個人でも通信販売酒類小売業免許は取得できる?EC・ネットショップで個人がお酒を販売するケースは増加

最近法人ではなく個人の方からの酒類販売業免許取得の相談も増えております。個人の場合、BASE等でECサイトを構築したり、既に存在する楽天等のモールを活用した販売だったりと販路はさまざまですが、いずれにせよ通信販売酒類小売業免許が必要なビジネスを検討するケースが多いように思います。

法人ではなく個人だけど免許は取得できますか?実はまだ会社員として勤務しているけど免許は取得できますか?といったご質問をいただくケースも多いです。

結論から行くと、法人でなく個人であっても通信販売酒類小売業免許は取得できますし、サラリーマン等であっても免許取得は不可能ではありません。

ただ、注意すべき点はいくつかあります。

なお、アロー行政書士事務所では個人事業主の方向けのサポートも行っておりますので、酒販免許申請でお困りならご相談ください。料金等は酒販免許申請サポートサービスページをご覧ください。

個人でも通信販売酒類小売業免許は取得できる

個人でも通信販売酒類小売業免許は当然取得可能です。

近年は、脱サラして個人事業を始めるという方ばかりでなく、会社員等の勤め人の方が副業から始めるにあたって取得を目指すケースもあります。

ただし、申請さえすれば誰でも取得できるというものではなく、要件を満たす必要があります。

個人事業主が通販免許申請でよくつまづくポイント

すべての要件について解説するのは難しいため、個人の方が通信販売酒類小売業免許の取得にあたってつまづくポイントに絞ってご案内させていただきます。

会社員の場合は勤務先が副業を認めてくれない

酒類販売業免許申請に関する手引きの提出書類一覧には記載されておりませんが、勤務先企業から副業として酒類販売業を行うことを承諾してもらった証拠書類を提出する必要があります。

何を提出するかは申請先やご状況により異なりますが、意外と副業不可という企業はまだ多いようで、こうした書類の発行ができず、申請ができないという場合が一定数あります。

まずはご自身が勤務する会社が副業や兼業が可能なのか確認してみましょう。

経営経験等の不足(税務署等により判断が異なります)

通信販売酒類小売業免許は、各免許の中でも「経験値」に関する要件は緩い傾向にあるため、会社員経験しかない方でも取得しやすくなっております。

免許取得要件として「経験その他から判断し、適正に酒類の通信販売を行うため十分な知識、経営能力及び販売能力を有すると認められる者」という条件があるため、経営能力や販売能力が求められます。

わかりやすい例としては、経営者(役員等)としての経験や個人事業主としての経験の有無、酒類業界での実務経験となります。

ただし、他の免許区分と違って、3年以上の経験であるとかそういったことまでは記載されておらず、実際の申請でも経営経験や酒類業界での経験がなくても免許取得に至るケースが多いかと思います。要するに、酒類の販売・経営が適正にできることが客観的に説明できれば大丈夫な場合が多いということです。

とはいえ、申請書を出せばだれでも取得できるというわけではありませんので、しっかりとキャリアの棚卸をしてみましょう。

自宅賃貸マンションや区分所有のマンションで承諾が得られない

「ネット販売だから今住んでいる賃貸マンションの一室を事務所(販売場)にすればいいや」、「自己所有のマンションだからここを販売場にすればいいや」という形で申請をしてみたものの、居住専用である旨の契約や規約があり、免許が取得できなかったというケースも想定できます。

賃貸であれば居住用で貸し出されているので、酒類販売業で使用することを別途認めてもらわなければなりません。場合によっては契約の巻き直しが必要になることもあるでしょう。

自己所有(区分所有等)だとしても、マンション管理規約で事業利用NG(居住専用)という決まりがある場合がほとんどのため、こちらも酒類販売業で利用することを認めてもらわなければなりません。

意外と承諾が取れない場合が多いため、申請を断念するケースも一定度あります。

なお、自宅でできない場合は他の場所を借りる必要がありますが、家賃等が別途追加でかかってくるため、副業の方の場合はそれで断念するケースもあります。

自宅で免許を取ろうと思う場合は、事業利用が可能かどうかを確認しましょう。特に居住用の賃貸物件は「絶対不可」と定めているケースも多いのでご注意ください。

なお、実家を酒類販売場にして免許を取得しようとお考えになる方もいますが、

大手国内メーカーのお酒は取扱いができないことに注意(3,000kl未満証明書取得)等

通信販売酒類小売業免許はどんなお酒でも販売できるわけではありません。

輸入酒(海外産のお酒)か国産酒のうち課税移出数量3,000KL未満の製造事業者のお酒しか販売できません。

輸入してお酒を販売するのであれば基本的に制限はありませんが、国産のお酒を仕入れて販売する場合は大手(有名どころ)以外のお酒しか販売できないということになります。

また、申請にあたっては製造側に課税移出数量3,000KL未満の証明書を発行してもらい、提出する必要があります。

なので、もし国産のお酒を取り扱う予定であるという場合は注意が必要であるということです。

ご自身が販売したいお酒が輸入酒なのか国産酒なのか、課税移出数量3,000KL未満なのかどうかをしっかり確認するようにしましょう。

初めて酒類関係の販売に携わるという方も結構多く、お酒ならなんでも販売できると思っていたという方も多いのでご注意ください。

そもそも仕入先のあてがない

酒類販売業免許申請にあたっては、仕入先が少なくとも1つは必要です。

先ほど3,000KL未満証明書について記載しましたが、これの取得の有無に関わらず、仕入先となる酒類製造者あるいは卸業者の名称を記載する必要がありますので、免許申請までに関係性を構築しておきましょう。

通販免許に関わらず、個人の方が免許申請をする場合のポイントについては以下のページにも記載しておりますので合わせてご覧ください。

また、あわせて通信販売酒類小売業免許について解説したページもご覧ください。

モールに出店するなら利用規約を確認する

楽天やメルカリSHOPSなどさまざまな媒体がありますが、どのネットサイトを利用するにしても通信販売酒類小売業免許の提出が求められるほか、販売するお酒に関してや個人に関しての審査が入る場合があります。

これ自体は酒販免許の取得とは関係ないところとなりますが、近年はこうしたオンラインモールの規約変更もかなり多くなってきておりますので、自分が使おうと思っているオンラインモール等の規約を確認の上利用するようにしましょう。

メルカリ関係は特に規約変更や出品ルールがよく変わるのでご注意ください。

近年はそもそも事業利用不可とするWebサービスも増えているので、ご注意いただければと思います。

申請書に添付するECサイトの見本は完成品である必要はないが作成につまづく方も

手引きをよく読んでおられる方だとECサイトのサンプルの提出が必要であるということで、サイトは完成していないといけないのか?とご質問いただくケースがあります。

提出は必要ですが、完成している必要はありません。あくまで予定(サンプル)で大丈夫です。デザインなんかも流石に完成したものを出すのは無理だと思いますのでそういったものは雰囲気で大丈夫です。見たいのは、どういったお酒をどのように表示するのか、注文のフローはどうなっているのかといった部分であり、法的に満たさなければならない事項を理解しているかの確認要素の方が大きいかと思います。

ECサイトで表示させる項目(お酒の種類やアルコール度数、特定商取引法、受発注メール、20歳未満禁止、標識等)がしっかりあるのかどうかなどは審査されますので、ネット上でお酒を販売するにあたって理解しなければならないことを理解したうえでサンプルを作成する必要があることにご注意ください。
※サンプルに書いた通りでなければならないということでもないので確定事項である必要はないのでご安心ください。

ただ、適当に作って出せばいいというものではありません。

まとめ:通信販売酒類小売業免許は個人でも取得できるが申請すれば誰でもとれるわけではない

個人でも通信販売酒類小売業免許は取得できます。

ただし、申請すれば誰でも免許が取得できるわけではありません。個人の場合は自宅で免許が取りたいというケースが多いので、特に「場所」に関する要件でつまづきやすいのでご注意ください。

細かい要件については以下のページ等でも解説しております。

副業の方は以下もご参考ください。

酒類販売業免許申請のサポートをご希望の場合は以下よりお問い合わせください。

執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請や古物商許可申請、酒類販売業免許申請等の許認可申請と契約書作成代行業務を中心に行っています。また、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。写真撮影に凝っていた時期がありドローンもその一環でよく飛ばしていました。また、著作権相談員(日本行政書士会連合会)として登録されています。
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