国交省HP掲載機とは?飛行許可申請時に資料の一部を省略できるドローンについて

ドローンの飛行許可申請に関する相談を受ける中で「国交省HP掲載機とは何でしょうか?」と質問をいただくことがあります。

結論としては、国交省のHPに「資料の一部を省略できる無人航空機」という形で一覧で表示されている機体のことを指しています。
参考:資料の一部を省略できる無人航空機(国土交通省)

このページでは、HP掲載機と非掲載機の違い、許可申請時におけるポイント、今後のこの制度の運用について解説していきたいと思います。

アロー行政書士事務所では、飛行許可申請の代行・サポートをしております。お困りでしたら気軽にご相談ください。

国交省HP掲載機=「資料の一部が省略できる無人航空機」=条件に合致する場合は資料添付が不要になる

冒頭で記載したように、国交省HP掲載機とは、資料の一部が省略できる無人航空機のことを指します。

資料の一部が省略できる無人航空機とは、国土交通省が機体の性能・安全性を確認しており、条件に従った飛行であれば、飛行許可申請時に資料を省略することが可能な機体となります。

飛行形態の区分に応じて省略が可能

国交省HPに掲載されている資料の一部を省略できる無人航空機のリストを見てみましょう。

国土交通省資料の一部を省略できる無人航空機

リストの中に、「DJI Mini 3 Pro」があります。

よくご相談いただく機体です。そのため、Mini3Proを例に見ていきましょう。

Mini 3 Proの確認した飛行形態の区分欄に、A/B/C注5/Dという記載があります。

Mini3 ProはDまでしか記載がありませんが、A~Gまでの区分があります。それぞれ以下のように定義されています。

■確認した飛行形態の区分
A. 基本的機能及び性能
B. 進入表面等の上空又は地表若しくは水面から150mの高さの空域における飛行のための基準
C. 人又は家屋の密集している地域の上空における飛行、地上又は水上の人又は物件との間に所定の距離を保てない飛行、多数の者が集結する催し場所の上空における飛行のための基準
D. 夜間のための基準
E. 目視外飛行(補助者有り)のための基準
F. 危険物の輸送を行うための基準
G. 物件投下を行うための基準

国土交通省資料の一部を省略できる無人航空機

つまり、飛行許可申請時に、これらのアルファベットがついている機体についてはその項目の資料が省略できるということです。Mini 3 Proであれば、ABCDの項目において、資料が省略可能であるということです。

ここでAからGにおいて省略できる資料の大枠としては以下となります。

  • 機体画像(前・横・後ろ)、送信機設計図(画像)、機体基本情報等の省略
  • 運用限界値やそれがわかるスペック表・取扱説明書の省略
  • 追加基準への適合における証明資料の省略

Mini 3 Proの例で見てみると、ABCDの記載がありますが、Cに注5の記載があります。注5の内容は以下です。

対応するファームウェアを機体にインストールし、かつ、メーカー指定のプロペラガードを装備した場合に限る。ただし、プロペラガード装備時の大容量バッテリーの使用は禁止である。

国土交通省資料の一部を省略できる無人航空機

つまり、DJI Mini 3 Proで飛行許可申請(包括申請)をする場合において、Aの項目があるので、一般的な機体の情報は省略ができることがわかります。

次に、Cの項目があるので「DID(人口集中地区)」と「人又は物件から30m未満の飛行」の項目で許可承認を得ようと思う場合、注5の条件に従う限り、証明資料の添付が不要であるということです。

また、Dの項目も記載されているため、夜間飛行の承認を得るにあたっても証明資料の添付が不要となります。

一方で、Eの項目の記載はMini 3 Proにはありません。

つまり、目視外飛行の承認を得ようと思った場合に関しては資料が省略できないため、目視外飛行にあたっての要件を満たすことを証明するための資料添付は必要であるということです。

具体的には、機体に設置されたカメラに映像が映ることの証明資料、プロポ等で機体の位置や異常がわかることを示すための資料添付が必要です。

目視外飛行にあたっての資料添付は必要であるものの、その他の資料は省略が可能なため、包括申請であれば初めてドローンを購入した方でも自力でやることが可能だと思われます。

「注2」のメーカー指定の自動操縦システムを装備している場合に限るの記載に注意が必要

先ほどの「Mini 3 Pro」の2つ下に「MATRICE100」という機体があります。

この機体にはE注2の記載があります。

つまり、この機体は、先ほど説明したMini 3 Proとは異なり、目視外飛行においても資料が省略できる機体となります。

国土交通省資料の一部を省略できる無人航空機

ただし、Eの横に注2とありますので、注2を満たす場合のみ資料が省略できるということになります。

注2は以下のように記載されています。

(注2) 下記のメーカー指定の自動操縦システム及び機外の様子を監視できるカメラを装備した場合に限る。
DJI GS Proアプリ(No.4~15、17~29、46、47、49、51、66)
DJI PILOTアプリ(No.7~11、14、15、22~24、27~29、47~53、66)
・・・省略

国土交通省資料の一部を省略できる無人航空機

つまり、これらの自動操縦アプリを使用する場合に限り、資料が省略できるということとなります。

これら以外の飛行アプリを使用する可能性があるのであれば、資料は省略できませんので、メーカー指定の自動操縦システムで資料を省略して許可承認を得ると、思ったような飛行ができなくなる可能性があるのでご注意ください。

メーカー指定の自動操縦システム以外の飛行アプリを使う場合など、複数のアプリ使用が想定されるのであれば、申請時にその他欄を選択し、複数のアプリを使い分ける前提で申請書を記載し、資料添付の必要があります。

メーカー指定の自動操縦システムで自動操縦する前提で許可承認を得ているのに、それらを使用せずに飛行させているケースが多くなっており、これは違反になるのでご注意ください。

国交省HP非掲載機とは何か?

国交省HP非掲載機とは、先ほど記載したリストに載っていない機体であり、資料が省略できない無人航空機となります。

「DJI Mini 4 Pro」や「DJI Air 3S」、「DJI NEO」などが該当します。

これらの機体で許可申請をする場合、資料が省略できず、機体画像や運用限界値等の入力など、基本的な情報入力から必要となり、手間がかかります。

特に、最大離陸重量25kg以上の機体においては、堅牢制や100時間以上の飛行に耐えうる耐久性の証明など、何を書けばいいのかわからない項目も多くなっているため、相談が多くなっています。

資料の一部を省略できる無人航空機の運用は2025年12月に終了予定

2025年12月以降、資料の一部を省略できる無人航空機の運用は廃止予定です。

機体認証がほとんど進んでいない現状を考えると、今後、すべての許可申請において資料が省略できず、申請が面倒になる可能性があります。

今後の運用は未定な部分もあるため確かなことは言えませんが、現時点でわかっていることとしては、もう新たに国交省HP掲載機として機体が追加されることはありません。このまま2025年12月以降制度が終わってしまうのであれば、手間が増えるということになります。

まだ未定な部分もあるため、変更や新たな情報がわかり次第情報をアップデートします。

なお、飛行許可申請でお困りでしたらドローン飛行許可申請代行サービスの利用もご検討ください。

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執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請の代行や建設業許可申請、産業廃棄物収集運搬業の許可申請を行っている他、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。ドローンはDJI Mini 3を保有し、撮影しています。
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