土木一式工事の専任技術者の要件(資格や実務経験)と建設業許可申請における注意点について解説

建設業許可申請における建設業種は全部で29種類あります。

今回は、その中でも「土木一式工事」について、許可申請をするという視点のもとに解説していきたいと思います。

アロー行政書士事務所では東京都内(23区内)や立川市、青梅市などの多摩エリアの建設業許可申請の代行をしております。建設業許可申請でお困りでしたら気軽にご相談ください。

土木一式工事の内容と例示

土木一式工事は「一式工事」という名称からもわかるとおり、原則元請の立場で総合的な企画・指導・調整のもとに土木工作物を建設する工事となり、複数の下請け業者によって施工される大規模な工事となります。

内容の例示として、橋梁、ダム、空港、トンネル、高速道路、鉄道軌道、区画整理、公道下の下水道、農業・かんがい水道工事を一式として請け負うものとされています。

※参考:東京都建設業許可

各専門工事を請けるなら個別に専門工事の許可が必要

土木一式工事はあくまで一式工事の許可なので、個別の専門工事(とび・土工・コンクリートや塗装等)を請負場合があるのであれば、それぞれ専門工事の許可が必要です(一定金額以上など許可が必要な規模の工事の場合)。

盛土・切土、とび土工工事など専門工事を単独で請け負う場合があるならば、注意しておきましょう。

土木一式工事の専任技術者(専技)としての要件

土木一式工事で許可を受けるにあたりハードルとなるのが専任技術者の配置です。

専任技術者の要件としては、該当する資格を保有していることを証明するか、土木工事業実務経験があることを証明することとなります。

なお、専任技術者は営業所ごとに配置する必要があることと、常勤勤務であることが必要なことにご注意ください。

資格で証明する

土木一式工事の専任技術者を資格で証明する場合、以下のものが該当します。
※特定建設業許可を受けたい場合は1級、技術士が必要

  • 1級建設機械施工管理技士
  • 2級建設機械施工管理技士
  • 1級土木施工管理技士
  • 2級土木施工管理技士(種別が土木)
  • 技術士
    • 建設(「鋼構造及びコンクリート」)・総合技術監理(建設)(「鋼構造及びコンクリート」)
    • 建設「鋼構造及びコンクリート」を除く・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」を除く)
    • 農業「農業農村工学」・総合技術監理(農業「農業農村工学」)
    • 水産「水産土木」・総合技術監理(水産「水産土木」)
    • 森林「森林土木」・総合技術監理(森林「森林土木」)

資格がないため実務経験で証明する場合(一般建設業許可の場合)

該当する資格を保有していなくても、該当する実務経験(この場合土木工事)10年以上を証明できれば、専任技術者としての要件を満たすことができます。

10年の実務経験を証明するのは非常に困難ですが、書類等をしっかり保管されている方であれば可能なケースもあります。

参考までに、東京都の場合は、注文書や請求書と入金履歴を期間分提出することで証明することが可能です。東京都の場合、期間分の書類が必要ですが、3カ月に1件換算で計算が可能です。

神奈川県と千葉県は各年度1件以上、埼玉県の場合は1ヵ月1件の換算となります。

都道府県により証明書類を集める難易度が異なるため注意が必要です。

※緩和・変更されることもあるため、必ず最新の手引きをご確認ください。

該当する学校を卒業していれば実務経験は短縮可能

実務経験10年の証明はとても難しいのですが、該当する大学や専門学校、高校の指定学科を卒業していれば、短縮できるケースがあります。

土木一式工事に関しては、土木工学に関係する学科を卒業していれば短縮することが可能です。土木工学という学科名称でなければならないということではなく、関連する学科となります。当てはまるかどうかわからないときは行政側に確認しておく方が安全でしょう。

また、高校なのか大学なのか、専門学校なのかで短縮できる年数は異なってきます。

学校種別必要年数
高等学校指定学科を卒業+該当する実務経験5年
大学・短期大学指定学科を卒業+該当する実務経験3年
高等専門学校指定学科を卒業+該当する実務経験3年
専修学校指定学科を卒業+実務経験5年
(専門士、高度専門士であれば大学卒と同等となり3年で可)

なお、卒業したことの証明に加え、履修記録が求められる場合があります。

土木工事業(土木一式)は指定建設業に定められているため、特定建設業許可の場合は資格で専技の要件を満たす必要がある

土木工事業は指定建設業(全部で7業種ある)に該当しているため、特定建設業の許可を受ける場合は資格要件で専任技術者をクリアする必要があり、基本的に実務経験では専任技術者になることができません。

一般建設業の許可であれば実務経験でも問題ありません。

建設業許可申請でお困りならアロー行政書士事務所にご相談ください

土木一式工事に関連する申請はもちろんですが、その他の建設業許可申請新規、決算変更届、更新など許可申請関連でお困りでしたらご相談いただければと思います。

立川を始めとして、東京都23区や多摩方面での許可申請をサポートしています。気軽にご相談ください。

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執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請や建設業許可申請、産業廃棄物収集運搬業等の許可申請や契約書作成業務を行っています。また、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。ドローンはDJI Mini 3を保有し、撮影しています。
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