電気工事業における専任技術者の要件(資格や実務経験)や建設業許可申請にあたっての注意点について解説【建設業種解説】

建設業許可における工事業種は全部で29種類あります。

今回は、「電気工事」について解説していきたいと思います。

電気工事で建設業許可の取得をお考えの方はご参考ください。

なお、アロー行政書士事務所では東京都内(23区内)や立川市、青梅市などの多摩エリア、埼玉県、神奈川県の建設業許可申請の代行をしております。建設業許可申請でお困りでしたら気軽にご相談ください。

許可要件とかよくわからないからまずは話がしたいということでも大丈夫です。

電気工事業とは?

始めに、電気工事とは何かを押さえておきたいと思います。

電気工事とは、発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事となります。

例示として、発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事(避雷針工事)、太陽光発電設備の設置工事(『屋根工事』以外)があげられています。

※参考:東京都建設業許可

その他の専門工事業種との違い(建設工事区分の考え方)

電気工事に該当する工事内容の中には、他の専門工事と似たような工事もあります。

例えば、屋根一体型の太陽光パネル設置工事は『屋根工事』に該当しますが、太陽光発電設備の設置工事は『電気工事』に該当し、太陽光発電パネルを屋根に設置する場合は、屋根等の止水処理を行う工事が含まれます。

また、『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器具の種類によっては『電気工事』、『管工事』、『電気通信工事』、『消防施設工事』等と重複するものもありますが、これらについては原則として『電気工事』等それぞれの専門の工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械器具の設置が『機械器具設置工事』に該当するとされています。

もし該当する工事があるならば、他の専門工事の許可も必要になるケースがあります。

※参考:建設許可事務ガイドラインより

電気工事業は指定建設業(特定建設業許可の際に関係する項目)

電気工事業は指定建設業(指定建設業は全7業種)であることから、特定建設業の許可を取得するにあたって、この後説明する専任技術者の要件が厳しくなっています。具体的には1級国家資格者等でないと専技になれないなど、基本的に実務経験のみでは専任技術者になることができないためご注意ください。
※特定建設業の場合であり一般建設業許可の場合は実務経験でも可能です。

建設業許可とは別に電気工事業の登録が必要

建設業許可を電気工事業で取得していても、電気工事を行うにあたっては、みなし登録電気工事業者の届出が必要です。

元請けで下請けに電気工事を出すという場合や軽微な工事の場合であれば登録電気工事業の届出は不要な場合もありますが、一般用電気工作物等を実施工する際には「登録」を受けなければなりません。

なので、建設業許可を受けた後、みなし登録電気工事業者の届出も行う必要があります。

このあたりもサポートしていますのでご相談ください。

電気工事の専任技術者(専技)としての要件を知る

電気工事で建設業許可を取得するにあたっては専任技術者の配置が必要です。

専任技術者の要件としては、該当する資格を保有していることを証明するか、実務経験があることを証明することとなります。

なお、専任技術者は常勤である必要がありますのでご注意ください。また、営業所ごとに配置が必要です。

資格で証明する

電気工事の専任技術者を資格で証明する場合、以下のものが該当します。
※資格に加えて該当する実務経験が必要なケースがありますが()内の年数が実務経験
※赤色文字は特定建設業の場合で可能な資格

  • 1級電気工事施工管理技士
  • 2級電気工事施工管理技士
  • 建築設備士(1年)※注2
  • 技術士
    • 建設(「鋼構造及びコンクリート」)・総合技術監理(建設)(「鋼構造及びコンクリート」)
    • 建設「鋼構造及びコンクリート」を除く・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」を除く)
    • 電気電子・総合技術監理(電気電子)
  • 第1種電気工事士
  • 第2種電気工事士(3年)
  • 電気主任技術者1種 ・ 2種 ・ 3種(5年)
  • 1級計装士※注5
  • 基幹技能者※注7
    • 登録電気工事基幹技能者
    • 登録送電線工事基幹技能者
    • 登録計装基幹技能者

※注7建設業法施行規則第十八条の三第二項第二号の登録基幹技能者講習を終了した者をいい、単一の建設業の種類における実務経験を10年以上有する場合について、当該建設業の種類における技術 者として認められます。なお、平成30年4月1日の施行以前に講習を修了した者のうち、対応する建設業の種類に関して10年以上の実務経験を有していないものについては実務経験年数を10年以上有 するに至った時点で当該要件を満たすものとします。
※注2建築士法第二条第五項に規定する建築設備に関する知識及び技能につき国土交通大臣が定める資格をいいます。
※注5建築物等に計装装置等を設置する工事に必要な知識及び技術を確認するための試験で国土交通大臣の登録を受けたものをいい、具体的には一般社団法人日本計装工業会が 行う1級の計装士技術審査が該当します。

該当する資格をお持ちであれば、専技としての要件を満たすので、資格証等を提出しましょう。

資格がないため実務経験で証明する場合(一般建設業許可の場合)

該当する資格を保有していなくても、該当する実務経験10年以上を証明できれば、専任技術者としての要件を満たすことができます。

10年の実務経験を証明するのは非常に困難ですが、書類等をしっかり保管されている方であれば可能なケースもあります。

参考までに、実務経験の証明に必要となる資料に関して、東京都の場合は、注文書あるいは請求書と入金履歴を期間分提出することで証明することが可能です。東京都の場合、期間分の書類が必要ですが、3カ月に1件換算で計算が可能です。

神奈川県と千葉県は各年度1件以上、埼玉県の場合は1ヵ月1件の換算となります。

都道府県により証明書類を集める難易度が異なるため注意が必要です。

※緩和・変更されることもあるため、必ず最新の手引きをご確認ください。

該当する学校・学科を卒業していれば実務経験は短縮可能

実務経験10年の証明はとても難しいのですが、該当する大学や専門学校、高校の指定学科を卒業していれば、短縮できるケースがあります。

電気工事に関しては、電気工学・電気通信工学に関係する学科を卒業していれば短縮することが可能です。

実際の学部学科名称は学校ごとで異なるかと思いますが、電気工学であれば、「応用電子科」「電気情報科」「電子技術科」「電気電子科」「電力科」「電子通信科」などとなります。

電気通信工学は、「電気通信科」などがあげられます。

また、高校なのか大学なのか、専門学校なのかで短縮できる年数は異なってきます。

学校種別必要年数
高等学校指定学科を卒業+該当する実務経験5年
大学・短期大学指定学科を卒業+該当する実務経験3年
高等専門学校指定学科を卒業+該当する実務経験3年
専修学校指定学科を卒業+実務経験5年
(専門士、高度専門士であれば大学卒と同等となり3年で可)

学校の卒業証明書の他に、履修表等の提出が求められることあるため、卒業証明書を取得する際に合わせて取っておきましょう。

専任技術者を資格で証明するなら電気工事以外の他の該当する許可業種も申請することがある

電気工事の専任技術者を資格で証明する場合、他の業種の許可も取れるなら合わせて取得しておくケースは多くなっています。

実務上仮に他の業種は必要なくても、専技の証明において該当する資格をお持ちなのであれば一緒に取得しておくとこの先必要になった際に楽で良いかと考えます。

新規申請のときにまとめてやっておけば手数料も余計にかかりません。

該当する場合は検討してみると良いでしょう。

電気工事業であれば、電気通信工事業、鋼構造物工事業、管工事業あたりがあわせて申請した業種になるかと思います。

なお、実務経験で複数の許可業種の申請をすること自体も大変ではありますが無理ではありません。

建設業許可要件

本ページでは電気工事で許可を取得するための要件(専技としての要件)を中心に記載しましたが、建設業許可取得にあたって必要なその他の要件をクリアしていく必要があります。

  1. 建設業における経営経験の有無(経営業務の管理責任者、常勤役員等)
    ※建設業における経営経験(個人事業や取締役等)5年等
  2. 専任技術者として認められるための条件を満たすかどうか(専技)
    ※本ページで記載した資格要件や実務要件
  3. 財産要件を満たすかどうか
    ※預金500万円以上など
  4. 欠格要件に該当しないかどうか
  5. 社会保険等への加入
  6. 誠実性

①の経管と②の専技の要件を満たせるかどうか、それを証明することができるかどうかが大きなポイントです。

また、細かい部分にはなってきますが、自宅兼事務所の場合、自宅部分を経由してはいけないなど細かいルールもあるため、自宅事務所の方は注意が必要です。

これらを含め、大きなポイントを押させつつ、細かいところもしっかりとケアしていきましょう。

建設業許可申請でお困りならアロー行政書士事務所にご相談ください

電気工事に関連する申請はもちろんですが、その他の建設業許可申請新規、決算変更届、更新など許可申請関連でお困りでしたらご相談いただければと思います。

立川を始めとして、東京都23区や多摩方面での許可申請をサポートしています。気軽にご相談ください。

率直に、よくわからないから教えてほしいということでも大丈夫です。まずは許可要件に該当しそうか確認させていただきますので、お問い合わせいただければと思います。

ご依頼の流れ<電気工事業など建設業許可申請サービスの場合>

まずはお問い合せ
まずはメールかお問い合わせフォームよりお願いします。
即日か遅くとも3営業日以内に無料相談の日程に関するご連絡させていただきます。
無料相談(許可の可否等)やお見積り
まずは許可取得に関する相談や許可取得の可否を判断させていただきます。特に経営経験と電気工事業における専任技術者の要件を満たすかは詳しく確認する必要があります。
また、伺ったお話をもとに、御見積書を作成させていただきます。
ご依頼決定
お見積書をご確認頂き、料金・内容に同意頂けるかどうかご検討ください。
申請書の作成からご請求
委任状のご記載や申請に必要となる書類を収集し、まとめていきます。お客様自身にご準備いただく必要がある書類に関しては、リストにしてご提示させていただきます。
適宜必要に応じて進捗状況などをご連絡しながら進めていきましょう。
書類が完成しましたら当事務所が行政庁へ申請書類を提出します。
なお、申請する前に、請求書を発行させていただき、お振込みが確認でき次第の申請書提出となります。
許可・通知書の送付
審査が行われ、問題無ければ建設業許可取得が通知されます。
審査期間は概ね1か月から2ヵ月程度です。
なお、建設業の許可は取ったらそれで終わりではありません。
決算変更届の作成など、許可を維持するために必要な手続きもございます。
こうした面のサポートも行っています。

お見積りやまずは許可が取れそうかだけ確認がしたいという方もお問い合わせください。

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執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請の代行や建設業許可申請、産業廃棄物収集運搬業の許可申請を行っている他、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。ドローンはDJI Mini 3を保有し、撮影しています。
ドローン飛行許可申請ガイドの運営を行っています。ぜひご覧ください。
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所属:日本行政書士会連合会、東京都行政書士会
行政書士登録番号:24080257