河川管理点検においてドローンを活用するケースも増えていますが、ニーズとしては河川でドローンを用いた撮影をしたいといった理由で川でドローンを飛ばせないか検討される事業者さまも多くいらっしゃいます。
そこで、ここではドローンを川で飛ばしたいと考える方向けに、飛ばすにあたって必要な許可や注意点について見ていきたいと思います。
アロー行政書士事務所では、ドローン飛行許可の申請のサポートや飛行における法務相談なども行っています。
飛行許可でお困りであればお問合せいただければと思います。
航空法における飛行許可承認手続き
航空法における飛行許可が必要となるのは、特定飛行に該当する場合です。
従って、ドローンを飛行させる場所が川であるかどうかということよりも、特定飛行に該当するかどうかを判断していくこととなります。
特定飛行は以下の10個のいずれかに当てはまる場合となります。
※機体登録等は済んでいるという前提です。
※100g以上のドローンを使用する前提です。
■特定飛行
- 150メール以上の上空
- 空港等の周辺
- 人口集中地区の上空
- 緊急用務空域
- 夜間の飛行
- 目視外飛行
- 人又は物件から30m以上の距離を確保できない飛行
- イベント等の催し物上空での飛行
- 危険物の輸送
- 物件の投下
広くて何もない川であれば特定飛行に該当せずに飛ばせることはあるかもしれませんが、難しいケースが多くなっています。
河川での飛行で取得しておくべき許可項目
河川での飛行にあたっては、DID、目視外飛行、夜間飛行(早朝等で夜間に該当することがあります)、人・物30m未満の飛行の4項目を取得しておくと良いでしょう。特に人・物30m未満の飛行の項目は無いと飛ばせないケースが大半なため、申請しておいた方が良いでしょう。
河川の場合、DIDに該当しないケースが多いものの、東京であれば、一部の川はDIDにかかる場所もあるため、取得しておいた方が良いケースが多くなっています。
また、撮影を行うのであれば、目視外飛行は必須でしょう。
人・物30m未満の飛行は、河川の場合、該当物がない可能性はあるものの、あらゆるもの(電柱等)が物件に該当するため、河川であっても取得しておかないと違反になってしまう可能性は高いです。川には河川管理者が設置する物件に該当する物が他にもある場合もあり、基本的にこの項目は申請内容に組み込んでおかないと厳しいかと思います。
事前調査をして、何もないことがわかっていれば問題ありませんが、そうでないならば、申請しておいた方が楽です。
どこで飛ばすにしろ取得しておくべき許可承認項目です。
また、場所によっては空港等の周辺にかかることがあります。ヘリポート・飛行場が近くにあるケースも多いため、場所・高さによっては空港周辺の飛行の許可が必要なこともあります。
その他、飛ばし方と言う点では、150m以上の高さで飛行させる、河川でのイベントにおいてドローンを飛行させるといったことがあれば、150m以上やイベント上空の許可が必要となることもあります。
航空法における手続きは包括申請をしておき、場合に応じて個別申請を行う
航空法上の手続きという点では、いわゆる包括申請で対応できるケースが多くなっています。
期間1年、飛行範囲を日本全国、許可項目をDID、夜間飛行、目視外飛行、人・物30mの4つにおけるスタンダードな申請です。
これで対応できない飛行を行う場合は、個別事案ごとに必要となる許可申請を行ってください。
先ほど記載したような空港周辺にかかる場合などが代表的な例でしょう。
包括申請ではできない飛ばし方(夜間の目視外飛行等)をする場合などもご注意ください。
航空法以外の手続きも必要?河川の管理者への届出や許可が求められることもある
河川法にはドローンの飛行に関する記載事項は特になく、飛行は禁止されていません。
ただ、河川の管理において支障を及ぼす行為は禁止することができる可能性があります。また、危険・迷惑行為を防止することは可能であり、このドローンの飛行が迷惑行為に該当するおそれがあるとして、自粛を促しているケースがあります(実際には迷惑行為に該当するとは言い切れないので自粛としていることがある)。
こうしたことから、ドローンを河川で飛行させるならば、届出・事前の連絡をしてくださいという河川も多くあります。
届出をせずに勝手に飛ばすとトラブルになることもあるため、必ず飛行させる前に河川管理者に確認の上飛行させるようにしてください。
最近は問い合わせる人が多いのか、ホームページ等にドローンの飛行に関する事項が掲載されているケースが増えています。
大きな川の場合、管理者が複数にまたがることもあるため注意が必要
多摩川など、市町村や県を跨ぐ長い川もあります。
こうした長い川の場合、場所により管理者が異なるケースが大半です。
同じ川でも求められる手続きが異なる可能性がありますので、どこで飛ばすかをまとめた上で管理者を探し、手続きを行ってください。
また、A地点では飛行が可能だったが、B地点では自然保護の観点から飛行が禁止(立入も禁止)されているというケースもあります。
くれぐれもご注意ください。
ドローンの飛行とは別に、撮影許可などが必要な場合も
川でドローンを飛行させるにあたっては、撮影目的の場合もあるでしょう。
その場合、ドローンの飛行に関する手続きに加え、撮影に関する手続きが別途必要となることがあります。
また、趣味飛行(個人的に撮影したものを楽しむ)ではなく、お仕事での撮影の場合(テレビやネット配信等)、企画概要部分から説明が求められることもあります。
ドローンの飛行ばかりに気を取られ、その他の手続きを怠るケースもあるためご注意ください。
河川敷が公園に該当しており、条例で離着陸予定場所の飛行が禁止されているケースも
川で飛ばすにあたって、離着陸の場所は川ではないケースも多いでしょう。
土手や河川敷などから飛行させることもあるかと思います。
その場合で注意が必要なのが、公園に該当していないかどうかということです。
条例で公園でのドローン飛行は禁止されていることが多いため、河川での許可や届出とはまた別の許可・届出・承諾等が必要となることがかなり多いです。
条例も含めて注意が必要です。
なお、条例での記載の場合、ドローンの機体重量が100g以上かどうか関係ない場合も多いのでご注意ください。
小型無人機等飛行禁止法にも注意
河川で飛行させるにあたって、空港周辺(飛行場やヘリポート、自衛隊の施設等)が近くにあることもあるでしょう。
この場合、小型無人機等飛行禁止法のエリアに入っている可能性もあるため、ご注意ください。
通報手続きが必要です。
なお、空港周辺というのはあくまで一例です。
また、この法律では100g以上のドローンかどうかは問題にならず、100g未満などのトイドローンも規制の対象ですのでご注意ください。あくまで100g以上かどうかは航空法上の基準であり、その他の規制では関係ない場合が多くなっています。
飛行計画の通報などその他の手続きも当然行う
念のための記載となりますが、許可申請以外の手続きにおいても特定飛行を行うにあたって果たすべきことは忘れずに行ってください。
飛行計画の通報や飛行日誌がその代表例です。
河川でドローンを飛行させる場合の許可についてのまとめ
河川で飛行させるにあたっては、以下に注意しましょう。
- 航空法上の許可承認手続き
- 河川管理者への届出・許可・承諾等(航空法の飛行許可があることが前提となるケースが多いです)
- 小型無人機等飛行禁止法
- 条例
- その他の規制(撮影許可等)
- 飛行計画の通報等
「川」と一口に言っても全国にたくさんあるため、一概に手続きを定型化できるものでもありません。管理者も異なります。
飛行させる河川が決まったら、その場所ごとにしっかりと規制を調べ、手続きを行うようにしてください。
河川管理者が独自の手続きを求めているケースがあれば、それに従いましょう。
航空法における手続きはもちろんですが、意外とそれ以外の規制も多いため、くれぐれもご注意ください。
河川で飛行させるにあたり、まずは包括申請等の航空法における許可申請を行う必要があるかと思いますが、そのあたりからよくわからないという方も多くなっています。
飛行許可承認手続きでお困りであればご相談ください。
ドローン飛行許可承認手続きの申請代行サービスの詳細については該当ページをご覧ください。