鉄道・線路付近でドローンの飛行は可能?許可申請と注意事項や規制について

鉄道付近でドローンを飛行させる必要が生じたがどうすればいいか?という相談は一定数あります。

というのも、包括申請では鉄道の上空やその付近での飛行はマニュアルで禁止しており、飛ばすことができないからです。

ただ、絶対的に鉄道付近で飛行させられないわけではありません。

そのため、このページでは、鉄道付近でドローンを飛ばすことについて、考えていきたいと思います。

なお、インフラ点検においては、インフラ点検事業者用のマニュアルを利用することで、マニュアルを書き換えなくても包括申請でも飛行が可能です。ここでは、こうしたインフラ点検事業者様等の包括申請でも認められる飛行目的以外を想定した記載を行っていきます。

飛行許可申請代行サービスの利用を検討する方は以下ページもご覧ください。

なお、本ページで記載した内容は、よくある相談を一般化したものとなるため、個別具体的な場所や前提により当てはまらないケースもあります。予めご了承ください。

包括申請で許可を得ていても鉄道の上空やその付近では飛行できないことに注意

冒頭にも記載しましたが、包括申請をしていても、鉄道上空や鉄道付近でドローンを飛ばすことは原則できません。

航空局標準マニュアル2、あるいはそれをベースにした独自マニュアルで申請している方が多いかと思いますが、飛行マニュアル内に鉄道の上空と鉄道付近での飛行ができないことが記載されており、この部分は飛行目的がインフラ点検等でもない限り、通常は書き換えができません。また、鉄道と合わせて、高速道路や交通量の多い一般道路の上空とその付近で飛行させないことも記載されております。

そのため、包括申請で飛行させてしまうとマニュアル違反となります。

鉄道付近の「付近」という言葉の正確な定義がないから判断が難しい場合がある

鉄道の上空とその「付近」の飛行はできないと飛行マニュアルに記載されていますが、付近とはどのくらいの距離を指すのでしょうか?

明確に距離の定義があるわけではないため、包括申請で飛ばしていいのか悩ましいこともあります。

人又は物件から30m未満などのように、具体的に〇mと決まっているわけではなく、飛行当日の風速や天候、機体の重量、高度などによって変わってきます。

一つの目安として、ドローンが墜落した際に、少しでも線路等に入ってしまうおそれがあるのであれば、それは付近であると考え、包括申請ではなく個別申請をしておいた方が良いと考えます。

個別申請で許可を取得することで、鉄道付近での飛行が可能な場合が多い

上記で記載したとおり、包括申請では原則鉄道付近でドローンは飛ばせないので、飛行場所・経路を特定した個別申請を行い、許可を取得することとなります。

個別申請で使う飛行マニュアルであれば、飛行は禁止していないため、鉄道付近での飛行に伴って、その安全策を記載のうえ申請することで飛ばすことができます。

個別申請は少し面倒なので、意外と相談・依頼が多くあります。

建設業の現場写真や測量などにおけるドローン活用に伴い、鉄道が近くにあって迷っているというケースがあり、心配だから相談したいというケースがあります。安全のためにも、自社の事業リスクのためにも、迷うくらいの距離に鉄道があるのであれば、個別申請しておくことをお勧めしたいです。

ドローンの飛行では事故(墜落)のリスクがあります。万が一のときに、多くの方々に危険が及ぶということはもちろんのこと、適切な許可申請をしていなかった場合(事故検証の結果個別申請が必要と判断された場合等)、自分自身が大きな損害を被る可能性があります。

そのため、どうしても鉄道付近で飛行させる必要がある際は、個別申請を行い、適切な体制の下で飛行させましょう。

第三者上空は飛行できないことに注意

個別申請をすれば第三者上空の飛行ができると勘違いされている方がいらっしゃったので、念のための記載となりますが、特定飛行に該当する場合、基本的に第三者上空は飛行できません。

個別申請でも、第三者上空を飛行しないような形での申請となります。

なので、電車の真上や落下範囲に当てはまる距離内において、電車に合わせて一緒に飛行させて撮影するとかそういったことは基本的にできませんのでご注意ください。

そもそも危険な飛行はしないようにしましょう。

どうしても電車を撮りたい場合は、中望遠レンズのドローンなどをうまく活用しましょう。
※電車の撮影を勝手にした場合問題になることもあるため、鉄道管理者に確認するなどしてから撮影してください。

鉄道会社への確認と届出・許可も必要

航空法の手続きとは別に、管轄の鉄道管理会社等へ連絡し、飛行の調整や許可を得るようにしてください。

飛行させる場所にもよりますが、列車が通過しない時間帯に行うなど、時間も含めて飛行に制限がある場合も多くなっています。このあたりは鉄道管理者や場所によるため、都度確認するようにしてください。

また、求められる書類も管理者ごとに異なります。

飛行の目的や経路図、補助者の配置図、もしもの場合の対応、日付・時間帯、操縦者、機体情報、許可書(航空法)などが求められるケースが多くなっています。危険が多い飛行となるため、鉄道管理者側の確認も細かい傾向にあります。

また、電車を止めてしまったなんてことになると損害賠償もあり得ますので慎重な飛行が求められます。

航空法における許可申請にも時間がかかりますが、鉄道会社との調整にも時間がかかることを考慮し、ゆとりを持ったスケジュール感で動きましょう。

いずれにせよ、管理者ごとで対応が異なるため、まずは電話等で確認してみると良いでしょう。

なお、時間帯や場所、鉄道によっては絶対不可という場合も当然あります。

電車を撮影する場合は注意が必要

電車そのものを撮影したい、ということであれば、撮影の許可も確認しておきましょう。

ドローンを飛ばす目的において撮影と言えば鉄道管理者から注意があるかと思いますが、お仕事における撮影の場合において、認められない形で電車が映ってしまった場合、映像が使えなくなることもあるのでご注意ください。

条例や小型無人機等飛行禁止法など他の規制にも注意

鉄道であるかどうかはあまり関係ないのですが、条例で原則飛行が禁止されている場所、国の重要施設が近くにあり、小型無人機等飛行禁止法で原則飛行が禁止されている場所もあります。

航空法と鉄道管理者への対応ばかりに気を取られ、その他の規制を見落とす方も一定数いらっしゃいます。

ご注意ください。

飛行計画の通報や飛行日誌も忘れずに

特定飛行を行う場合、飛行計画の通報・飛行日誌は必須です。

意外と怠る方が多いので、念のための記載となります。

鉄道付近でのドローン飛行許可申請はご相談ください

建設業者様や測量事業者様を始めとして、何らかの都合により鉄道付近でドローンを飛ばす必要性が発生してしまうケースはあろうかと思います。

その際に、個別申請における許可承認手続きでお困りであればご相談いただければと思います。

また、個別申請は手間なので全部やってほしいという要望は多くなっております。鉄道付近に関わらず、包括申請も含め、何かしらの申請でお困りであればお問い合わせください。

執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請や建設業許可申請、産業廃棄物収集運搬業、古物商許可等の許可申請と契約書作成代行業務を中心に行っています。また、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。写真撮影に凝っていた時期がありドローンもその一環でよく飛ばしていました。
ご依頼・ご相談などはお問い合わせよりご連絡ください。
所属:日本行政書士会連合会、東京都行政書士会
行政書士登録番号:24080257