建設業許可における工事業種は全部で29種類あります。
今回は、「消防施設工事」について解説していきたいと思います。
消防施設工事で建設業許可の取得をお考えの方はご参考ください。
なお、アロー行政書士事務所では東京都内(23区内)や立川市、青梅市などの多摩エリア、埼玉県、神奈川県の建設業許可申請の代行をしております。建設業許可申請でお困りでしたら気軽にご相談ください。
消防施設工事とは?
消防施設工事とは、火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事のことです。
消防施設工事の例示として、屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事などが行政の資料にあげられています。
※参考:東京都建設業許可
その他の専門工事業種との違い(建設工事区分の考え方)
消防施設工事とその他の専門工事の区分で迷うこともあります。許可取得の際にも注意が必要です。
消防施設工事の例示として記載した「金属製避難はしご」とは、火災時等にのみ使用する組立式のはしごであり、ビルの外壁に固定された避難階段等はこれに該当しないことに注意が必要です。したがって、このような固定された避難階段を設置する工事は『消防施設工事』ではなく、建築物の躯体の一部の工事として『建築一式工事』又は『鋼構造物工事』に該当します。
許可業種の中の1つである『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器具の種類によっては『電気工事』、『管工事』、『電気通信工事』、『消防施設工事』等と重複するものもあるが、これらについては原則として『消防施設工事』等それぞれの専門の工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械器具の設置が『機械器具設置工事』に該当することとなります。なので、機械器具設置工事が必要でない場合も多いかと思います。
※参考:建設許可事務ガイドラインより
消防施設工事の専任技術者(専技)としての要件
消防施設工事で建設業許可を取得するにあたっては専任技術者の配置が必要です。
専任技術者の要件としては、該当する資格を保有していることを証明するか、実務経験があることを証明することとなります。
なお、専技は常勤性が求められることにご注意ください。また、営業所ごとに必要です。
資格で証明する
消防施設工事の専任技術者を資格で証明する場合、以下のものが該当します。
※資格に加えて該当する実務経験が必要なケースがありますが()内の年数が実務経験
※赤色文字は特定建設業の場合で可能な資格
- 1級建築施工管理技士(3年)
- 1級建築施工管理技士補(3年)
- 2級建築施工管理技士
- 建築(5年)
- 躯体(5年)
- 仕上げ(5年)
- 2級建築施工管理技士補(5年)
- 1級電気工事施工管理技士(3年)
- 1級電気工事施工管理技士補(3年)
- 2級電気工事施工管理技士(5年)
- 2級電気工事施工管理技士補(5年)
- 1級管工事施工管理技士(3年)
- 1級管工事施工管理技士補(3年)
- 2級管工事施工管理技士(5年)
- 2級管工事施工管理技士補(5年)
- 甲種消防設備士
- 乙種消防設備士
- 登録消化設備基幹技能者(基幹技能者※)
※建設業法施行規則第十八条の三第二項第二号の登録基幹技能者講習を終了した者をいい、単一の建設業の種類における実務経験を10年以上有する場合について、当該建設業の種類における技術 者として認められます。なお、平成30年4月1日の施行以前に講習を修了した者のうち、対応する建設業の種類に関して10年以上の実務経験を有していないものについては実務経験年数を10年以上有 するに至った時点で当該要件を満たすものとします。
資格をお持ちの場合は、資格証等の証明書類を提出しましょう。
消防施設工事業の許可申請にあたって、都道府県により若干ルールはことなりますが、東京都では無資格者の実務経験は、電気工事又は消防施設工事における無資格者の実務経験は、電気工事士法及び消防法等により、原則として認められないとあるため、ご注意ください。また、変更・更新される可能性もあるため、必ず最新の手引き等をご覧いただくか、実際にご相談いただければと思います。
資格がないため実務経験で証明する場合(以下消防施設工事以外の一般的な工事業種の場合)
該当する資格を保有していなくても、該当する実務経験10年以上を証明できれば、専任技術者としての要件を満たすことが通常可能ですが、消防施設工事の場合、資格がないと原則不可となります。
そのため、以下は消防施設工事業ではないと想定した場合の記載となります。
10年の実務経験を証明するのは非常に困難ですが、書類等をしっかり保管されている方であれば可能なケースもあります。
参考までに、実務経験の証明に必要となる資料に関して、東京都の場合は、注文書あるいは請求書と入金履歴を期間分提出することで証明することが可能です。東京都の場合、期間分の書類が必要ですが、3カ月に1件換算で計算が可能です。
神奈川県と千葉県は各年度1件以上、埼玉県の場合は1ヵ月1件の換算となります。
都道府県により証明書類を集める難易度が異なるため注意が必要です。
※緩和・変更されることもあるため、必ず最新の手引きをご確認ください。
該当する学校・学科を卒業していれば実務経験は短縮可能
実務経験10年の証明はとても難しいのですが、該当する大学や専門学校、高校の指定学科を卒業していれば、短縮できるケースがあります。
消防施設工事に関しては、建築学、機械工学、電気工学に関係する学科を卒業していれば短縮することが可能です。
また、高校なのか大学なのか、専門学校なのかで短縮できる年数は異なってきます。
学校種別 | 必要年数 |
---|---|
高等学校 | 指定学科を卒業+該当する実務経験5年 |
大学・短期大学 | 指定学科を卒業+該当する実務経験3年 |
高等専門学校 | 指定学科を卒業+該当する実務経験3年 |
専修学校 | 指定学科を卒業+実務経験5年 (専門士、高度専門士であれば大学卒と同等となり3年で可) |
卒業証明書を取得する際に、ついでに履修記録等も取得しておくと良いかもしれません。場合により求められることがあります。
資格を持っているなら消防施設工事以外の他の該当する許可業種も申請することがある
実務上仮に他の業種は必要なくても、国家資格等をお持ちの場合において、該当する業種の許可も合わせて取得しておくきたいというケースでは、まとめて申請をするケースは多くあります。
新規申請のときにまとめて取得しておくことで、費用的にも手間的にも楽になるからです。
将来的に取得するかもしれない業種がある場合などは検討してみると良いでしょう。
なお、消防施設工事とセットで申請が必要となる業種としては、管工事業、電気工事業などがあるかと思います。
建設業許可要件
本ページでは消防施設工事で許可を取得するための要件(専技としての要件)を中心に記載しましたが、建設業許可取得にあたって必要なその他の要件をクリアしていく必要があります。
- 建設業における経営経験の有無(経営業務の管理責任者、常勤役員等)
※建設業における経営経験(個人事業や取締役等)5年等 - 専任技術者として認められるための条件を満たすかどうか(専技)
※本ページで記載した資格要件や実務要件 - 財産要件を満たすかどうか
※預金500万円以上など - 欠格要件に該当しないかどうか
- 社会保険等への加入
- 誠実性
①の経管と②の専技の要件を満たせるかどうか、それを証明することができるかどうかが大きなポイントです。
また、自宅を事務所として開業しているケースにおいては、事務所要件に引っかかる可能性があるため、細かい部分にも注意が必要です。
建設業許可申請でお困りならアロー行政書士事務所にご相談ください
消防施設工事に関連する申請はもちろんですが、その他の建設業許可申請新規、決算変更届、更新など許可申請関連でお困りでしたらご相談いただければと思います。
立川を始めとして、東京都23区や多摩方面、埼玉県、神奈川県での許可申請をサポートしています。気軽にご相談ください。
建設業許可申請サービスご依頼までの流れ
無料相談の日程に関してご連絡させていただきます。
まずは許可取得に関する相談や許可取得の可否を判断させていただきます。特に建設業における経営経験と消防施設工事業における専任技術者の要件を満たすかは詳しく確認する必要があります。
また、伺ったお話をもとに、御見積書を作成させていただきます。
適宜必要に応じて進捗状況などをご連絡しながら進めていきましょう。
書類が完成しましたら当事務所が行政庁へ申請書類を提出します。
なお、申請する前に、請求書を発行させていただき、お振込みが確認でき次第の申請書提出となります。
審査期間は概ね1か月から2ヵ月程度です。
なお、建設業の許可は取ったらそれで終わりではありません。
決算変更届の作成など、許可を維持するために必要な手続きもございます。
こうした面のサポートも行っています。
お見積りはもちろんですが、まずは許可が取れそうかだけ確認がしたいという方もお問い合わせください。