金属スクラップの買取は古物商許可?特定金属くず買受業の届出や条例(金属くず商)への対応と銅や鉄くずなどの買取について

「銅線やアルミ、鉄などの金属スクラップの買取を取り扱うけど、結局どの許可・届出をしていればいいの?」

こうしたご相談をいただくことがあります。それもそのはずで、金属スクラップの買取ルールがかつてないほど複雑に絡み合っているからです。

2026年(令和8年)6月1日から、太陽光ケーブルなどの盗難急増を背景として全国共通で金属盗対策法に基づく「特定金属くず買受業の届出」という新たな手続きが義務化されました。

さらに厄介なのが金属くずの取扱い関してはもともと各自治体ごとの条例等による許可制・届出制となっておりましたが、今回の新法施行によってそれらが廃止されるわけではないという点です。

つまり、国の新しいルールに加えて、各都道府県が独自に定める「条例(金属くず商など)」まで並行して存在し続けることになります。

国の法律(古物営業法・金属盗対策法)と、自治体の条例。この二重・三重のルールが存在するため、「結局うちは警察に何を出せばいいの!?」となる方は多いのも仕方ないかと思います。

そこでこの記事では、金属スクラップの買取に関わる以下の3つのルールの違いを徹底的に整理します。

  • 古物商許可(中古品の買取ルール※金属くずの取扱いに伴い改正等もありました)
  • 特定金属くず買受業の届出(全国共通の届出)
  • 金属くず商などの条例(都道府県ごとのローカルルール)

特に特定金属くず買受業の届出は新しいルールであり、運営にあたり義務も課されますので注意が必要です。

金属スクラップの買取ルールはなぜこんなに複雑なのか?

なんで金属くずの買取をするにあたって新たな届出が必要になるの?と疑問に思う方もいらっしゃいます。

ルールがここまで二重・三重に複雑化してしまった最大の原因の1つに近年急増している「悪質な金属盗難事件」があります。

ニュースなどで、太陽光発電所の送電ケーブルや、橋の銅板、水道の蛇口、公園の金属製フェンスなどがごっそり盗まれる事件を見たことがないでしょうか。銅などの価格高騰を背景に、こうした金属泥棒が全国規模で多発するようになりました。

これまで、金属に関する買取ルールは主に「古物営業法」と「一部の自治体による金属くず商条例」で規制されていました。

しかし、窃盗団が県境をまたいで条例等がない地域で盗品を売りさばくようになり、「自治体ごとのローカルルール(条例)だけでは、全国規模の犯罪を防ぎきれない」という事態に陥ったのです。

そこで国が全国一律で適用される強力なルールとして「特定金属くず買受業の届出(金属盗対策法)」を新たに作り、上から被せる形で施行しました。

その結果、元々あった「各自治体の条例」を廃止するわけではなく、その上に「国の新ルール」が追加されたため、現在のような「二重・三重の複雑な規制」が誕生してしまったというわけです。

大まかな説明となりますが、こうした背景から全国的な規制として金属盗対策法とそれに基づく届出が制定されました。

古物商許可・特定金属くず買受業届出・金属くず商許可それぞれの違い

「古物商許可」「特定金属くず買受業の届出」「自治体の条例」。

これらは一体何が違うのでしょうか?

結論から言うと「何を買い取るのか(対象物)」と「どこで営業するのか(対象エリア)」によって、必要な手続きが変わります。全体像を表にまとめました。

ルールの名称根拠となる法律・条例主な対象物(何を買い取るか)対象エリア
① 古物商許可古物営業法本来の用途で再利用できる中古品
(例:中古機械、工具、中古車など)
全国一律
② 特定金属くず買受業金属盗対策法再利用できない銅等の特定金属くず(銅等)
(例:切断された銅線、太陽光ケーブルなど※今後特定金属定義が増える可能性があります)
全国一律
③ 金属くず商許可各都道府県の条例金属くず(鉄くず等)
※自治体によって対象物が異なります
条例がある自治体のみ
(千葉、茨城、大阪など。東京はない。)

大きな違いは、①の古物商と②の特定金属くず買受業届出は、それぞれ古物営業法と金属盗対策法という国の法律に基づくものとなりますが、3の金属くず商許可は条例に基づくものとなり、自治体によってあったりなかったりというものとなります。また、内容も自治体ごとで異なります。

買取りをする金属の状態によってどのルールが適用されるか変わる

たとえば、買い取る品物が「一度使用されたもので本来の用途として再利用できるもの」であれば「古物商許可」が必要です。
金属のかたまりであっても買い取ったものが「中古の機械」や「中古の自動車」など商品として使える状態であれば古物の扱いになります。

一方で、金属くず(スクラップ)を買取るのであれば、「特定金属くず買受業の届出」や「金属くず商」への対応が必要です。

上記の考え方はあくまで一例となりますが、まずは買受するものが金属スクラップなのか古物なのかを判断してみましょう。両方行っているというケースもあるかと思います。

なお、買取等ではなく、産業廃棄物等を収集運搬するという場合においては別の許認可が必要となることにもご注意ください。

※2026年6月から始まった特定金属くず買受業の届出については以下のページもご覧ください。

それぞれごとに義務が課される

「古物商許可」「特定金属くず買受業の届出」「金属くず商の条例」、これらはすべて手続きをして終わりではありません。それぞれに独自の義務が課されることにも十分な注意が必要です。

単に届出・申請をすればそれで終わりということではなく、それぞれの取引において、本人確認、台帳(買受の記録等)記入・保存などが求められます。

無許可・届出で事業を行うのは論外として、しっかり許可・届出をしたうえで事業を行っていたとしても、本人確認等の義務を怠った場合の罰則もあるためご注意ください。

なお、自治体の「金属くず商許可(条例)」と「特定金属くず買受業(金属盗対策法)」は、実質的に義務内容が重複する部分も多くあります。これに対し、重複する手続きや台帳管理をどのように処理すべきかは各自治体によって対応が異なります。ご自身の営業所を管轄する自治体のルールを正確に把握しておく必要があります。

申請先は基本的に警察署

古物商許可申請、金属くず商許可申請、特定金属くず買受業の届出は3つとも基本的に警察署へ書類を提出することになるかと思います。
※金属くず商は自治体ごとで異なる場合があります。

特定金属くず買受業届出古物商許可申請に関してはサービスページがございますのでご確認ください。金属くず商許可は自治体ごとでルールが異なるため、対応可能な地域の有無がございますのでお問い合わせください。

届出や許可申請でお困りなら行政書士の活用も

アロー行政書士事務所では古物商許可申請や特定金属くず買受業の届出等のサポート・代行サービスを提供しております。

特定金属くず買受業届出についてはこれから始まる制度のため実績はありませんが古物商許可申請については申請実績も豊富です。

2つ合わせて対応させていただくことも可能ですのでもしお困りであればご相談ください。

料金等については上記リンクの該当ページよりご確認いただけます。

執筆者情報

行政書士 樋口智大

アロー行政書士事務所の代表行政書士。
ドローン飛行許可承認申請や古物商許可申請、酒類販売業免許申請等の許認可申請と契約書作成代行業務を中心に行っています。また、自身で会社を設立し起業した経験を活かしたビジネス支援も行っています。行政書士資格の他、宅建士やドローン検定1級などに合格しています。写真撮影に凝っていた時期がありドローンもその一環でよく飛ばしていました。また、著作権相談員(日本行政書士会連合会)として登録されています。
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