2024年12月16日よりDIPSでレベル3.5飛行の申請ができるようになりました。
アロー行政書士事務所では、レベル3.5飛行の申請をDIPSでやってみましたので、その手順や申請方法等について簡単にではありますが、解説していきたいと思います。
レベル3.5飛行の申請でお困りであれば、申請の代行やサポート、法務相談も受け付けておりますのでご相談いただければと思います。
そもそもレベル3.5飛行とは?という方は左記ページを先にご覧ください。
サービス詳細や料金については、ドローン飛行許可申請代行のページをご覧ください。
※あくまで当事務所が申請した時点での情報となります。また、各社における初回の申請という前提となります。ドローンの申請のやり方等は日々変化しているため、閲覧のタイミングによっては若干変わっていることもあるかもしれませんがご了承ください。また、2025年3月24日以降、DIPSも改修されるため、画面が多少違う場合もありますがご了承ください。基本的な概念・考え方は変わらないと思いますので、そういった視点でご参考ください。
DIPSで申請する前に国交省本省航空局と事前相談・調整を行う
DIPSでレベル3.5飛行の申請ができるようになったとはいっても、これまで通り、事前相談・調整等を国交省本省航空局とやっておく工程はなくなっていません。
あくまで最終工程の申請書の作成部分がDIPSでできるようになったに過ぎないのでご注意ください。
そのため、まずは本省航空局に、レベル3.5飛行をやりたい旨を伝えましょう。
※連絡先は航空局HP参照。
その際に、以下のような情報は最低限伝えておくとスムーズかと思います。
- 機体
- 飛行目的・経緯(レベル3.5飛行の必要性等含め)
- 飛行経路の概要
- 飛行時期
- 運航者の情報(操縦者の資格情報や保険加入有無等)
そのうえで、レベル3.5飛行の事前相談をしたいと伝えるとスムーズかと思います。
また、当たり前ですが、事前に審査要領等はしっかり読み込んでおき、条件(許可要件)を満たしているであろうことは確認しておいてください。
レベル3.5飛行でなくても飛ばせるのであれば申請が受付されない可能性も
そもそも包括申請の範囲で普通に飛ばせるのでは?というケースも多くあるようです。
当該飛行がレベル3.5飛行である必要性も合わせて伝えておくと良いでしょう。
運航概要宣言書ひな形および飛行マニュアル、追加基準適合表が航空局より送られてくる
上記のような情報を伝え、事前相談の旨を伝えると、運航要件宣言書と運航条件設定書、追加基準適合状況、飛行マニュアルがメールで航空局より送られてきます。
なお、省略可(具備すればよい)とされている資料も、初回の申請では提出が求められます。
運航概要宣言書
運航概要宣言書とは、レベル3.5飛行に伴い、しっかりルール・要件を守って飛ばすことを宣言するものです。
Wordのファイルで作成して提出することになります。
ここには、事業の概要や飛行目的、飛行場所、使用機体等の基本情報を記載するとともに、適切な保険に加入していることやライセンスを保持していることなどを記載していきます。
運航条件等設定書(運用概要宣言書別紙)
運航条件設定書では、どのような気象条件で飛ばすのか、飛行経路や方法に応じて生じるおそれのある飛行リスクとその対応についてなどを記載していきます。
こちらもWordで作成し、提出します。
「飛行の経路及び飛行の方法に応じて生じるおそれがある飛行のリスクと対策」という項目は、通常の飛行許可申請では見かけない項目であるため、日々の運行管理・安全管理を考える上でも良い機会となるでしょう。飛行場所や内容によるところがありますので、しっかりと検討しましょう。
利用するモニターのサイズ(送信機とモニターを使用するケースが多いかと思いますので、利用するものは記載していきます)や通信速度等の記載など、細かい情報も求められます。
追加基準適合状況
今回は初めての申請ということもあるのか、追加基準適合情報の書類の提出も最初から求められました。これもWordで作成し、提出しました。
本来提出は不用であり、運航者が作成して備えておくものです。
ただ、初めてレベル3.5飛行の許可申請をする事業者に対しては、今のところ全部に課しているものと思われます。
ここでは飛行経路の記載(落下分散範囲の計算や緊急着陸地点等考慮)や機体に関する情報の追加基準への適合を示す資料を作成していきます。
落下距離計算にあたっては、メーカーが保証する落下分散範囲を示す必要があるので、機体に応じてメーカーから取り寄せるようにしてください。
レベル3飛行の申請で作成するものに似ているため、以下の記入例を参考にしてください。
無人地帯での補助者を配置しない目視外飛行(レベル3飛行)飛行承認申請の申請書記載例
また、今回申請した機体は最大離陸重量25kg以上の機体ということもあり、記載する項目は非常に多いものとなりました。
個人的なところとなりますが、運搬ドローンでの申請がレベル3.5飛行では多いため(DJI FlyCart30)、基本的に25kg以上の機体が多くなるのかなと思っています。今後はインフラ点検等での申請も増えてくることを想定しています。
運航者コード アルファベット3桁
レベル3.5飛行は運航者ごとに許可書承認を管理しており、運航者コードを割り当てているようです。
そこで使用するコードをアルファベット3文字希望のものを聞かれるため、好きなものを準備しておきましょう。
自社で保管する資料含めてこれらの記入は意外と面倒
レベル3.5飛行と一口に言っても、機体の種類や飛行経路、飛行目的が人それぞれ異なるので一概には言えませんが、上記に記載したそれぞれの書式への入力は結構大変です。
包括申請や個別申請の経験が豊富であったとしても、見慣れない入力項目も多いため、運航宣言書等の作成には時間を要する可能性があるかと思います。
例えば、運航条件設定書には、「飛行の経路及び飛行の方法に応じて生じるおそれがある飛行のリスクと対策」の記載が求められていますが、何を書けばいいのか正直わからないと感じる方も多いかと思います。
一般論を交えつつ、飛行場所等独自の条件もあるかと思いますが、航路設計や緊急時の着陸地点の考え方、カメラ故障、通信途絶などのトラブル時の対応などを飛行場所やルートに応じて記載しておく必要があるかと思います。また、吊り下げ運搬の場合はそれらにおいて発生するリスクも把握しておくべきでしょう。
ドローンの申請においては、Youtubeやネット情報をそのままコピペして意味を理解せず申請している方も多いのが実情ですが、レベル3.5飛行の申請はこうしたやり方が難しいので、しっかりとルール・安全対策が理解できているかを振り返る意味でも有用かもしれないと感じる部分はありました(手間と時間はかかりますが)。
事前相談と運航概要宣言書等を国交省本省航空局へ提出後DIPSでレベル3.5飛行の申請を行う
上記の書類の入力が終わり、国交省本省航空局との調整が完了したら、今度はようやくDIPSシステム上で申請書を作成していく流れとなります。
その他の申請と違う部分としては、立入管理措置の入力項目でしょう。
レベル3.5飛行用の入力項目ができているため、それを選択し、進めていくこととなります。

立入管理措置の部分でレベル3.5飛行を選び、航空局に伝えた希望の管理番号を入力します。

また、立入管理措置も上記のような形となります。基本的にDIPS申請のところまでくれば、そこまで難しくないかと思われます。
飛行経路の入力欄が独特

飛行経路は通常の個別申請と異なり、上記のような形での入力が求められます。
飛行経路そのものは事前調整の段階で作成していますが、DIPS上では上記のような形での入力が求められます。
飛行内容にもよりますが、申請で迷うのはこの飛行経路の入力くらいかと思います。25kg以上の機体だと追加基準において記入欄が多くなりますが、事前調整で記入しているものと変わりはないため、それほど難しくないでしょう。
その後申請をすると、数日程度で許可書発行となります。
申請後は飛行前には関係機関への通知も
飛行概要・申請内容にもよりますので、何をどこまでやるかはその時々で変わってきますが、「有人機の運航者」、「有人機団体連絡先リストに示す各団体」に対して無人航空機の飛行予定期間、飛行予定場所、経路図(緯度・経度)、飛行目的・概要、緊急連絡先等を通知する作業も必要です。
通知先をまとめ、飛行の前にしっかりと通知を行う必要があります。
レベル3.5飛行の申請は行政書士に相談するのも1つの手
包括申請・個別申請とは少々異なる手続きとなるため、申請に慣れている行政書士と相談しながら進めていくことも1つの手段だと思います。
丸投げできる類の申請ではありませんし、そうすべきではありませんが、間に専門家を入れることで、スムーズ且つ適切な申請・運航管理ができるものと思われます。
アロー行政書士事務所でもレベル3.5飛行の申請代行・サポートをしておりますので、ご相談いただければと思います。
ドローン飛行許可申請に関する料金等含めたサービスは詳細ページをご覧ください。
変更申請はそれほど難しくない
飛行内容が大きく変わらないのであれば、変更等が入っても、比較的スムーズ(あるいは自社で書類を変更して具備のみ)なので、2回目以降の申請は楽になるかと思います。
また、別の申請をする際も、一度レベル3.5飛行の申請を経験しておくことで、やりとりも少なく済むようになっていくでしょう。
そのため、初回のみ行政書士を活用するということもご検討ください。
