古物商許可申請の相談でたまにあるのが、ご自身が代表を務める法人とは別に個人事業も持っており、両方で古物商許可を取得したいが可能なのか?というご相談をいただくことがあります。
また、原則営業所の管理者は兼任できないという話を聞いたことがあるようで、管理者は別に用意しないといけないのか?というご相談もセットでついてきます。
特に法人成りする1人社長や家族経営の会社様のご依頼でこうしたお話をいただく傾向があります。
結論から記載すると、ケースによっては法人と個人両方で古物商許可を持つことはできますし、管理者の兼任も可能です。
ただ、絶対可能であるということではありません。
また、地域性が強い傾向にありますので、許可取得を目指す地域によって判断の分かれ目が変わるケースというのもあります。
そのため、このページでは一般化した内容で記載させていただきます。
なお、アロー行政書士事務所では古物商許可申請のサポートを行っております。お困りであればぜひご依頼ください。
自宅開業で自身が代表を務める法人と個人とが自宅内で古物商の許可を双方で取得することは可能な場合が多い
自宅開業で法人・個人両方で古物商許可申請をしたいという相談は結構あるのですが、基本的に可能な場合が多いです。
古物営業法第4条には、許可をしてはならない場合(欠格事由(けっかくじゆう))が列挙されていますが、同じ場所に別の古物商の営業所があることは含まれていません。
ただし、いくつか条件があります。
法人と個人とで古物の管理・台帳の管理等が適切に区分できることが条件
同じ自宅内で法人と個人が古物営業をする場合、一番見られるのが、法人と個人とどちらの在庫・取引なのかが混ざらないようにできるのか?という点です。
古物営業法は盗品の売買の防止や速やかな発見を目的としており、古物商には取引の記録を帳簿等に残すことが義務付けられています。
どの古物商を、いつ、誰から仕入れた物なのかを追えることが前提なので、法人の在庫と個人の在庫が混在しているまずいのです。
そのため、保管する部屋や棚を分ける、帳簿を法人用・個人用で別に作る、取引の名義(口座や出品アカウント等)を分けるといった区分けを説明できるようにしておく必要があります。
申請時に区分けの状況を確認するために間取り図や部屋の写真を求められることもあります。
※現在はこうした書類を求められることはほとんどありません。
従業員等がおらず無関係の人間の出入りがない
法人と個人両方で持つにあたり、自宅内に法人従業員の出入りがあるようであれば、個人の古物商許可の取得が難しい場合があります。
区分ができておらず、適切に管理できるとはいえないと判断される場合があるためです。
ただし、家族経営等であり、自宅も事務所も家族しか出入りがないということであれば、問題ないとされる場合が多いかと思います。
従業員がいる場合は事前に警察署へ相談しておく必要があるでしょう。
同居人が法人の役員を務めている場合
家族以外の同居人が法人の役員になっているケースもあります。
法人の営業所としては自然な形ですが、個人の古物営業との関係では、その役員が個人の在庫や帳簿、取引相手の本人確認記録に触れられる状態にならないかを気にされる可能性があります。
役員は法人の業務のみに関わり、個人の古物営業には関与しないこと、個人の在庫や帳簿は施錠できる場所で保管していることなどを理由書で説明しておくと話を進めやすいです。
ただ、このケースも事前に警察署へ確認を入れておいた方が安全です。
管理者の兼任も可能な場合が多い
古物商は、営業所ごとに管理者を1人選任しなければなりません(古物営業法第13条第1項)。
「管理者は兼任できない」と言われることがあるのは、警察庁の解釈運用基準で管理者は営業所ごとに常勤して業務に従事できる状態にある必要があるとされているためだと思われます。
離れた場所にある複数の営業所の管理者を1人で兼ねると、この常勤の要件を満たせないからです。
一方で、同じ基準では古物商自らが営業所の業務を実質的に統括管理できる場合、自分を管理者に選任することも許容されるとされています。
さらに、複数の営業所等が近接していて双方を実質的に統括管理でき、管理者の業務を適正に行える場合には、同一人が複数の営業所等の管理者を兼任することも許容されるとされています。
この記載は同じ古物商が複数の営業所を持つ場合を想定したものですが、判断の基準は、常勤できるか、実質的に統括管理できるかという点です。
自宅開業で法人と個人の営業所が同じ場所にあり、代表者本人がそこに住んでいるのであれば、この基準は満たすと考えられます。
なお、古物営業法第4条第10号では、管理者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者には許可をしないとされています。
解釈運用基準では、その例として、選任する者が具体的に決まっていない、その営業所に勤務していないなど、管理者としての職務の遂行が到底期待できない場合が挙げられています。
本人が住んでいる自宅の営業所であれば、通常これには当たらないかと考えます。
それでも兼任に難色を示された場合は、同居の家族など営業所に常勤できる人を法人側の管理者にするという方法もあります。
とはいえ、これも事前確認をしておいた方が安全です。
申請時に準備しておきたいこと
法人は特定分野の物品、個人はそれ以外の中古品を扱うなど、取扱品目や事業の位置づけの違いを理由書にまとめておくと審査担当者に伝わりやすいです。
なぜこのような運用をする必要があるのか?を書面にしておくと担当官も安心できるのかなと思います。
判断は警察署ごとで異なるため相談と調整が必須
ここまでの内容は一般的な話で、実際の判断は営業所を管轄する警察署(公安委員会)が行います。
同じ条件でも、警察署によって求められる書類や説明が違うことは珍しくありません。
法人と個人の双方で申請する場合は申請前に管轄の警察署へ相談し、同じ住所で両方の許可が取れるか、管理者の兼任が認められるか、何か特別な提出書類は必要かを確認しておくと安心です。
なお、窓口で「法人と個人の両方は不可」「管理者の兼任は不可」と言われることがあっても、法令上そうした禁止規定があるわけではないと考えます。
行政手続法第7条では、申請が到達したら遅滞なく審査を開始しなければならないとされており、許可をしない場合は理由を付した書面で通知することになっています(古物営業法第5条第3項)。
どの基準に当たるのかを確認したうえで、区分けの方法などを説明していくのが現実的です。
行政書士の活用も検討ください
自宅開業で法人と個人の両方が古物商許可を取得することは、法人と個人の在庫・帳簿を区分でき、無関係の人の出入りがないなど、適切に管理できる状態であれば可能な場合が多いです。
管理者の兼任も代表者本人が営業所に常勤して実質的に統括管理できるのであれば、認められる場合が多いといえます。
ただし、判断は地域や警察署によって分かれるので、事前相談で確認しながら進めるのが確実です。
アロー行政書士事務所では古物商許可申請のサポートを行っております。法人と個人の同時申請で迷われている場合も、お気軽にご相談ください。
参考
古物営業法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000108
警察庁「古物営業法等の解釈運用基準について」(令和6年8月14日):https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/seiki/2024kobutsukaisyaku.pdf
行政手続法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000088

