包括申請では独自飛行マニュアルが必要?ドローン飛行許可申請におけるマニュアルの重要性と標準マニュアルの書き換えについて解説!

包括申請をする際に、飛行マニュアルの提出が求められます。多くの方が「航空局標準マニュアル02」にチェックを入れて申請しています。

標準マニュアル02の内容を理解したうえで利用しているのであれば全く問題ありません。

ただ、「包括申請時は飛行マニュアルの02にチェックを入れれば許可が出る」と機械的に覚えて申請している人も結構多くいらっしゃり、チェックはするものの、中身を読んでいないという方が非常に多いという印象があります。

標準マニュアルでは飛ばせないということはありませんが、飛行内容が厳しく制限されているため、お仕事でドローンを飛ばす方の多くは、基本的には独自マニュアルを添付する方が多くなっています。

そのため、まず一度飛行マニュアルを見てもらいたいと思います。

このページでは、多くの方が標準マニュアルでは飛ばせないと感じることが多くなっているため、包括申請における独自飛行マニュアルの必要性について見ていきたいと思います。

なお、アロー行政書士事務所では、飛行条件が緩和された独自マニュアルでの包括申請を行っております。独自飛行マニュアルは無料で作成しておりますので、ぜひ申請代行サービスの利用もご検討ください。詳細は以下ページよりご覧ください。

※標準マニュアルも日々改訂されております。閲覧のタイミングによっては、閲覧した時点での標準マニュアルとそぐわない部分が出てくる可能性がありますがご了承ください。

航空局標準マニュアルの種類

包括申請において、空撮の方の場合、標準マニュアル02を利用する、あるいは標準マニュアルベースとした独自マニュアルを利用するケースが一般的です。インフラ点検や農薬散布であれば、インフラ点検用や農薬散布用の飛行マニュアルが用意されており、そちらを利用するケースが多くなっています。以下が航空局が準備してくれている標準マニュアルの種類です。

標準マニュアル名使用用途
航空局標準マニュアル01個別申請の際に利用
航空局標準マニュアル02一般的な包括申請の際に使用
航空局標準マニュアル(空中散布)空中散布(実質農薬散布)が飛行目的の際に使用する標準マニュアル(個別申請・包括申請)
航空局標準マニュアル(研究開発)ドローンの機体及び操縦装置の研究開発のための試験飛行を目的としたマニュアル
航空局標準マニュアル01(インフラ点検)インフラ・プラント点検を目的とした飛行で利用する標準マニュアル(個別申請)
航空局標準マニュアル02(インフラ点検)インフラ・プラント点検を目的とした飛行で利用する標準マニュアル(包括申請)
国土交通省のホームページより中身はご覧いただけます。

独自飛行マニュアルというのは、多くの場合、この標準マニュアルをベースに、実際の飛行形態に合わせた形で書き換えたものを言うことが多くなっています。

稀に完全独自で作成しているケースもありますが、包括申請の場合はこの標準マニュアル02をベースに書き換えを行い、修正したものを添付します。

標準マニュアルでは飛ばせない?知らずに違反していたケースも

ドローンの飛行許可は、飛行マニュアルを順守して飛ばすことが条件に出されます。

包括申請をされる方の多くは、先ほど記載したように「航空局標準マニュアル02」で申請しているかと思いますが、標準マニュアルは飛行が厳しく制限された内容となっているので、本当に飛ばしたいことができるものなのかどうか、微妙な場合も多くなっています。

ほとんどの方に影響する項目としては、風速5m/sの制限があげられるかと思います。

地上では風速5m/sではなかったとしても、少し上空まで飛ばせばこの風速制限にかかるケースがほとんどです。そのため、標準マニュアルだと違反となる可能性が高くなっています。

ただ、多くの方が申請の際に必要だから何となく標準マニュアルをチェックしているに過ぎず、実際に飛行マニュアルを読んだことがあるという方の割合はそこまで多くないという印象があります。

飛行マニュアルを見ていない方が多いので、飛行内容が制限されていることに気が付かず、知らないうちに違反してドローンを飛行させている場合は結構あったのかなと思います。

まず、標準マニュアルをしっかり確認し、本当に自分が飛ばしたいことができるのかどうか確認してみましょう。

標準マニュアルで禁止されていてよく違反している項目の例

ご自身でも標準マニュアルには目を通していただきたいのですが、代表的なよくある違反しているケースについて、記載します。
※標準マニュアル自体も随時改訂されており、徐々に皆様が実際に飛行するパターンに合わせた形で利用しやすいように変化してきています。以下少し情報が古くなる可能性があるため、最新のマニュアルを確認するようにしてください。
※書換不可な項目もありますのでご注意ください。

  • 風速5m/sでの飛行
    ※書換可能
  • 物件の吊り下げ、曳航
    ※書換可能
  • 雨天時の飛行
    ※書換可能
  • 第三者の往来が多い場所や学校、病院、神社仏閣、観光施設などの不特定多数の人が集まる場所の上空やその付近は飛行させない。ただし、、、
    ※但し書きが近年追加されており、場合により飛行はしやすくなりましたが、標準マニュアルでは依頼がないと飛ばせないので、書き換えを行うことがあります。
  • 第三者の上空では飛行させない。
    ※当たり前なのですが、意外と守っていない人が多くなっています。書き換えはできません。
  • 人又は物件との距離が30m以上確保できる離発着場所を可能な限り選定するとともに、周辺の第三者の立ち入りを制限できる範囲で飛行経路を選定する。
    ※可能な限り選定が近年追加されました。
  • 夜間の目視外飛行
    ※灯火の無いドローンを夜間に飛ばす際書き換えないと違反になる他、半径の項目の書き換えておかないと夜間飛行はかなり厳しくなります。
  • 補助者なしの目視外飛行
    ※立入り管理区画の設定により確実な第三者の立入りを制限できれば可能。
  • DIDでの夜間飛行
    ※書き換えできず個別申請が必要です。
  • 夜間の目視外飛行
    ※書き換えできず個別申請が必要です。
  • 高速道路や鉄道、交通量が多い一般道の上空やその付近での飛行
    ※書き換えできず個別申請が必要です(飛行目的による)。

上記は一例ですが、違反しやすいものは多くあります。なお、注意点としてここにあげたものは好きなように書き換えられるわけではありません。

また、書き換える場合でも、それが実現できる根拠が必要です。

たとえば、風速5m/s以上は違反しやすい項目となっています。風速を緩和するマニュアルを作成する必要があるのであれば、何が必要かを考えるなければなりません。

その他、以前までは、離発着30mの項目に関して、可能な限り選定するなどの文言がなかったので、30m以内の飛行承認申請をしていたとしても、離陸等はそれとはまた別の問題となるため、離陸時に違反となってしまうケースが多くありました。現在は但し書きがあるので、そのままでも飛ばせるケースは増えています。ただ、もう少し記載を変更する場合もあります。

一度現在の標準マニュアルをしっかり読んでみて、これで問題無く飛ばせそうか確認してみると良いでしょう。

国土交通省のページに掲載されているので、一度見てみましょう。最新のものを見た方がいいと思うので、必ず国土交通省のページから資料を取りに行くようにしてください。

包括申請における独自飛行マニュアルの作成(書換)にあたっては、書換られない内容もあり、個別申請が必要になることも

包括申請において、標準マニュアルでは飛行が難しい場合は、独自マニュアルの作成が必要となりますが、好きなように文言を修正したり、追加したりできるわけではありません。

当然絶対に守らないといけない項目などもあります。

  • 夜間の目視外飛行
  • DIDでの夜間飛行
  • 立入管理措置をしない目視外飛行(立入管理区画の設定により補助者なし目視外飛行は実現できることはありますが、立入管理措置なしの飛行は包括申請ではできません)
  • 空港等周辺
  • イベント上空
  • 150m以上の高さ
  • 交通量の多い道路や鉄道、高速道路の上空、付近での飛行

一例として、上記の場合は個別申請が必要になります。包括申請の独自マニュアルを書き換えてもダメです。

なお、個別申請をする場合でも、飛行の内容に応じて、個別申請用の標準マニュアルを書き換える必要があります。

マニュアルを書き換える場合は代替措置等をしっかり記載する

風速の項目などが最も書換頻度の高い項目かと思いますが、単純に消したりなくしたりすることができるわけではありません。もともと標準マニュアルで禁止されている理由としては、危険だからなどのしっかりとした理由があります。

そのため、緩和しつつも、自主的に体制を強化するなどの措置を取ることで、カバーができる内容であれば、書き換えることができる場合があります。

マニュアル違反に注意!コンプライアンス意識の高まりから法令順守を徹底していないとドローンの仕事がもらえないケースが増加

大手上場企業だけでなく、中小も含めた多くの企業でコンプライアンス意識が高まっています。

そのため、ドローンの飛行をするにあたって、パイロットや業者を選ぶ際に、しっかりと法令順守の徹底ができている業者なのかどうか、このあたりもチェックされるようになってきています。

違反してドローンを飛ばしているケースが多く、書類送検される事例が増えてきたことから、気を遣う事業者が増加しているように感じます。

ドローンを使ってお仕事を受注されている方の中には個人でやっておられる方もいらっしゃいますが、コンプライアンス意識が低い傾向にあるため、今後お仕事を減らさないためにも飛行マニュアルを含めたルールを守る意識を持つようにしましょう。

その一歩として、飛行マニュアルをしっかり理解することがあげられるかと思います。

行政書士が独自飛行マニュアルの作成から包括申請までサポート

行政書士が申請する場合、飛行内容が緩和された独自マニュアルで申請するケースが大半かと思います。そのため、一度依頼することで、どのようなマニュアルを使っているか手に入るため、利用するメリットがあるでしょう。近年の標準マニュアル02はだいぶ飛ばせる形態になってきているので、そこまで独自マニュアルにこだわる必要はないかもしれませんが、参考にしてみると良いかと思います。

もちろん標準マニュアルで問題無い場合はご自身で申請できるかと思いますが(それでも面倒なので依頼する方は多くいらっしゃいますが)、独自マニュアルにしておいた方がいい可能性がありますので、そうした場合、代行を依頼しても良いでしょう。

ドローンの飛行許可申請だけであれば2万円~4万円前後(一般的な包括申請など難易度がそれほど高くない飛行で済むのであれば)でやってくれる行政書士が大半かと思いますので、相談することも視野に入れてみてください。

また、よくある違反例なども教えてくれることが多いため、特に初心者の場合は、依頼してみるメリットはあるものと考えます。

当事務所でもドローンの飛行許可申請の代行を行っております。気軽にご相談ください。

ドローンの飛行にあたってはマニュアルをしっかり読もう

そもそも包括申請で使用する標準マニュアル②には多数の制限があることすら知らないという方が多くいらっしゃいます。

そのため、まずは標準マニュアルがどうなっているのかを把握するようにしましょう。

そのうえで、どういった部分を修正する必要があるのか、検討し、適切な申請と飛行を行うようにしてください。

申請にあたっては、当事務所のご利用も検討してみてください。

なお、包括申請について知りたい方は以下の記事もご参考ください。

執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請や建設業許可申請、産業廃棄物収集運搬業、古物商許可等の許可申請を中心に行っています。また、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。写真撮影に凝っていた時期がありドローンもその一環でよく飛ばしていました。
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所属:日本行政書士会連合会、東京都行政書士会
行政書士登録番号:24080257