得が必要となるケースが考えられます。

ちなみに、資格ではなく実務経験で複数の許可業種が欲しい場合、経験があることを証明するのが難しい場合があるため、資格取得を目指すケースの方が多いかと思います。

建設業許可要件

本ページでは管工事で許可を取得するための要件(専技としての要件)を中心に記載しましたが、建設業許可取得にあたって必要なその他の要件をクリアしていく必要があります。

  1. 建設業における経営経験の有無(経営業務の管理責任者、常勤役員等)
    ※建設業における経営経験(個人事業や取締役等)5年等
  2. 専任技術者として認められるための条件を満たすかどうか(専技)
    ※本ページで記載した資格要件や実務要件
  3. 財産要件を満たすかどうか
    ※預金500万円以上など
  4. 欠格要件に該当しないかどうか
  5. 社会保険等への加入
  6. 誠実性

①の経管と②の専技の要件を満たせるかどうか、それを証明することができるかどうかが大きなポイントです。

また、細かいところですが、自宅兼事務所の場合などでは事務所要件で引っかかることもあるため、その他の部分で注意が必要な場合もあります。

管工事とは?

そもそも論のところにはなってきますが、管工事業とは何なのか説明しておきたいと思います。他の専門工事との違いで微妙な部分もあるため、どの工事業種で許可を取るか迷うこともあるかと思います。

管工事とは、
・冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置する工事
・属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事
となります。

例示として、冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事、(配水小管)が挙げられます。

「冷暖房設備工事」、「冷凍冷蔵設備工事」、「空気調和設備工事」には、冷媒の配管工事などフロ
ン類の漏洩を防止する工事が含まれます。

※参考:東京都建設業許可

その他の専門工事業種との違い(建設工事区分の考え方)

管工事の内容を見てみると、他の工事と似たようなものもいくつかあります。迷うケースもあるので、行政側に確認するケースもあります。

・し尿処理に関する施設の建設工事における『管工事』、『水道施設工事』、『清掃施設工事』間の区分の考え方は、規模の大小を問わず浄化槽(合併処理槽を含む)によりし尿を処理する施設の建設工事が『管工事』に該当し、公共団体が設置するもので下水道により収集された汚水を処理する施設の建設工事が『水道施設工事』に該当し、公共団体が設置するもので汲取方式により収集されたし尿を処理する施設の建設工事が『清掃施設工事』に該当します。

・『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器
具の種類によっては『管工事』等と重複するものもあるが、これらについては原則として『管工事』等それぞれの専門の工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械器具の設置が『機械器具設置工事』に該当する。

・建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は『管工事』に該当し、トンネル、地下道等の給排気用に設置される機械器具に関する工事は『機械器具設置工事』に該当する。

・上下水道に関する施設の建設工事における『土木一式工事』、『管工事』及び『水道施設工事』間の区分の考え方は、公道下等の下水道の配管工事及び下水処理場自体の敷地造成工事が『土木一式工事』であり、家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び上水道等の配水小管を設置する工事が『管工事』であり、上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理場内の処理設備を築造、設置する工事が『水道施設工事』である。なお、農業用水道、かんがい用配水施設等の建
設工事は『水道施設工事』ではなく『土木一式工事』に該当します。

・公害防止施設を単体で設置する工事については、『清掃施設工事』ではなく、それぞれの公害防
止施設ごとに、例えば排水処理設備であれば『管工事』、集塵設備であれば『機械器具設置工事』
等に区分すべきものである。

※参考:建設許可事務ガイドラインより

菅工事業は指定建設業(特定建設業許可の場合に関係)

管工事業は指定建設業(指定建設業は全7業種あります)であることから、特定建設業の許可を取得するにあたっては、この後説明する専任技術者の要件が厳しくなっています。実務経験のみでは専任技術者になることが基本的にはできないためご注意ください。
※特定建設業の場合であり一般建設業許可の場合は実務経験でも可能です。

建設業許可申請でお困りならアロー行政書士事務所にご相談ください

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執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請や建設業許可申請、産業廃棄物収集運搬業等の許可申請や契約書作成業務を行っています。また、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。ドローンはDJI Mini 3を保有し、撮影しています。
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所属:日本行政書士会連合会、東京都行政書士会
行政書士登録番号:24080257