機械器具設置工事業の許可要件(専任技術者の資格や実務経験)や建設業許可申請時の注意点について解説【建設工事業種解説】

建設業許可において、建設業種は全部で29種類あります。

今回は、「機械器具設置工事」について、建設業許可取得にあたっての要件や注意点について見ていきたいと思います。

アロー行政書士事務所では東京都内(23区内)や立川市、青梅市などの多摩エリア、埼玉県、神奈川県の建設業許可申請の代行をしております。建設業許可申請でお困りでしたら気軽にご相談ください。

機械器具設置工事の内容と例示

機械器具設置工事とは、機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事です。

国土交通省があげている工事の例示として、プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事などがあります。

補足事項として、例示で記載した「運搬機器設置工事」には「昇降機設置工事」も含まれます。

機械器具設置工事は他の専門工事との区分に注意が必要な場合も多い

『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器具の種類によっては『電気工事』、『管工事』、『電気通信工事』、『消防施設工事』等と重複するものもあります。これらについては原則として『電気工事』等それぞれの専門の工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械器具の設置が『機械器具設置工事』に該当するとされています。内容により注意が必要です。

また、例示としてあげている「給排気機器設置工事」とはトンネル、地下道等の給排気用に設置される機械器具に関する工事であり、建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は『機械器具設置工事』ではな『管工事』に該当します。

その他、公害防止施設を単体で設置する工事については、『清掃施設工事』ではなく、それぞれの公害防止施設ごとに、例えば排水処理設備であれば『管工事』、集塵設備であれば『機械器具設置工事』等に区分すべきものであるとされています。

場合によっては別の業種の許可が必要になることも多くなっていますが、判断が難しいため、注意が必要です。

※参考:東京都建設業許可事務ガイドライン

機械器具設置工事の専任技術者(専技)としての実務要件

機械器具工事で許可を取得するにあたり、専任技術者の配置が必要です。

専任技術者の要件としては、①該当する資格を保有していることを証明するか、②実務経験があることを証明することとなります。

なお、営業所ごとに必要であること、常勤性が求められることにご注意ください。

①資格のみで専技の要件を満たすのは困難

機械器具設置工事の専任技術者を資格で証明する場合、技術士法に該当するもののみとなります。該当する資格は複数あるものの、ほとんどがプラスアルファで実務経験が求められ、資格のみで満たそうと思うと、技術士法に基づくものだけです。

そのため、基本的に実務経験で証明するケースが多くなっています。
※資格に加えて該当する実務経験が必要なケースは()内に実務経験年数を記載しています。
※赤色文字は特定建設業の場合で可能な資格

  • 1級建築施工管理技士(3年)
  • 1級建築施工管理技士補(3年)
  • 2級建築施工管理技士(建築・躯体・仕上げのいずれも実務経験5年)
  • 2級建築施工管理技士補(5年)
  • 1級電気工事施工管理技士(3年)
  • 1級電気工事施工管理技士補(3年)
  • 2級電気工事施工管理技士(5年)
  • 2級電気工事施工管理技士補(5年)
  • 1級管工事施工管理技士(3年)
  • 1級管工事施工管理技士補(3年)
  • 2級管工事施工管理技士(5年)
  • 2級管工事施工管理技士補(5年)
  • 技術士法(技術士試験)
    • 機械「熱・動力エネルギー機器」又は「流体機器」・総合技術監理(機械「熱・動力エネルギー機器」又は「流体機器」)
    • 機械「熱・動力エネルギー機器」及び「流体機器」を除く・総合技術監理(機械「熱・動力エネルギー機器」及び「流体機器」を除く)
  • 登録計装基幹技能者(基幹技能者※注7)

注7建設業法施行規則第十八条の三第二項第二号の登録基幹技能者講習を終了した者をいい、単一の建設業の種類における実務経験を10年以上有する場合について、当該建設業の種類における技術者として認められます。なお、平成30年4月1日の施行以前に講習を修了した者のうち、対応する建設業の種類に関して10年以上の実務経験を有していないものについては実務経験年数を10年以上有 するに至った時点で当該要件を満たすものとします。

機械器具設置工事の場合、資格で証明するには技術士試験で示すしかなく、基本的に実務経験で証明していくケースが多くなっています。

②資格がないため実務経験で証明する場合

該当する資格を保有していなくても、該当する実務経験10年以上(学歴が無い場合)を証明できれば、専任技術者としての要件を満たすことができます。

10年の実務経験を証明するのは非常に困難ですが、書類等をしっかり保管されている方であれば可能なケースもあります。

参考までに、実務経験の証明に必要となる資料に関してですが、東京都の場合は、注文書あるいは請求書と入金履歴を期間分提出することで証明することが可能です。東京都の場合、期間分の書類が必要ですが、3カ月に1件換算で計算が可能です。

神奈川県と千葉県は各年度1件以上、埼玉県の場合は1ヵ月1件の換算となります。

都道府県により証明書類を集める難易度が異なるため注意が必要です。

※あくまで一例であり、変更されることもある他、代替できる手段がある場合もあるため、必ず最新の手引きをご確認ください。

該当する学校・学科を卒業していれば実務経験は短縮可能

実務経験10年の証明はとても難しいのですが、該当する大学や専門学校、高校の指定学科を卒業していれば、証明の必要のある実務経験年数を短縮できるケースがあります。

機械器具設置工事に関しては、建築学・機械工学・電気工学に関係する学科を卒業していれば短縮することが可能です。

実際の学部学科名称は学校ごとで異なるかと思いますが、建築学であれば、「環境計画科」「建築科」「建築システム科」「建築設備科」「居住デザイン科」「造形科」などとなります。

機械工学は、「機械工作科」、「機械科」、「建設機械科」、「機械設計科」などがあげられます。

電気工学は、「電気設備科」や「電気技術科」「電気・電子科」などがあります。

また、高校なのか大学なのか、専門学校なのかで短縮できる年数は異なってきます。

学校種別必要年数
高等学校指定学科を卒業+該当する実務経験5年
大学・短期大学指定学科を卒業+該当する実務経験3年
高等専門学校指定学科を卒業+該当する実務経験3年
専修学校指定学科を卒業+実務経験5年
(専門士、高度専門士であれば大学卒と同等となり3年で可)

卒業したことがわかる書類の提出と、場合により履修記録が求められるため、一緒に取得しておくと良いでしょう。

機械器具設置工事と合わせて取得する許可業種

機械器具設置工事の内容の項目で記載した通り、専門工事に該当する器具の設置工事にあたっては、電気工事など別の専門工事業種の許可が必要なため、請負う工事内容と照らして必要な許可を取得してください。

こうしたこと以外においては、建築物の空調機器設置工事にあたり管工事を取得するケースがあろうかと思います。

該当する資格を保有しているケースでは、機械器具設置工事以外の許可業種も申請はできるため、申請できるものはしておきたいというケースも多くなっています。

建設業許可要件

このページでは機械器具設置工事で許可を取得するための要件(専技としての要件)を中心に解説しましたが、建設業許可取得に必要なその他の要件をクリアしていく必要があります。

  1. 建設業における経営経験の有無(経営業務の管理責任者、常勤役員等)
    ※建設業における経営経験(個人事業や取締役等)5年等
  2. 専任技術者として認められるための条件を満たすかどうか(専技)
    ※本ページで記載した資格要件や実務要件と常勤性
  3. 財産要件を満たすかどうか
    ※預金500万円以上など
  4. 欠格要件に該当しないかどうか
  5. 社会保険等への加入
  6. 誠実性

建設業許可取得のポイントは、本ページで記載した専技の要件がクリアできていることの証明と建設業における経営経験の証明です。

この2つがクリアできるかどうかが実質的に許可取得できるかどうかの分かれ目となります。特に機械器具設置工事については専技の要件を満たす書類集めに苦労するケースが多くなっています。

ただ、その他の要件もしっかりとクリアする必要があるため、細かい点にも注意が必要です。

自宅兼事務所のような形態で運営されている小規模な建設事業者様ですと、事務所要件に引っかかるケースも少なくないため、ご注意ください。

建設業許可申請でお困りならアロー行政書士事務所にご相談ください

機械器具設置工事に関連する許可申請はもちろんですが、その他の建設業許可申請新規、決算変更届、更新、経審など許可申請関連でお困りでしたらご相談いただければと思います。

東京都23区や立川を始めとした多摩方面での許可申請をサポートしています。気軽にご相談ください。

ご依頼の流れ

まずはお問い合せ
まずはメールかお問い合わせフォームよりお願いします。
即日か遅くとも3営業日以内に無料相談の日程に関するご連絡させていただきます。
無料相談(許可の可否等)やお見積り
お電話等で許可取得に関する相談や許可取得の可否を判断させていただきます。特に経営経験と機械器具設置工事業における専任技術者の要件を満たすかは詳しく確認する必要があります。
また、伺ったお話をもとに、御見積書を作成させていただきます。
ご依頼決定
お見積書をご確認頂き、料金・内容に同意頂けるかどうかご検討ください。
申請書の作成からご請求
委任状のご記載や申請に必要となる書類を収集し、まとめていきます。お客様自身にご準備いただく必要がある書類に関しては、リストにしてご提示させていただきます。
適宜必要に応じて進捗状況などをご連絡しながら進めていきましょう。
書類が完成しましたら当事務所が行政庁へ申請書類を提出します。
なお、申請する前に、請求書を発行させていただき、お振込みが確認でき次第の申請書提出となります。
許可・通知書の送付
審査が行われ、問題無ければ建設業許可取得が通知されます。
審査期間は概ね1か月から2ヵ月程度です。
なお、建設業の許可は取ったらそれで終わりではありません。
決算変更届の作成など、許可を維持するために必要な手続きもございます。
こうした面のサポートも行っています。

お見積りやまずは許可が取れそうかだけ確認がしたいという方もお問い合わせください。

執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請や建設業許可申請、産業廃棄物収集運搬業等の許可申請や契約書作成、内容証明作成等を行っています。また、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。写真撮影に凝っていた時期がありドローンもその一環でよく飛ばしていました。
ご依頼・ご相談などはお問い合わせよりご連絡ください。
所属:日本行政書士会連合会、東京都行政書士会
行政書士登録番号:24080257